【SIM道楽】EIOTCLUB・3キャリア対応・プリペイドに見る「マルチ・IMSI」って何?
先日使い始めた マルチ・IMSI搭載のEIOTCLUB・3キャリア対応・プリペイドSIMの使用体験については、以下のURLに投稿しました。 2025.07.11【SIM道楽】3キャリア対応・EIOTCLUB・プリペイド・24GB/360日をメインとして利用開始 https://king.mineo.jp/reports/314000
このマルチ・IMSI搭載のSIMの特徴を問われれば、docomo/ au/ SoftBankネットワークへの回線接続にいずれもローミングではなく、各MNOのネットワークに直接接続するというもの。その時の良好な電波の状況に合わせての回線自動選択や、手動選択による任意の回線固定などユーザーの選択が可能となっているので、より自由度の大きい利用が出来ることになります。
【例-1】今回体験した EIOTCLUB・3キャリア対応・プリペイドSIMの場合は、Docomo/ au/ SoftBank の「マルチ・IMSI」のケースとなります。
EIOTCLUB・3キャリア対応・プリペイドSIMは、「Webbing(45400)」で提供される IMSI-A (初期IMSI=Bootstrap IMSI) に Docomo(44010), KDDI(44053), SoftBank(44020)の 各ローカルキャリアに紐づく 複数(-1, -2, -3) の IMSIが搭載されていて、アプレット内で設定/規定された判定条件により、自動的に選択を切り替えることが出来るというもの。IMSIの選択優先順位や、不測時対応の際のフォールバック挙動等についても多様な設定が可能になっています。
Webbingの場合には、世界中で 約190ヶ国、600超のモバイルキャリアに接続する IMSIが登録されていて、提供サービス仕様に合ったIMSIの組合せが搭載されたものが提供されることになります。
【例-2】これ迄何度となくお世話になった…似たようなケースとして タイ国・AISの提供している SIM2Flyという世界100カ国以上をカバーする有名なグローバルSIM/eSIMサービスがありますが、「マルチ・IMSI」ではなく「マルチ・グローバル・ローミングサービス」となります。( ↓ 図参照)
SIM2Flyのケースでは IMSI(52003)1個のまま、各国現地で利用する際には AIS社が契約している複数の指定ネットワークへのローミング接続が提供されます。(この場合ローミング設定=オン必須 )
【例-3】 さらに、新しいことに果敢にチャレンジし続ける 楽天モバイル・最強プランは、「マルチ・IMSI」と「マルチ・グローバル・ローミングサービス」の両者が混在して適応されているSIMサービスの例となります。( ↓ 図参照)
楽天モバイル・最強プランSIMは、Rakuten(44011)に基づく IMSIと 海外で利用される Orange(仏)(20801)に基づく IMSIの「マルチ・IMSI」構成と並行し、国内では Rakuten(44011)とKDDI(44053)に基づく2つの IMSIの「マルチ・IMSI」から構成されていて、電波状況に対応して自動的に選択されています。
結果として、Rakuten(44011)、KDDI(44053)、Orange(仏)(20801)という、都合 x3つの IMSIがSIMアプレットに事前登録される「マルチ・IMSI」SIMを構成していることが分っています。
さらに、楽天モバイル・最強プランSIMが Rakuten(44011 or 44053)に基づくIMSIを選ぶか、Orange(仏)(20801)に基づくIMSIを選ぶかは SIMアプレット内に事前登録/設定した判定条件により振り分けられ、「国内=>Rakuten(44011 or 44053)」と「海外=>Orange(仏)(20801)」というふうに、自動的(存在地により)にどちらかの2IMSIを選択することになります。
海外で選択される Orange(仏)(20801)はそれ自身が 老舗大手グローバル・ローミングSIMとして海外ネットワークと広範なローミング接続契約を持っていることから、楽天モバイル・最強プランSIMユーザーも そのローミング接続の恩恵を受けることになります。
( Orange(仏)(20801)が選択されて、Orange(仏)(20801)を使った海外ネットワークへのローミング接続の際には「ローミング設定=オンが必要」となります。
この辺り、 新たな試みに向けての 楽天モバイルのチャレンジはシッカリと称賛したいところです。
ということで【例-1,2,3】を比較して眺めてみると分るように、「マルチ・IMSI」と「マルチ・ローミング」はどちらもモバイル通信で複数のネットワークに接続する柔軟性を提供する仕組みですが、技術的なアプローチが異なります。
また「マルチ・IMSI」を利用することで得られるメリットは…
・通信の安定性 (ローカル・キャリアに直接接続)
・OTAの遠隔操作による自由度
・アプレット条件設定による自動切り替えや不測(緊急)時のフォールバックの多様性
・ローミング・コストの低減
等が挙げられます。
似て非なるもの~「マルチ・IMSI」と「マルチ・ローミング」について簡単に記述するとすれば以下のようになるかもしれません。
[ 1 ] マルチ・IMSI(Multi-IMSI)とは…
複数のIMSI(契約)を1枚のSIMで保持し、状況に応じて切替える仕組み。IMSI(国際移動体加入者識別番号)を複数保持できるSIMまたはeSIMで通信キャリアのプロファイルを切替えること(OTA/遠隔操作可)で、他国や他キャリア・ネットワークに直接接続して利用。(利用時には ローミング設定=不要)
[ 2 ] マルチ・ローミング(Multi-Roaming)とは…
1つのIMSI(=1契約)で、複数のキャリア・ネットワークとローミング接続が可能な仕組み。主契約キャリアが、他キャリアとローミング契約を結んでいれば、その範囲上でユーザーが利用。(ローミング設定=オン必須)
さて、現在 Webbingのような複数のIMSIを管理する仕組みを持つサービスを提供する会社は一般に「グローバル・IOT/マルチ・IMSIプラットフォーム」と呼ばれていて、世界中には ↓ 下表のような主要企業がサービスプロバイダーとして知られています。
これらのマルチIMSI-SIM/eSIMは GSMAの SGP.32規格に準拠することで、これまでのSIMと比べて、より技術的な多様性と安定性の確保と遠隔操作を可能にしています。( 表中記内容の詳細については未確認ですのでご容赦~(汗))
上表のキャリアの中で、国内ネットワーク・サービスとして マルチIMSI-simを提供しているのは、(当方の知る範囲で…)
・ Webbing社 => 「EIOTCLUB-プリペイドSIM・3キャリア」
・ Transatel社 => 「FIELDCONNECT eSIM」
・ Soracom社 => 2025年度中に新サービス提供予定
・ 楽天モバイル社 => 「楽天・最強プラン」(表中記載なし)
また、これらのサービスは、以下のようにネット記事や、マイネ王掲示板にも投稿されていますので、興味ある方は参照してみて下さい。
・2025.05.15【SIM道楽】~似て非なるもの~EIOTCLUB:物理eSIMカード vs プリぺイドSIMカード https://king.mineo.jp/reports/308014
・2025.07.11【SIM道楽】3キャリア対応・EIOTCLUB・プリペイド・24GB/360日をメインとして利用開始 https://king.mineo.jp/reports/314000
・2025.06.13【SIM道楽】EIDを持つ チョット変わったプリペイドSIM「EIOTCLUBカード」の困った挙動 https://king.mineo.jp/reports/311658
・2023/7/14 携帯大手2キャリアを自動切替で利用可能なマルチキャリアSIM「FIELDCONNECT eSIM」7月14日よりサービス開始 https://www.nikkan.co.jp/releases/view/159003
・2024.02.29【SIM道楽】昨年7月開始のマルチキャリアに対応したFIELD CONNECTが早くも終了 https://king.mineo.jp/reports/265577
・2025.07.09 ソラコム、1枚のSIMで複数回線を切り替えられる「SORACOM Connectivity Hypervisor」発表 音声や大容量データにも対応 https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/2507/09/news127.html
・2025.07.09「ソラコム、1枚のSIMで複数回線を切り替えられる…」 https://king.mineo.jp/reports/313882
・2022.10.12 楽天モバイルのマルチIMSI技術を活用した海外ローミングを試す http://blogofmobile.com/article/153430
以上、徐々に広まりつつある「マルチ・IMSI」搭載のサービスについて 今回の SIM道楽 として纏めてみました。
来る 2026年5月には 国産MVNOとしては初めて「ネオ・キャリア」ととしてスタートする 予定の日本通信SIMとしてもこの辺りのマルチ・IMSIの仕組みによる多様性も考慮した新サービスを引っ提げての登場を期待したいものです。








携帯電話やモバイル通信に関する 識別指標/数列が携帯電話内でどんな構成をしているのかを説明すると ↑ のような図になります。 スマホ装置 (IMEI)の中に SIM/eSIM (ICCID/EID)があり、SIM/eSIMの中に契約者関連情報(IMSI/MSISDN)が 書き込まれている…こんな構図になっているわけです。この識別指標/数列を使用目的の観点からシンプルに大別すると…
① 通信機器デバイスを識別するもの
・IMEI
② SIM/eSIMを識別するもの
・ICCID
・EID
③ 携帯電話の契約(者)を識別するもの
・IMSI
・MSISDN
として理解すると分りやすいです。

IMSIの識別指標/数列の構成-------------------
IMSI(アイ・エム・エス・アイ)とは、International Mobile Subscriber Identity(国際移動体加入者識別ID)の略で、携帯電話の契約者を識別するための番号列です。(最大15桁)
① 最初の3桁 : MCC (Mobile Country Code : 国番号)
日本 = 440
② 続く2~3桁 : MNC (Mobile Network Code = キャリア・ネットワーク番号)
ドコモ=10以内
③続く10桁 : MSIN (Mobile Subscription Identification Number)
契約(者)コード

以前は Android機の場合は「SIM Card Info」アプリで IMSI番号が表示 ( ↑ )されたのですが、Android 10以降、OS自体による制限により IMSI番号表示がされなくなってしまいました。。。残念 !>> 退会済みメンバー さん
>「thru Softbank」の下が440-10あらら、誤記でした~(汗)
早速 修正しておきました。
お知らせありがとうございます。