歯医者復活戦・DAY3

続き物の３話目Death😰
第一話はコチラ
https://king.mineo.jp/reports/221610
第二話はコチラ
https://king.mineo.jp/reports/223341


時は来た。
歯ぐきの炎症は収まったけど、やっぱり痛い。
冷たいビールは懲りたので、暫く飲んでない。
ポケットの中に保険証と診察券の感触を確かめると、わたしは戦場へと足を踏み入れた。

「今日は大変かも知れませんが、頑張りましょうね～」
お前が頑張れよ。
いや、悪態を吐いても仕方ない。相手はプロなんだから、潔く身を委ねるしかないだろう。
タオルで顔を覆われて何も見えないけど、すぐ近くでガチャガチャいう音が聞こえる。これって、工具箱の点検をしているときと同じ音だ…

麻酔が効き始めるのを待ちながら、かなり前に親知らず（三本目）を抜いたときのことを思い出す。
あの時は瞬殺で抜けたんだけど、油断してたから大失敗したっけ…
いつも行く立ち飲み屋の２階が歯医者さんだったから、しめしめと思ってそこに行ったのが間違いだった。
そんなGOOD立地だったら、抜歯した後直行するに決まってるじゃん。
案の定、麻痺した口でビール飲んでこぼしまくったんだよね……

「では、麻酔も効いてくる頃なんで始めますね。我慢できない位痛かったら合図してくださいね……って言うか今合図されても、まだ何もしていませんよ！」
『うげげげげげげげっ！』
麻酔のおかげで痛みは相当抑えられている、それは間違いない。いや、寧ろ切り傷の縫合処置から心臓カテーテルまで色々やったけど、麻酔はよく効いていたはずだ。だけど、なんだこの痛みはっ！
「格闘技じゃないんだから、僕の腕をタップしてもダメです。ていうか変に触られると手許が狂うんで、じっとしててください！」

長い時間ゴリゴリやっているけど、抜けそうで抜けない感じがヒシヒシと伝わってくる。
「ここらでいったん休憩しましょう。あまりにも痛そうなんで麻酔を追加しますね」
追加したって痛いもんは痛い。結局親知らずが抜けたのは治療開始から一時間くらいあとだった。
金属製のトレイにカランと音をたてて転がる血まみれの親知らず。
「はい、よく頑張りましたね」
『うえええっ😭』
「いいオトナなんだから、ベソかかなくても。はい、うがいしてくださいね」
『げええぇぇっ🤮』
踏んづけられたカエルみたいな呻き声が思わず出る。カエルを踏んだことなんかないけど。この頃には麻酔が切れてたから、うがい用のぬるま湯みたいな水でも歯にしみる。
こりゃ、晩酌は無理かな……
結局その日は何も飲み食いできず。
痛み止めを服用するために水を飲んだだけ。


次の日。
お昼休みになってもまだ痛い。
「河嶋さん、まだ痛むんですか？」
『さっき痛み止めを飲んだら大変なことになった』
「？」
何も言わずに口を開けたわたしの抜歯の跡を見て同僚が大爆笑。
「河嶋さんっ！痛み止めは内服するもので、患部に詰めるものじゃないですから🤣🤣🤣」
そう。錠剤が抜歯の跡に挟まって取れなくなったんだ……

執拗なうがいでやっと錠剤が取れたあと、懲りもせずにわたしはスコープカメラを口腔内に突っ込んだ。
あれ？抜いた後の傷口、奥のほうに何か白いものが見える。これ、ちゃんと抜けてないんじゃ？？
慌てて歯医者に電話。
「ああ、それは歯じゃないですよ。ちゃんと抜きましたから……えっ？白いものは何かって？それは顎の骨です。心配しなくても傷口はちゃんと塞がりますから😁」

なぬっ！😰😰😰