自然資本と市場の限界 価格メカニズムを通じた漸進的転換も進む
「株価上昇を支えた経済規模の拡大は無限の資源を前提とし、気候変動と水枯渇で成長は唐突に終わる」という説があります。
新古典派のソロー・モデルではY=F(K,L,A)で資本K、労働L、技術Aが成長を説明します。しかし planetary boundaries の下では自然資本Nが本質的投入要素です。Nの減耗は限界生産性を逓減させ、定常状態への収束を早めます。
地下水の過剰汲上げは、排除不可能性と競合性を併せ持つ共有資源の典型であり、コモンズの悲劇を生みます。私的限界費用が社会的限界費用を下回るため、過剰利用が続きます。
CO₂排出は負の外部性です。ピグー税が不在なら市場均衡は社会的最適を超えます。気候変動による熱波や水ストレスは供給ショックとして総供給曲線を左方シフトさせ、スタグフレーション的圧力を生みます。
冒頭の説は水がなければ生産できないとも主張します。これは、Leontief型生産関数のボトルネックとして定式化できます。
ここで重要なのがデカップリングです。相対的デカップリングは観察されますが、絶対的デカップリングは限定的です。
Jevonsのパラドックスにより効率改善がリバウンド効果で需要を増やす可能性があります。したがって技術楽観だけでは不十分です。
投資家にとっての含意は、自然資本のシャドープライスを資産価格に織り込むことです。
具体的には、企業価値評価で水ストレス地域の操業に水リスクプレミアムを加算し、炭素価格シナリオでキャッシュフローを調整します。TNFDやISSBの開示は情報の非対称性を緩和します。
政策的には、取水権取引による効率的配分、炭素国境調整措置、自然資本会計の導入が望まれます。サーキュラーエコノミーへの移行は資源生産性を高め、潜在成長率を維持します。
この説は資源制約の重要性を正しく強調しますが、制度設計と相対価格調整による適応を過小評価しています。
成長は終わるのではなく、KとL中心からNの維持・再生を組み込んだ質的成長へ移行します。
投資戦略も、売上成長率ではなく、自然資本調整後の超過収益率を追求することが合理的です。
結論として、唐突な終焉ではなく、価格メカニズムを通じた漸進的転換が起こると考えます。




地下水の過剰汲上げ。日本では語られませんがアメリカ大陸のグレートプレーンズとプレーリーが深刻な状態にあるのは有名ですね。
ちなみに添付画像は大昔から先住しているプレリードッグ。
コモンズの悲劇。
自分さえ良ければ他はどうなっても構わない。
この解決には「ムラ社会」が正常に機能すれば良いのではないか、なんて思ってます。
それについてマイネ王の人が紹介していた榎本博明氏の著作を図書館に予約を入れてます。
そしてコモンズの悲劇は必ずしも起こらないとしてノーベル経済学賞を受賞(2009)したエリノア・オストロム氏(1933 - 2012)がおられました。
彼女の著作の紹介記事。
https://www.yomiuri.co.jp/culture/book/review/20230327-OYT8T50058/
残念ながらオストラム博士の著作は最寄りの図書館の蔵書はなかったです。相互貸借でも頼もうかな。。。
記事を書いてる牧野邦昭教授の著作はいくつかありましたが。
他にも環境省のサイトにこんな情報が:
平成24年版 図で見る環境・循環型社会・生物多様性白書
https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/zu/h24/html/hj12010302.html
>「コモンズの悲劇」が必ずしも生じていないという点について考察を進め、コモンズの地域主体による管理のあり方を提言
>> がんばるじゃん@中世"JAP"ランド さん
おぉ、自動的に本の画像が添付されてる。でも文字も画像なんですね。コピペが効かない。