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非婚化と子育ての損得・・『働く人が減っていく国でこれから起きること』

河田皓史・朝日新書 2023と少し古い本ですが、人口減少×働き方価値観の変化を現場データで解剖した良書です。

本書を読んで最も考えさせられたのは、働き手減少の根底に「子どもを持たない選択の合理性」がある点です。著者は若者がFIREを志向する理由を「時間の価値上昇」と説明します。

長時間労働で得られる昇給より、自由時間の効用が上回る社会では、結婚・出産という時間と資金を大量消費するプロジェクトは割に合わないのです。

実際、内閣府の試算では子ども一人を大学まで育てる費用は約2,000万円、加えて母親のキャリア中断による生涯賃金損失は約1億円に達します。
経済合理性だけで判断すれば、非婚化、結婚しないほうが「得」です。

一方で本書は、個人の合理性が社会全体の不合理を生むと警鐘を鳴らします。働き手が減れば社会保障負担は現役世代に集中し、結果として可処分所得はさらに目減りします。

子どもを持たない選択が合理的であるほど、将来の税負担は重くなり、結局「得」は短期的なものに過ぎません。

このジレンマに対し、損得を金銭だけで測らない視点が必要だと感じます。
本書が指摘する「ロールモデルの不在」は、子育てにも当てはまります。子どもを持つことがキャリアの足かせではなく、企業が短時間正社員やリスキリングで支援すれば、経済的損失は縮小します。

北欧諸国では育児休業の所得補償率が高く、出生率も回復傾向にあります。

非婚化は個人の自由ですが、社会がそのコストを放置すれば、働く人が減る国の経済規模はさらに縮小します。本書はその未来を冷静に描き、企業の従業員への施策と政府の政策の転換を促す良書です。

この気鋭のエコノミスト、河田皓史氏も結婚願望がないそうです。JTCで必死に働き結婚し家庭を持つのは無理ゲーだとか・・・・。


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