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フランスの郵便局員


ルクソールはナイル川中流の右岸に開けた都市で嘗ては首都であることもあった。
多くの神殿が残っており世界中からの観光客でにぎわっている。
一方、左岸は古来死者の街とされており現在でもそれほど発展していない。

その左岸にある王家の谷への緩い上り坂を自転車でのんびりと走っていた。
小休止をした時後方を見ると1台の自転車が目に入った。
又走り出すとしばらくして後方の自転車に追いつかれた。
並走しながら話をして彼がフランス人で郵便局に勤めていることが分かった。
私はゆっくりと行きたかったので先に行くよう促してその場は別れた。
あの健脚だと郵便局での仕事は自転車での配達であろうと勝手に想像した。

次の日、食事をしようと歩いていると、とあるレストランのオープンテラスで食事をしている昨日のフランス人と会い一緒に食べることになった。
20日の休暇を取って観光に来ていること、郵便局での仕事は窓口業務で配達はしていないということが分かった。
店の前を通り過ぎる人を見ては、あいつはフランス人だとかフランス人ではないとか小声で呟いていた。
ちょっと変わった個性的な人物であった。

数日後、200km離れたアスワンの街で歩き疲れナイルの堤防に腰かけて休んでいると、又あのフランス人と出会ったがこの時は立ち話しただけで別れた。

アスワンから300kmほどの距離のあるアブシンベル神殿へのツアーが出ている。
大きなホテルは自前でツアーを組めるが私の泊まっている小さな安ホテルはそんな余力はないので大ホテルのツアーに便乗しているようだった。
朝の4:00に大ホテルに行ってバスに乗ると又あのフランス人と一緒になった。
座席が離れていたので会話は出来なかったが休憩の時「よく会うなあ」とお互いに呆れ顔であった。

まぁエジプトの旅は基本的にナイル川に沿って行き来するので旅行日数と方向と旅行の質が同じであれば確率としては大いにありうることである。
それにしてもちょっと珍しい体験であった。

エジプト2.PNG

ハトシェプスト女王葬祭殿

屹立した崖を背景に中央にスロープを持つ三層の広壮で美しい建造物である。
紺碧の空を見つめていると濃紺に変化し更には黒色に見えてくる。
背後の崖の裏側は王家の谷で徒歩で行き来できる。
人影が見えて降りてくると職員が出向き入場料金を徴収していた。

エジプト3.PNG

アブシンベル神殿

アスワンハイダム建設により水没の惧れがあったので神殿を小さく分割し垂直方向60m水平方向200m移設復元したものである。
裏側に入り口があったので中に入ったが巨大なドーム状の空間がありモーター音が響き渡っていた。
007に出てくる悪の要塞の様な雰囲気であった。
100m程横にある小神殿も同様に移築されたがこちらは継ぎ合わせた跡が目立つ。


6 件のコメント
1 - 6 / 6
いつもながら、文章に吸い込まれましたよ~~
ありがとうございます!

あの(その)フランス人の方とは、本当に奇遇にも何回も再会されたのですね。
エジプトのお写真も素晴らしいです。一度行ってみたいですが、もはや厳しいです。あははw
>あいつはフランス人だとかフランス人ではないとか小声で呟いていた。

なんとなく、理解できますね~
大昔、ドイツに10年ほど住んでレストランのキッチンでドイツ人の同僚と働いていましたが、彼らは日本人と韓国・中国などアジア系の区別はありません。
私達が感じるのと同様に、母国系は特別でしょうか?
hijiake
hijiakeさん・投稿者
エース

>> まきぴ~ さん

やぁ! こんばんは

アテネでちょっと話した米国人と数日後ナポリのピザ屋で偶然会ったり、日帰りのツァーバスで同乗していた無錫からの会社員と翌日西安駅であったりとかはありましたがフランスの兄貴とは一期一会ならぬ四期四会の貴重な体験でした。

この時の旅行ではラマダン中とラマダン明け両方体験しましたのでいずれ纏められたらと考えています。
hijiake
hijiakeさん・投稿者
エース

>> Yz925@CicottoGPT さん

欧米では日中韓は全て中国人で通っていましたね。
欧米の映画では日本人役はほとんど中国人俳優が演じていました。
私も中国人と間違えられること多々ありました。

日本人が日中韓の個々人を見るだけでその国籍を当てることは難しいと思いますが20人30人とかの集団になれば確実に国籍を当てることはできると思います。

欧米人の場合でも欧米の個々人を見るだけでその国籍を当てることは難しいと思います。
更に20人30人とかの集団になってもゲルマンとかラテンとかの民族の区別ができる程度で国籍については日中韓以上にハードルは高いと思います。

フランスの御仁は仕草、ファッション、歩き方など彼独自の判別方法を持っていたのかもしれませんね。
はじめましてこんにちは
文明発祥の地はどこも興味深いです。
学生の頃に中国は少しだけ行っただけで時が過ぎました。
エジプト考古学者の河江肖剰さんのYouTubeはよく見ています。
日本からの観光客も多いようですが、実際行った人のレポは大変興味深く拝見しています。
旅行に行くと出会いがありますね。
中国に行った際も黄山で出会った中国人旅行者と上海で会いました。
旅行先は観光地が限定的なので1回だけなら意外とありますが再三合うのは不思議ですね。
hijiake
hijiakeさん・投稿者
エース

>> k.okun さん

こんにちは

中学の歴史の授業で四大文明を習いました。
子供心にいつか行けたらいいなと思っていましたがインダス文明の地だけ行けなかったのが心残りです。

観光旅行は行動パターンが似通っていますから特徴のある人だったら話はしなくても あ、あの人あそこでも見かけたなということはありますね。
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