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近年、InstagramやX(旧Twitter)で名前をよく見かけるオールドレンズ。
その名の通り古いカメラレンズのことで、一般的にフィルムカメラ時代に生産されたレンズのことを指します。物によっては50年以上前のものも。オールドレンズの魅力は何といっても、その写りの雰囲気。
こんな感じで、淡くボケた柔らかい雰囲気の写真を撮ることができます。微妙にピントが合っていませんが、それも味ということにしておいてください。
現行のデジタルカメラにマウントアダプターを付ければ大抵のオールドレンズは装着できるので、その始めやすさもいいところです。
私は古着とか雑貨でも古いものが好きなので、いつかオールドレンズにも手を出してみたいと思っていたんですよね。だってレンズごとに違った雰囲気を楽しめるなんて素敵じゃないですか?
そこで今回は、オールドレンズを中心に揃える秋葉原の中古カメラ専門店「2nd BASE」さんにやってきました。
「2nd BASE」は1975年創業の三宝カメラが立ち上げた、「カメラ愛好家の秘密基地」をコンセプトにしたオールドレンズをよりカジュアルに楽しめるお店です。
店内にはいろんなレンズがずらりと並んでいます。これは楽しみ!
今回ご対応いただいたのは、店長の三村祐太さん。
神田 オールドレンズはなんとなく古いカメラレンズという認識なんですが、何か定義などはあるんでしょうか。
三村 明確な定義はなくて、一般的にフィルムカメラ時代に使われていたマニュアルフォーカスのレンズが「オールドレンズ」と呼ばれています。人によってはずっと昔の真鍮(しんちゅう)製のものや80年代のオートフォーカスのものも含まれるので、議論が分かれるところではあります。
神田 ではフィルムカメラ時代のマニュアルフォーカスのものをオールドレンズと認識して進めます。ちなみに、三村さんが考えるオールドレンズの魅力ってなんでしょう。
三村 やはり今のカメラでは出せない雰囲気の写真が撮れることでしょうか。余計な光が入ってきたり、色がうまく乗らなかったり、そういうところをあえてレトロチックに楽しむことができます。
神田 普通だったら白ボケしてるというところも味になるというか。
三村 そういうことです。現在はどのメーカーも「よりきれいに、鮮明に」という方向でレンズの開発が進んでいると思うのですが、そうなると行き着く先は一緒になってくるんですよね。
神田 技術力が高まりすぎることによって、それぞれの差がなくなってくるんですね。
三村 だからそういうのに飽きてしまった人が、オールドレンズに行き着くんだと思います。個性豊かなレンズがいっぱいあって、ものによってはそこでしか出会えない一点ものともめぐり合えるし、自分の個性が出しやすいと言えますね。
神田 俄然気になってきた! ちなみにカメラレンズは高額な印象があるんですが、オールドレンズってお値段はどれくらいからなんでしょう?
三村 現行のカメラレンズを買おうとすると2万〜4万くらいはかかりますが、オールドレンズは安いものだと数千円からあります。気軽に試すことができるのも魅力です。
神田 お財布にもやさしいですね。
神田 あれ、こちらに格安レンズの棚がありますね。
三村 こちらはダメージレンズの棚です。キズが入って割れていたり、レンズにカビが生えていたりして撮影に影響があるものを格安で並べています。
神田 3,000円のものもありますね。他のレンズと比べてかなりリーズナブルですが、ちゃんと撮れるんですか……?
三村 意外と撮れるんですよね。独特のハイライトの滲みや、霧の中のような幻想的な写真を撮ることができます。
神田 ちょっと後で試させてください! 他に何かオールドレンズならではのレンズってありますか?
三村 それでいうと、昔に映画撮影用に使われていた「シネマレンズ」は珍しいと思います。
三村 当時で100万円以上する高価なものだったので生産数もその分少ないし、こういうレアものが手に入るのもオールドレンズの特徴といえます。
神田 なるほど、ちなみに写り方ってどうなんでしょう。
三村 こちらのレンズで試しに撮ってみましょう。
三村 今から50年以上前のレンズですけど、現行さながらに鮮明に撮影できますね。昔の映画って8ミリや16ミリなどの小さいフィルムを大きいスクリーンに映すので、より高い解像度が求められたんですよ。その技術力の高さがわかります。
三村 このような感じで四隅が暗くなるのもシネマレンズの特徴ですね。
神田 かっこいい! これだけ写りが違うといろいろ集めたくなっちゃうな……。
神田 オールドレンズを始めたい人に向けて、何か定番モデルがあれば教えてください。
三村 当店では、こちらの3つのレンズを初心者向けにおすすめしています。
三村 それぞれ性能も価格帯もオールドレンズ初心者にぴったりだと思います。では、試しに撮影してみましょうか。
神田 ではそれぞれ撮ってみますよ……。
神田 おっ! なんか電球の周りに虹の輪ができてハッピーな感じになっている。
三村 いわゆる「ゴースト」というものですね。現行のレンズはこれを出さないように開発しているので、オールドレンズならではの味と言えます。
三村 こちらは「ぐるぐるボケ」って言って、背景がぐるぐるとしたボケ方をするのが特徴です。
神田 ホントだ! なんかキラキラでサイケっぽい感じに撮れてる。
三村 背景が何もないところよりかは、物があってごちゃごちゃしているところのほうが、ぐるぐるボケが写りやすいですね。シンプルな写真にひねりを加えたいときはこのレンズがおすすめです。
神田 すごい。単純な構図の写真でもすごくいい雰囲気が出ますね。
神田 3つめはこちらですね。なんかレンズが窪んでて変わった形をしてますね。
三村 構造的にレンズフード【※1】のようになっていて、余計な光を取り込まないので、ゴーストやフレア【※2】がほとんど出ないようになっています。それにマクロレンズ的に接写もできるのが強みです。
※1 レンズの先端に取り付けるアクセサリー
※2 強い光がカメラの中で反射することで写真全体が白っぽくなる現象
神田 オールドレンズ的な味わいには欠けますが、使い勝手が良さそうですね。
三村 このレンズの最大の特徴は、絞りの形が六角形の星になる点ですね。
神田 どれどれ……?
神田 あっ! ホントだ! めちゃくちゃかわいい……。
三村 光の反射しているところがボケやすいです。イルミネーションとか花火のパチパチする光を、あえてぼかして撮ったりすると味わいのある写真になると思います。
神田 光っているところに向けると簡単にボケるから初心者には使いやすいかも……。
神田 ダメージレンズコーナーにあったんですが、こちらのカビが生えているものも試してみたくて。
三村 大丈夫ですよ。物によりますが、まったく撮れないわけではないので上手く使えば楽しめると思います。
神田 レンズにしては5,500円は安いですし、これでしっかり撮れたら儲けものですよね。どれどれ……。
神田 ちょっと白く薄ぼやけて不鮮明ですが、雰囲気がいいですね。好きだな〜。
三村 これがオールドレンズの良さとは言いませんが、キズや汚れなども雰囲気として味わうことができる懐の深さがありますね。
神田 傷やダメージのあるレンズの中から、いい雰囲気で写せるレンズを発掘できたときは「よっしゃ!」となりそう。
三村 レンズは光を集めて対象を撮影するので、カビに光が入るとどうしても白っぽくなります。気にされない方はいいですが、見た目が良くないので敬遠される方も多く、その分値段はお安めです。
神田 状態のいい古着よりも汚れてる古着のほうが好きだから、こういうレンズ集めてみたいな……。
神田 オールドレンズとの相性がよくて、お手頃のカメラボディはありますか?
三村 SONYの「α7」や「α7II」、NIKONの「Z5」の3機種は初心者におすすめです。オールドレンズの味を最大限生かすなら、フルサイズセンサーという大きなセンサーを搭載している機種がいいのですが、この3機種はどれも搭載しています。
神田 フルサイズセンサーだと何がいいんですか?
三村 センサーが小さいと焦点距離(○○mm)が長く望遠になってしまい、広角で撮りづらくなるんです。また、フルサイズセンサーだとレンズの性能を余すことなく使えるのでおすすめです
神田 なるほど。スマホの広角レンズに慣れているので、広角で撮りやすいほうが助かるかも。
三村 SONYのα7、α7IIは型落ちなので、現行の機種と比べるとオートフォーカスの性能などがだいぶ劣りますが、オールドレンズはマニュアルフォーカスなのであまり関係ありません。値段もお手頃なので手が出しやすいと思います。
三村 NIKONのZ5は現行機種ですが、フルサイズセンサーの入門機的な位置づけで、比較的安価です。NIKONは操作系や機能がオールドレンズにやさしく使いやすいと思います。
神田 めちゃくちゃ参考になります!
神田 いろいろ伺いましたが、意外とオールドレンズって気軽に楽しめるんだなと思いました。もっと気難しい人がやってるかと思って……。
三村 ちょっと怖いイメージありますよね。だからこそお店でもっと気軽に楽しんでもらえるといいなと思っています。
神田 基本、ミラーレス一眼カメラがあればすぐ始められると思ったんですが、ほかに何か準備するべきものってありますか?
三村 カメラボディとレンズをつなぐ「マウントアダプター」は必須ですね。3,000円程度から購入できます。カメラボディとレンズの連結部分をマウントと呼ぶのですが、同じ規格のもの同士じゃないと取り付けられないんです。それを可能にするのが、マウントアダプターです。
神田 マウントアダプター、忘れないようにします。あとマニュアルフォーカスなので、手動でピントを合わせなければいけないのがオールドレンズの特徴ですよね。
三村 そうですね。最初は慣れないかもしれませんが、上達していくとだんだんと楽しくなるはずです。そのピントボケなども味になりますし。
神田 そう考えると、今みたいにオートフォーカスがなくて自分でピント合わせてた人ってすごいな……。
三村 古いものは、ピントを合わせるためのピントリングが固くて回しにくいこともたまにあるので、購入するときは実際に触って操作感を試してみるのがおすすめです。
神田 写真1枚撮るだけでもより愛着を持てそうですね。ハマると絶対楽しそう……!
以上、秋葉原の中古カメラ専門店「2nd BASE」の三村さんにオールドレンズのことをたっぷりお伺いしました。
オールドレンズって難しいと思っていたけど、意外とそこまで難しくないのかも。レンズごとに違った雰囲気と作風を楽しめて、新品を買うよりもリーズナブルだからハードルも低いなと思いました。
いろんなオールドレンズを探すうちに、いつか自分にぴったりのレンズとも出会えるかも。なんだか相棒を探すみたいで素敵です。しかし私はカメラを持っていないので、まずはカメラを買うところからだ!
カメラ、買います! ピース!!!!
編集:ノオト
レンズの見た目もいいですよねー!
マニアックな世界楽しい(^ー^)
ありがとうございます!
ほしいと思っていましたが、今はスマホのカメラで十分という気持ちに
変わってしまいました。今も追い求めている人の気持ちを大切にしたいです。
大人になったらライカのカメラを買いたいな~と、
昔〜むかし〜思ったぁ〜肉球が出ませんでした😂
フィルムからデジカメもスマホも買うことなく今はタブレットですね。
コレで十分ですね。
カビていないかちょっとフィルムカメラを探してみます😆🌸🍡🍡
私もカメラ大好きだからスマホで撮るのもだけど一眼カメラ持ち歩きます。
ライカ欲しい~
今はミラーレスに移行しましたが、相変わらずオールドレンズも使います。オールドレンズは標準レンズが明るいので重宝しますし、楽しいですよ♪
十分に楽しんでいます
もしかしたら使えるかも?とちょっと撮ってみたら面白くて、他のオールドレンズ数本とと超古いフルサイズの一眼レフも購入してしまいました。
オークションサイトで、レンズは1本5~6千円、カメラも2万円ちょっとくらいでした。
20年近く前のカメラですけど今でも問題なく使えてますし、あんまりお金かけてないけど結構遊べてますよ。
お疲れ様です。
最初古いレンズをどのようにしてスマホに付けるのか?考えていましたがよく読むとカメラ本体ですねえ!納得です。
いろいろとあるのでピンボケの写真もいいと思います。
でも僕が撮ったスマホ写真もよくピンボケです。
本日はありがとうございました。又投稿をお願いします。
カビは大敵です。
精密機器なので、保管は厳重でした。
現在は、デジカメズーム付とスマホです
ありがとうございました。