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本日は電信電話記念日、忘れられない地獄の3日間

本日10月23日は「電信電話記念日」です。
1869年10月23日(旧暦明治2年9月19日)に、東京~横浜間の電信線架設工事に着手したことにちなむ記念日です。
NTT西日本の正規職員は、記念日当日は業務に支障の無い限り午後から半日有休がもらえます。
17年前の電信電話記念日に起こったこと、今でも忘れませんし「これ以上、悪いことは起こらないでしょう」と私には経験値になったと思っています。
17年前、当時私はNTT西日本三重支店で光回線に関わる仕事をしていました。三重県では前年の7月から、光回線を使ったIP電話「ひかり電話」が始まった頃です。
17年前の10月23日、業務が始まった午前8時半頃から「ひかり電話が通じない」と問い合わせが殺到しました。状況については現場でも全くわからない状況でした。時間が経つに連れてNTT西日本管内全域の「ひかり電話」の大規模障害とわかり、管内でひかり電話を使用しているユーザーは電話が通じないことが判明しました。現場にいても、障害の原因や回復見込等の状況が一切入らず、顧客からの問い合わせには何も答えられず、ひたすら謝る状況。「仕事に支障をきたしている!」「今すぐ元のアナログに戻せ!」「110も119も通じない!」と顧客の怒りは増幅、顧客からのクレームを受けている女性オペレータの中には涙を流して対応してました。
この「ひかり電話」、当時はNTTグループがサービス提供を始めた初期の頃で、重点販売商品でした。「ひかり電話」初期と重点販売商品に位置付けられたこともあり、営業や代理店による「ひかり電話」のメリットだけを強調し、従来の電話と違う注意点やデメリットは伝えていない、無理な営業があったことから、当時、ひかり電話に関する顧客からの苦情も多かったです。この大規模障害で顧客の怒りが一気に爆発したと現場では認識しました。
当時のひかり電話は、NTT西日本の光回線「光プレミアム」の付加サービスでした。光回線(光プレミアム)を敷き、付加サービスとして「ひかり電話」が月額基本料500円税別で利用出来ました。ちなみにアナログの固定電話だと月額基本料が1600円税別〜でした。ひかり電話だと市外通話(相手が固定回線)が3分8円税別と、市内通話料金と同じ料金でかけられるのが最大のメリットです。
ただ、当時新しい商品だけに色々なトラブルがありました。例えば個人宅の場合、アナログ電話だと壁のモジュラー端子に電話機を差すだけで使えましたが、当時のひかり電話は、戸建ての場合は、光ファイバーを接続するONU(光回線終端装置、光ファイバーの信号をイーサネットに変換するもの)、CTU(加入者網終端装置、ルーターのようなもの)、Voipアダプタ(イーサネットの信号を電話の信号に変換するもの)の3つの機器が必要でした。3つの機器全てに電源が入っていることと、3つの機器を結ぶLANケーブルが正しい位置にきちんと差し込まれていないと電話が使えませんでした。機器にまつわるトラブルで多かったのは、停電やブレーカーが落ちたりした後に「電話とネットが使えない」というトラブルで、電源が復帰した後に3台の機器が一斉に電源が入ることで、機器の起動の順番が変わったことが原因です。その場合は、3台の機器全ての電源コードを抜き、まずONUの電源を投入、ONUの光回線と認証のランプが点灯後にCTUの電源を投入、CTUの電源を投入後30秒〜1分後に、Voipアダプタの電源投入し、VoipアダプタのVoipランプが緑点灯して、ようやく電話が使えるようになるものでした(今のひかり電話、機器が少なくなってますが基本の所は変わらないと思います)。電話を使うにもネットワーク機器の知識が求められるようなものです。あと当時、ひかり電話だとかけられない相手先番号がいくつもあり、これにまつわるクレームも多かったです。当時かからない番号として「117(時報)」「0570(ナビダイヤル)」がありました。「ひかり電話にしてから市外通話が出来なくなった」というクレームが当時多かったです。当時の電話機は「αLCR」「SuperACR」等といった機能が内蔵されている機種が多く、この機能は相手に電話をかける際、相手の市外局番によって電話料金が安くなるように、相手先の電話番号の前に「0077(DDI)」や「0088(日本テレコム)」を電話機が付加する機能でアナログ全盛期のものでした。ひかり電話の場合、電話番号の頭に「0077」や「0088」のような電話会社を選択する番号が付くと掛からなくなりますので、このような機能の付いた電話機使用の方には「○△CR」「コミスタ」の機能を解除する必要がありました。このようなことを営業が顧客に伝えていない(営業の中には全く知らない)ことが多発して、故障ではないナンセンスコールのクレームが多かったです。
 この17年前のNTT西日本の「ひかり電話」の大規模障害は、電信電話記念日の23日〜25日まで計3日間続きました。ひかり電話のユーザーは3日間固定電話が使えない状況でした。3日間は顧客からの問い合わせ・苦情が殺到し、顧客を相手にしている部署は「地獄の3日間」でした。電話の開通業務をしている部署では、緊急のアナログ戻し(ひかり電話→アナログ電話への変更)に追われました。ひかり電話の大規模障害がマスコミ等で報道されると、顧客からは「何時頃回復するのか?」という問い合わせが増え、中には「おたくら今は大変と思うが頑張ってください」と逆に励まされることもありました。この大規模障害で救いだったのは「ひかり電話」があまり普及していなかったことでした。当時、NTT西日本以外でも、NTT東日本、eo光でも大規模障害が起きたことから、総務省や事業者も、IP電話の普及を急ぐことよりも信頼を得るような方向に変わったのではないか?と思います。mineoに携わっている人の中には、当時のひかり電話の大規模障害を覚えている方もいるかと?
ひかり電話等のIP電話の普及した今、このような大規模障害が起こるともっと大変なことになります。
この大規模障害から17年経ちます。NTT西日本管内全域での大規模障害は起こってません。この障害を知らない人が大多数と思いますので、忘れられない3日間を思い出して書き込みました。

長文失礼しました。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。


当時の大規模障害を伝える記事
https://www.j-cast.com/2006/10/24003514.html?p=all


19 件のコメント
1 - 19 / 19
代休とったのかどうかが気になります🤔
大変でしたね。

三重県は山地が多く名古屋からのテレビやラジオの電波が入らない。
デジタル化した今は、ケーブルテレビネットがカバーしていて、ネットも電話もケーブル利用が多いですね。
貴重な体験及び当時の状況。勉強になりました。
投稿文が長い場合、途中で読むのをやめてしまう私ですが、、、。
巧みな文章に引き込まれ最後まで読みました。
私も通信業界、電気業界の端くれですので、この様な投稿嬉しい限りです。

ではでは、、、、。
NTT西日本とは随分前から休止の仲でして、多分このままで行くと住所変更届けを出さないまま逝くかも知れないです! 長文を読む気力が無いので、かいつまんで速読で済ませました!
営業さんって、自分からは良いことしか言わないですよね。
うちの営業も似たようなものです。
で、メンテナンス(サービス)部門がお客様から叱られる。わたしも何度も経験があります。
強烈だったのは、とある機器がネットワークから自動でバージョンアップされる仕様なのですが、バージョンアップすると機器が起動しなくなる不具合が発生したときは、1カ月ぐらいメンテナンス(サービス)部門が各お客様宅へ訪問し修正版のソフトウェアに更新する作業がありました。
お客様は当然ながらお怒りモードなので、大変な事態となりましたよ(^^;

お互い、これからも頑張っていきましょう(^o^)丿
>>06年9月には、NTT東日本の「ひかり電話」でも同様の通話障害が発生

教訓は活かせなかったのかな。
汚い商売をしてツケが回るのは当然だが、他の部課が可哀相。
本当に大変だったご様子がうかがえます。お疲れになったことでしょう。

αLCRとか、懐かしいです。当時使っていたパナソニックの電話機にそのマークがあった気がします。
8年位前に東日本の ひかり電話 の提案に関連する業務に就いていましたが
必ずアナログ回線を残置する構成にするように指導された記憶が…🙄
imuyan1@Mie
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>> gavotte@新型NISAウイルス さん

この日、電電休暇で午後から帰るつもりの方がいましたが、顧客対応をしている人は帰れなくなり、後日半日有休を取得しました。
営業系の人は、こんな障害が起こっているのを知らずに午後から休んでいて、顧客から「営業の○○さんに電話をかけたが繋がらなかった」と言われたのも何件かありました。
imuyan1@Mie
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>> 伊勢爺い さん

三重県は、昭和の頃に電波障害対策の共同アンテナがありましたが、平成になって共同アンテナの管理が地域のケーブルテレビ局に移管された経緯もあり、ケーブルテレビでテレビ、ネット、電話を使っている方が多いです。ケーブルテレビの引込も、同軸ケーブル→光ケーブルになりましたので、ケーブルテレビでも光回線になっている所が結構あります。
imuyan1@Mie
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>> incredible@師走(しわす) さん

17年前の出来事です。
今、NTTで勤務している若い世代はこの大規模障害を知らないと思います。
NTT西日本、子会社の派遣社員による顧客情報漏洩でえらいことになってます。今は、NTTから離れてますが顧客情報漏洩、内部事情を知るだけにマスコミ報道以上に現場は大変と思います。ここではこれ以上書けませんが。
imuyan1@Mie
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>> 1953生まれ さん

NTT、電話加入権をずっと休止にしているといつの間にか、加入権が消滅します。
30年位前は、アナログ電話を引くだけで加入権が結構な金額になりましたが、加入権不要のISDNやひかり電話の登場で、加入権の資産がどんどん低下しました。私も相続の際、親父の加入権を相続しましたが、資産価値ほとんどなかったです。
imuyan1@Mie
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>> imaru2019 さん

NTTの場合、販売が色んな所があり、NTT直営もあれば、営業委託している業者、代理店等ありました。
光回線とひかり電話を獲得すると、営業にとっては高いポイントになるため、乱暴な営業するのもありました。
ネットを使わない高齢者に「電話料金が安くなる」と語って、光回線とひかり電話を売りつける営業がいました。ひかり電話にすると、電話の通話料金は安くなりますが基本料金は高くなります。高齢者の息子からNTT西日本のオレンジライン(苦情受付窓口)にクレームが入ることもしばしばでした。
乱暴な営業が獲得してきたお客様から苦情になって、営業とバトルすることもしばしばありました。
imuyan1@Mie
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>> Parama000 さん

NTT西日本でひかり電話が始まった頃「○△CR」の電話機で市外通話が掛からないトラブルが相次ぎましたが、最初は「この電話へはかかりません」というガイダンスでしたが、現場から改善要望が出て「00から始まる電話番号へはかかりません」に変更されました。
ガイダンス変更後、営業から「市外にかけると、00から始まる・・」とガイダンスが出て、市外へかからないとお客様対応依頼が来ましたが、営業に「こんなことも知らんと売ったんか?」と言って、営業に対応させたこともあります。

>> imuyan1@Mie さん

電話加入権をずっと休止にしていますが、住所変更届けはしていませんけど権利の継続延長申請だけはしています。 しかしもう固定回線は長い間休止状態ですので必要無いのが分かりました、住所変更に住民票が必要だと言われた企業ですが民営化されても国営企業の体質は変わってませんねえ!

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>状況については現場でも全くわからない状況でした。時間が経つに連れてNTT西日本管内全域の「ひかり電話」の大規模障害とわかり

これって、分からなかったら聞く事ってできなかったんですかねえ。
「聞かぬは一生の恥」とかいいますけどNTTじゃ、違うんですか。
もしかして「三猿」がモットーで毎朝、「うっきー!!」とか朝礼で言ってたりしてw
imuyan1@Mie
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>> まきぴ~ さん

17年前、お客様からの苦情を受けた女性オペレータ、涙をこぼしてました。顧客からの苦情や問い合わせもキツかったですが、何も情報が下りてこない状況でのお客様対応を一番辛かったです。

パナソニックはαLCRでしたね。当時の電話料金の請求書が、NTTとDDIまたは日本テレコムからと2箇所から届きました。
うちはシャープのFAXでSuperACRでしたので「ゼロゼロ付いたらハッピーハッピー」の日本テレコムから請求書が届きました。日本テレコムからの請求書には通話明細が載っていて、市外通話の電話番号が載っていたこともあり、嫁さんから「どこ電話したん?」と突っ込まれたことがあります。
imuyan1@Mie
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>> ギリアム・イェーガー・ヘリオス さん

10年位前は、光の開通にいましたが、ある営業会社の光回線とひかり電話のオーダーで何件か、法人回線の3番号を光へ移行とありましたが、必ずアナログで1番号残すオーダーになってました。「ひかり電話よりも、ひかり電話オフィスにすればええやん!」と私が処理しながら思ってましたが、テレマーケティングでイケイケの営業している所なので、獲得にあたり細心の注意を払わなくてはならない「ひかり電話オフィス」はとれない所と認識しました。
私も自宅の固定電話をひかりにする際、アナログ回線1回線を残し、このアナログ回線に黒電話を接続しておこうと検討してました。
imuyan1@Mie
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>> がんばるじゃん@中世"JAP"ランド さん

自分の部署では、立て続けに同じような申告があると「何かあるのでは?」と部署内で共有します。部署の責任者は各県域責任者と共に、本部との電話会議を始めてましたが、本部からは何が原因で起こったのか?復旧見込は?について回答がなかったです。
このひかり電話大規模障害の直後、NTT西日本トップの謝罪会見で「人知を超える範囲」と発言したことで、ひかり電話の解約が相当出たようです。 
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