- mineoニュース
- インタビュー
- 115
- 3
- 124
旅先での写真撮影は、旅行の楽しみのひとつ。筆者も旅に出たらスマホでパシャパシャといろんなものを撮っています。
でも、写真で思い出を持ち帰るのはちょっと普通すぎる! もっとリアルに思い出を残せないかと思い、今回は「3Dでの思い出撮影」にチャレンジしてみました。
物を立体的に見せる技術「3D」。
3D撮影する方法はいくつかありますが、スマホを使う方法は主に2つ。「LiDAR(ライダー)」と「フォトグラメトリ」です。
「LiDAR」とは、レーザー光の反射波が届くまでの時間を測定して、物や地形の「距離」を読み取る機能。手軽に3Dデータ化できることと、天候に左右されにくいのがLiDARスキャンの特徴です。iPhone 12 Pro/iPhone 12 Pro Max以降の「Pro/ProMax端末」に搭載されています。
「フォトグラメトリ」は、対象物をさまざまな角度から撮影した複数の写真を合成して、精緻な3DCGモデルを作成します。高解像度な3Dデータを作成しやすく、広い範囲の3Dデータでもキレイに仕上がるのがフォトグラメトリの特徴です。LiDARなしのスマホでも、フォトグラメトリ用のアプリがあれば使うことができます。
今回はLiDAR搭載のiPhone 15 Proと、SNS上の3D飯テロ画像でよく使われているアプリ「Scaniverse」を使って撮影します。このアプリ、以前はLiDAR搭載のスマホでしか使えませんでしたが、今は非搭載でも使えるようになりました! 2021年に『Pokémon GO』で有名なNianticが買収したのち、全部無料で使えるようになっています。ありがたや……。
まずは我が家のぬいぐるみを使って、基本的な撮影の手順を紹介します。
アプリ上での操作の流れはこんな感じ。撮影するときは対象物の周囲をぐるっと上下から左右からと、全体を撮ります。
スキャンタイプ「Splat」で撮影すると、対象物が点の集まりのような表示になります。これは広い場所を撮影するなどデータが膨大になっても、そのデータを分割して一部だけを編集できるといった利便性があるそうです。
もう1つのスキャンタイプ「Mesh」では、スキャンした情報から、頂点、線、面で構成された3Dのデータが作成されます。このデータは、さまざまな形式(FBX、OBJなど)で書き出すことが可能。書き出したデータをPC用の3Dソフトに読み込めば、簡単にプリント用のデータを作れます。
今回は最終的にデータを3Dプリントしたかったので、さまざまな形式でファイルを書き出せるMeshで撮影することにしました。
では、思い出を3Dにするため旅に出かけましょう!
東京からクルマで、岐阜県の奥美濃エリアにやってきました。
清流の多い岐阜県は、おいしい鮎がいっぱい! 鮎の塩焼きを求めて、道の駅「白山文化の里長滝」に併設された「清流長良川 あゆパーク」に立ち寄ります。
施設内の「里川あゆハウス」に足を踏み入れると、インパクト大な鮎のオブジェが登場! 地元の作家さんの作品なのだとか。撮影の許可をいただいたので、練習も兼ねて3Dで撮影してみました。
スタッフさんにオブジェを移動してもらったので、ぐるっと回ってうまく撮れました。対象物の周囲に回り込むスペースがない場合は、3Dで撮影するのはちょっと難しいかもしれませんね。
続いて、お目当ての鮎の塩焼きを撮ってみましょう!
焼きたての鮎を手に持って撮影しようとチャレンジするも、鮎ではなく自分の手ばかりが撮れてしまいました。
そこで、いろりを借りて撮影することに。LiDARのレンジ(対象物までの距離の設定)を変えたり、撮影時に対象物へ近づいたりと工夫しながら撮影したところ、なんとか成功!
焼きたての鮎の感じが少しは伝わるでしょうか!? これは帰ってから3Dプリントしてみようと思います!
しょっぱいものを食べたあとは甘いものを食べたくなり、サービスエリアへ立ち寄ることに。「ふわふわクレープ ひるがの高原サービスエリア店(くだり線)」で、エスプーマと呼ばれるホイップがぎっしり詰まったクレープを注文。
あゆパークで何度も3D撮影にチャレンジしたから、クレープは比較的スムーズに撮影できました。
ただ、このときもやはり手持ちではうまく撮影できず。お店の人に台座をお借りしてきれいに撮ることができました。安定して置ける場所があったほうが、食べ物の3Dスキャンはうまくいきそうですね。
遠く離れた実家。たまに帰っても、なかなか写真に何かをおさめるということはしないもの。そこで、敷地内のあれこれを撮影してみたところ、いくつか気づきがありました。
まずは使っていない畑に刺してあったスキーのスティック。謎な存在ですが、記念に撮影してみました。
スティックの周りのかなり広い範囲を撮影できていて、びっくりしました。撮りたかった肝心のスティックは棒の部分がよれよれした状態です。串刺しの鮎を撮っているときにもうっすらと感じていたのですが、棒などの細いものは撮影が難しいようです。
続いて愛犬を撮影してみました! 3Dにして持ち帰ることができたら嬉しいと思ったのですが……。
寝ている隙に撮影を……と思ったのですが、気づかれてしまい頭周りを動かされた結果、なかなかホラーな状態の3Dに。これは大失敗。動くものの撮影は、難度が高いことがよくわかりました。
ほかにも透明なもの、光が反射するもの、モフモフしているものは、3Dの苦手分野のようです。でも、思っていたのと違う結果がでるのも、アナログフィルムで写真を撮っていたときのようなわくわく感がちょっとありますね!
SNSを見ていると、このアプリで美しい風景を撮っている人もいる模様。ある程度広い範囲が撮影できるなら、壊れかけの小屋なども撮影できるのでしょうか。最後に試してみました。
こちらは、これまで使用してなかった「Splat」で撮影。大きなデータの処理を得意とするスキャンタイプです。
木々もしっかり再現でき、壊れた小屋とその周りの雰囲気を3Dにすることができました。小屋を定期的に3Dで撮影して、自然に朽ちていく経過をまとめてみるのも面白そうですね。
旅から帰ってきました。
写真で撮ったデータは紙にプリントできるように、3Dで撮ったデータは3Dプリンターを使えば立体の造形物がプリントできます。今回は鮎の塩焼きを3Dで再現してみましょう。
鮎の塩焼きだけを3Dプリントしたいので、まずはアプリ上で余計なデータを削除します。
続いて、このデータを書き出し、PCの3Dソフトに読み込ませます。使ったソフトは、これまた無料の3DソフトBlenderです。もちろん、自分の使いやすい3Dソフトがあれば、そちらでもOK。
Blender上で、印刷しやすそうな角度に調整したり、プリント時に穴が開かないようにチェックや補修をしたりしてから、3Dプリンターで広くサポートされているSTL形式のファイルで書き出します。
あとは、書き出したSTLファイルを3Dプリンターのソフトに読み込み、プリンターにあわせたデータに変換してプリントします。その結果……。
串の存在が、プリントした鮎の塩焼きを支えているサポート材よりも頼りなさげではありますが、ひとまず完成しました!
真っ白なので元の存在を知らない人からはナニモノかと思われそうですね。アクリル絵の具で着色が可能なので、後日、着色してみました。
ここまでやると愛着がわいてきますね。鮎、おいしかったな……。
◇
以上、旅の思い出を3Dで形にする試みでした。
画像を記事に載せる都合上、今回は旅先の施設で許可を取っていろいろと撮影させてもらいました。写真と同様、3Dも「撮影禁止」と書かれたエリアでの撮影を行わないのはもちろんのこと、著作権やプライバシーの侵害にならないよう気をつけながら、撮影やプリントをする必要があります。
ちなみに、今回は3Dプリンターをお借りして自分でプリントしましたが、ネットで「3Dプリントサービス」などで検索すれば、プリントを代行してくれる業者さんが見つかりますよ。プリントはプロにおまかせするのも一つの手ですね。
スマホで気軽にできるようになった3D撮影。気になった人はチャレンジしてみてください!
イラスト:サンノ
編集:ノオト
楽しそうですね♪
sketchfabに撮影データをアップしたけど、当時のネット環境は貧弱で重かった。。。
https://skfb.ly/6XHzv
今見てみると、軽快に動作しますね。またやってみたくなった🤣