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旅の思い出をスマホで3D撮影→3Dプリントしてみた

旅の思い出をスマホで3D撮影→3Dプリントしてみた

ミノシマタカコ
ライター: ミノシマタカコ
ライター/ウェブ編集。2001年からウェブコンテンツ業に企画・ディレクションとして携わる。2012年よりフリーライターに。女性向けコンテンツのほか、アプリ、旅行、生活、クルマ、働き方など様々な分野で執筆中。趣味は狛犬巡り。日本参道狛犬研究会会員。

旅先での写真撮影は、旅行の楽しみのひとつ。筆者も旅に出たらスマホでパシャパシャといろんなものを撮っています。

でも、写真で思い出を持ち帰るのはちょっと普通すぎる! もっとリアルに思い出を残せないかと思い、今回は「3Dでの思い出撮影」にチャレンジしてみました。

LiDARって何? スマホで3D化するための基礎知識

物を立体的に見せる技術「3D」。

3D撮影する方法はいくつかありますが、スマホを使う方法は主に2つ。「LiDAR(ライダー)」と「フォトグラメトリ」です。

「LiDAR」とは、レーザー光の反射波が届くまでの時間を測定して、物や地形の「距離」を読み取る機能。手軽に3Dデータ化できることと、天候に左右されにくいのがLiDARスキャンの特徴です。iPhone 12 Pro/iPhone 12 Pro Max以降の「Pro/ProMax端末」に搭載されています。

「フォトグラメトリ」は、対象物をさまざまな角度から撮影した複数の写真を合成して、精緻な3DCGモデルを作成します。高解像度な3Dデータを作成しやすく、広い範囲の3Dデータでもキレイに仕上がるのがフォトグラメトリの特徴です。LiDARなしのスマホでも、フォトグラメトリ用のアプリがあれば使うことができます。

今回はLiDAR搭載のiPhone 15 Proと、SNS上の3D飯テロ画像でよく使われているアプリ「Scaniverse」を使って撮影します。このアプリ、以前はLiDAR搭載のスマホでしか使えませんでしたが、今は非搭載でも使えるようになりました! 2021年に『Pokémon GO』で有名なNianticが買収したのち、全部無料で使えるようになっています。ありがたや……。

Scaniverseダウンロードページ:iOSAndroid

Scaniverseの基本的な使い方

まずは我が家のぬいぐるみを使って、基本的な撮影の手順を紹介します。

アプリ上での操作の流れはこんな感じ。撮影するときは対象物の周囲をぐるっと上下から左右からと、全体を撮ります。

スキャンタイプ「Splat」で撮影すると、対象物が点の集まりのような表示になります。これは広い場所を撮影するなどデータが膨大になっても、そのデータを分割して一部だけを編集できるといった利便性があるそうです。

もう1つのスキャンタイプ「Mesh」では、スキャンした情報から、頂点、線、面で構成された3Dのデータが作成されます。このデータは、さまざまな形式(FBX、OBJなど)で書き出すことが可能。書き出したデータをPC用の3Dソフトに読み込めば、簡単にプリント用のデータを作れます。

左がMeshで撮影したデータ。右がSplatで撮影したデータ。よく見るとSplat側は部分的に体が透けてしまっている
左がMeshで撮影したデータ。右がSplatで撮影したデータ。よく見るとSplat側は部分的に体が透けてしまっている
左がMeshで撮影したデータ。右がSplatで撮影したデータ。よく見るとSplat側は部分的に体が透けてしまっている

今回は最終的にデータを3Dプリントしたかったので、さまざまな形式でファイルを書き出せるMeshで撮影することにしました。

では、思い出を3Dにするため旅に出かけましょう!

奥美濃で鮎の塩焼きを3Dで撮影

東京からクルマで、岐阜県の奥美濃エリアにやってきました。

清流の多い岐阜県は、おいしい鮎がいっぱい! 鮎の塩焼きを求めて、道の駅「白山文化の里長滝」に併設された「清流長良川 あゆパーク」に立ち寄ります。

施設内の「里川あゆハウス」に足を踏み入れると、インパクト大な鮎のオブジェが登場! 地元の作家さんの作品なのだとか。撮影の許可をいただいたので、練習も兼ねて3Dで撮影してみました。

画像

スタッフさんにオブジェを移動してもらったので、ぐるっと回ってうまく撮れました。対象物の周囲に回り込むスペースがない場合は、3Dで撮影するのはちょっと難しいかもしれませんね。

続いて、お目当ての鮎の塩焼きを撮ってみましょう!

ドラム缶の中で焼くという変わったスタイル

焼きたての鮎を手に持って撮影しようとチャレンジするも、鮎ではなく自分の手ばかりが撮れてしまいました。

そこで、いろりを借りて撮影することに。LiDARのレンジ(対象物までの距離の設定)を変えたり、撮影時に対象物へ近づいたりと工夫しながら撮影したところ、なんとか成功!

左は写真撮影した鮎、右は3Dで撮影した鮎

3Dで撮影したデータから鮎だけをトリミングしたもの
3Dで撮影したデータから鮎だけをトリミングしたもの

焼きたての鮎の感じが少しは伝わるでしょうか!? これは帰ってから3Dプリントしてみようと思います!

ふわふわクレープを3Dで撮影

しょっぱいものを食べたあとは甘いものを食べたくなり、サービスエリアへ立ち寄ることに。「ふわふわクレープ ひるがの高原サービスエリア店(くだり線)」で、エスプーマと呼ばれるホイップがぎっしり詰まったクレープを注文。

あゆパークで何度も3D撮影にチャレンジしたから、クレープは比較的スムーズに撮影できました。

一番人気のいちごチョコバナナ生クレープ

ただ、このときもやはり手持ちではうまく撮影できず。お店の人に台座をお借りしてきれいに撮ることができました。安定して置ける場所があったほうが、食べ物の3Dスキャンはうまくいきそうですね。

実家に帰って周辺を3Dで撮影

遠く離れた実家。たまに帰っても、なかなか写真に何かをおさめるということはしないもの。そこで、敷地内のあれこれを撮影してみたところ、いくつか気づきがありました。

細い形状のものは撮るのが難しい

まずは使っていない畑に刺してあったスキーのスティック。謎な存在ですが、記念に撮影してみました。

撮影したスティックは、よれよれの棒の状態に
撮影したスティックは、よれよれの棒の状態に

スティックの周りのかなり広い範囲を撮影できていて、びっくりしました。撮りたかった肝心のスティックは棒の部分がよれよれした状態です。串刺しの鮎を撮っているときにもうっすらと感じていたのですが、棒などの細いものは撮影が難しいようです。

動くものは撮るのが難しい

続いて愛犬を撮影してみました! 3Dにして持ち帰ることができたら嬉しいと思ったのですが……。

後ろ姿を見て「撮影成功!」と思いきや……

ホラーな生物を誕生させてしまいました
ホラーな生物を誕生させてしまいました

寝ている隙に撮影を……と思ったのですが、気づかれてしまい頭周りを動かされた結果、なかなかホラーな状態の3Dに。これは大失敗。動くものの撮影は、難度が高いことがよくわかりました。

ほかにも透明なもの、光が反射するもの、モフモフしているものは、3Dの苦手分野のようです。でも、思っていたのと違う結果がでるのも、アナログフィルムで写真を撮っていたときのようなわくわく感がちょっとありますね!

ある程度大きなものも撮影できる

SNSを見ていると、このアプリで美しい風景を撮っている人もいる模様。ある程度広い範囲が撮影できるなら、壊れかけの小屋なども撮影できるのでしょうか。最後に試してみました。

こちらは、これまで使用してなかった「Splat」で撮影。大きなデータの処理を得意とするスキャンタイプです。

小屋周りのうっそうとした雰囲気が3D化できた!

木々もしっかり再現でき、壊れた小屋とその周りの雰囲気を3Dにすることができました。小屋を定期的に3Dで撮影して、自然に朽ちていく経過をまとめてみるのも面白そうですね。

持ち帰った3Dデータをプリントしてみよう!

旅から帰ってきました。

写真で撮ったデータは紙にプリントできるように、3Dで撮ったデータは3Dプリンターを使えば立体の造形物がプリントできます。今回は鮎の塩焼きを3Dで再現してみましょう。

鮎の塩焼きだけを3Dプリントしたいので、まずはアプリ上で余計なデータを削除します。

続いて、このデータを書き出し、PCの3Dソフトに読み込ませます。使ったソフトは、これまた無料の3DソフトBlenderです。もちろん、自分の使いやすい3Dソフトがあれば、そちらでもOK。

Blender上で、印刷しやすそうな角度に調整したり、プリント時に穴が開かないようにチェックや補修をしたりしてから、3Dプリンターで広くサポートされているSTL形式のファイルで書き出します。

左はテクスチャ(色彩や質感)がついた状態。右はテクスチャがない状態。3Dプリントすると、テクスチャがない状態で書き出される

あとは、書き出したSTLファイルを3Dプリンターのソフトに読み込み、プリンターにあわせたデータに変換してプリントします。その結果……。

3Dプリンター内の完成したばかりの鮎の塩焼き(制作協力:路上博物館

串の存在が、プリントした鮎の塩焼きを支えているサポート材よりも頼りなさげではありますが、ひとまず完成しました!

サポート材を取り除いたら、思った以上にしっかりとした鮎の塩焼きに! 串の尖った形状も再現できていました

真っ白なので元の存在を知らない人からはナニモノかと思われそうですね。アクリル絵の具で着色が可能なので、後日、着色してみました。

ここまでやると愛着がわいてきますね。鮎、おいしかったな……。



以上、旅の思い出を3Dで形にする試みでした。

画像を記事に載せる都合上、今回は旅先の施設で許可を取っていろいろと撮影させてもらいました。写真と同様、3Dも「撮影禁止」と書かれたエリアでの撮影を行わないのはもちろんのこと、著作権やプライバシーの侵害にならないよう気をつけながら、撮影やプリントをする必要があります。

ちなみに、今回は3Dプリンターをお借りして自分でプリントしましたが、ネットで「3Dプリントサービス」などで検索すれば、プリントを代行してくれる業者さんが見つかりますよ。プリントはプロにおまかせするのも一つの手ですね。

スマホで気軽にできるようになった3D撮影。気になった人はチャレンジしてみてください!


イラスト:サンノ
編集:ノオト


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54 件のコメント
5 - 54 / 54
mineoさんマイぴょんで作ってくださいね🐶
mineoさんの新しい試みをいつも楽しみにしております❤️
なるほど。次はうな重(特上)を10倍スケールでお願いします。
おつかれさまです!
またまたおもしろい番組!
遅い昼休みが楽しみです!
ほんとうにいつもありがとうございます!
mineoファミリーでよかった(≧∇≦)
すごいな今どきのスマホはー。8年前に3Dプリントかじったときは挫折しましたが、またやってみようかな。
鮎の着彩、すばらしい出来栄えですね! たかや先生の工作と精度が違うw
わんちゃんリベンジをいつかお願いします。
面白い試みですね!
やってみたくなりました。
個人的には何よりホラーな生き物を出力して欲しかったな(笑)

形状だけではなく、色まで再現してくれたら、3Dプリンターに興味が持てるんだけどなぁ…
詳しい3D撮影方法を初めて拝見しました。なかなか大変ですね。
参考になりました。
お疲れ様でした。
3Dの時代を、具体的に記事で体験させて頂きありがとうございます。また、新たな事を教えて頂けるのを、楽しみにしております。いつもありがとうございます。
鮎の塩焼き は食品サンプルになってもおかしくない出来ですね。

あいにくの天気だったのは、ついてないですねぇ~😓
2年前の福島はダダ降りの雨☔と雷雨⛈️でしたので……。
3D撮影、実に面白い。このぐらい綺麗ならば、食堂のサンプルを3D対応すれば、見映えがすると思います。新しい、ビジネスモデルになるかも。
楽しそう。面白そう。
思い出を立体で残すって発想からもう面白かったです。
こんなことできるんや…って楽しく拝見しました。
鮎の塩焼ききれいにできましたね!
3Dプリンタもすごいですが、何より彩色技術がすごすぎて…!!
とても、とても、面白くて没頭して拝見しました。
お陰様で、知識が増えました。
有難う御座居ます。
3Dプリンターは、勤務先で見てますが、私も使えれば、良いなぁと、思っていました。
詳しく説明して貰って、有り難いです。

こんな記事は、大歓迎です!
今後共、宜しくお願い致します。
🙇
3D作れるものなんですね。
勉強になります。
とても興味深く読ませて頂きました!
最近のiPhoneには、そんな機能も付いていたとは驚きです。
そんな機能が無い android でもアプリで出来るようなので、壊れたけど古くて製造されてないばかりか、修理用としても売られていない部品を、接着剤で(見かけ上)治した物をスキャンして、3Dプリントすれば、使える部品が手に入って良さそうです。

そういう部品をグルーガンで治して使っているけど、
今度外れたらスキャンして、プリント屋にプリントしてもらおうかな?
形はそれで再現できても、問題は強度と価格。
そこが心配(素材がなんであれ)
以下を観ると、ダイソーで買ったグルーガンの方が、はるかにコスパは良かったです。

3Dプリントサービスの価格相場は?比較ポイントと業者8選も解説!
https://oa-kanji.com/posts/3d-print-service-price
3Ⅾプリンターのことが理解できて、とっても身近になりました~~!!!
とっても、勉強になりました~~!!!
最近、家具とか家とかも3Ⅾプリンターを活用して、安価に製作できるという記事を読みました!!!
これから、もっともっと、身近になると思います!!!
これからも、ためになる、役立つ記事を希望しています!!!!
ホラーなやつは、ある意味成功だね。
そんなものばかりをプリントすれば、自分でお化け屋敷を作れるから。w

学園祭とかやる学生が使えそうじゃん
プリント代が問題だけど
こんなことが出来るのですね。
勉強になります。
面白いですね、3Dプリントは奥深い
鮎の着色を自分でしたのなら、プロ級の塗装工に成れるかと。😆
技術の無駄遣い感がすごい!
こんなことできるのね、今は
なるほどー、3Dプリンターはこういう使い方もできるのか。面白いですね。
これから先みんながもっと簡単に使えるようになると、色んなことに応用できそうですね。
着色すごく上手でビックリしました!!
3Dスキャナーは工業用の本格的なものだったイメージがありますが、忍耐があれば誰でも扱えるようになった事、隔世の感です。モフモフはテクスチャとして別に適用しないと難しいかも。
3Dプリンタも知らないうちに普通に使われているのは、色々な場で見かけます。パーツが無い古い製品を修理するのに、とても重宝だとか。
お疲れ様です‼️見てたら気持ち悪くなりました!😂でも、暇な時にやりたいなと思いました。お疲れ様でございました‼️知らんけど🤭
参考になりました。

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今ではスマートフォンで3D画像が、素晴らしい技術の進歩。アプリでないと3Dに見えないのは全天カメラ リコー シータと同じか。ステレオ写真は裸眼で立体視できます。それ用のスコープもあった。

3Dつながりで、アスキー3D-ROMメガネの画像を。ASCII DOS/V ISSUE 1997年2月号。確かにこれで見ると記事が3Dに。中にパーソナル向けモデリングマシン MODELA の紹介記事があります、ローランド製。当時は3次元プロッタとよんだらしい、12万円。
3Dプリントには非常に興味有るのですが、なかなかハードルが高くて・・・。
でもわたくしも挑戦してみたいです。
凄い🐟〜✨身近になって来たのですね。
善用されると色々な分野のパイオニアも増えそうですね👍🐰👍
3D撮影や3Dプリンターについて、少し理解できたように思います。
今回の記事、参考になりました。
技術の進歩!!素晴らしい
3Dプリンターがもっと身近な存在になれば、いろいろ作れて楽しそうです。
この記事読んで、むかしエクスペリアxz1でも3D撮影が出来ることを思い出しました。発注すれば物として作成もしてくれたと思います。使わない機能でしたが、スマホを売るために色々と考えるものだなぁと当時を懐かしく思い出しました😃
鮎の塩焼き、着色がとても綺麗で見る度思い出が蘇りそうですね🐟
最後に想像以上にリアルな鮎が出てきて笑ってしまいました
興味深く拝読しました。
自分で調べればエエんですけど、3Dプリンターの造形材料は可塑性のプラスチックかなにかなのでしょうか?(^^ゞ
凄いけど、おもしろい!
すごいリアル!試してみたい。
最近のスマホの機能を駆使して、3D撮影にチャレンジするアイデアがとても面白かったです。特に鮎の塩焼きの3Dプリントは、見た目もリアルで驚きました。3D撮影やプリントがこれほど身近になっているとは知りませんでした。これからもこうした興味深い技術の紹介を楽しみにしています!
本当にすごい世の中になってきたなぁ!とびっくりしてます!
iPhoneで3Dプリンタ用のデータが作れるなんて知らなかったです!有用な情報をありがとうございます!
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