【SIM道楽】豆知識~eSIM、iSIM、SoftSIMの違いって何?~IIJがSoftSIM発表…
iPhone 17/17e の発売を機に、日本国内でも iPhone17ユーザーの増加に伴う eSIMの普及が一段と加速される勢いとなって来ています。
米国では既に 2022年発売の iPhone14から SIMスロットが無くなっているので、この傾向はさらに進んでいます。
そんな折…2026年4月2日、IIJより 『 IIJ、通信機器内にソフトウェアのSIM機能を組み込む「SoftSIM」で、携帯電話網を切り替えて通信できるマルチキャリア対応を開始 』との発表が有りました。 https://www.iij.ad.jp/news/pressrelease/2026/0402.html
本文抜粋 : 「当社は、通信モジュール内にソフトウェアとしてSIM機能を組み込む「SoftSIM」において、携帯電話網を切り替えて通信できるマルチキャリア対応を開始いたします。「SoftSIM」は、当社がフルMVNOサービスを活かしたIoTデバイス向けのソリューションとして2019年より提供しているものです。従来は、IIJがフルMVNOとして提供するNTTドコモ網のみで展開していましたが、このたびの機能拡張により、ローミングを活用しバックアップ回線として他事業者の携帯電話網も利用できるようになります…」
おおお、『「SoftSIM」で…マルチキャリア対応…』 って自分には何のことやら馴染みのない言葉です~(汗)
ということで、グローバル eSIMサービスで定評のある老舗の Telna社サイトによる説明~「eSIM、iSIM、またはSoftSIM、違いは何ですか?」 https://www.telna.com/blog/esim-isim-softsim? を参考にさせてもらいました。 ( by Telna社 )
Telna社は、先日 掲示板に投稿した『【SIM道楽】3/25 販売開始した IIJmio「海外eSIMサービス」をファーストタッチ体験レポ 』https://king.mineo.jp/reports/334163 で登場する、海外eSIMサービスの 提供元'DNA'パートナーでもあります。
******* 以下、抜粋 ********
eSIMとは何ですか?
eSIM (組み込み型SIM)は、2016年の登場以来、サービスプロバイダーが消費者に提供するケースが増え、最も人気のあるSIM技術の一つとなっています。従来のSIMを完全に置き換えるまでには至っていませんが、セカンドSIMや旅行用SIMとして消費者の利用は拡大しています。 2028年までに40億台の携帯電話がeSIMに対応すると予測されており、これは世界の携帯電話の75%に相当します。eSIM はデバイスのマザーボードに組み込まれており、従来のSIMカードのように取り外すことはできません。リモートSIMプロビジョニングとeUICC技術を使用することで、SIMを取り外したり交換したりすることなく、eSIMを完全にリモートで制御および更新できます。
iSIMとは何ですか?
iSIM(統合型SIM)はeSIMと同様の機能を持ちますが、マザーボードに取り付けられるのではなく、デバイスのシステムオンチップ(SoC)に内蔵されています。eSIMと同様に、iSIMも2016年から市場に出回っていますが、eSIMほど普及しておらず、調査によると現在のiSIM搭載デバイス数はわずか80万台にとどまっています。iSIMは、将来のIoTデバイスや、低消費電力または狭帯域通信が求められる用途において、より重要な役割を果たす可能性を秘めています。
SoftSIMとは何ですか?
ソフトウェアSIM(SoftSIM)は、物理的なハードウェアを一切必要とせず、その名の通りソフトウェアのみで構成されています。情報は物理的なSIMカードではなく、デバイスのメモリに保存されます。SoftSIMは比較的新しい技術であり、初の完全ソフトウェアIoT SIMが発売されたのは2023年のことです。
eSIM、iSIM、SoftSIMの比較
では、これらの異なる種類のSIMカードは、それぞれどのような特徴を持っているのでしょうか?用途によっては、それぞれに利点があると言えるでしょう。しかし、通信サービスプロバイダー(CSP)や移動体通信事業者(MNO)の市場においては、どのSIMカードが最適なのかがより明確になります。
SoftSIMは、ハードウェアを必要としないという点で一見魅力的ですが、現状では規制されておらず、組織にとってリスクが高まる可能性があります。また、SoftSIMはデバイスのメモリにのみ保存されるため、ハッキングに対して脆弱です。
iSIMはサイズが小さいためeSIMよりも優れているように見えるかもしれないが、IoTデバイスにおいては、その多様なマイクロアーキテクチャがiSIMとSoC間の通信を複雑化させる可能性がある。また、メーカーによる徹底的なテストも必要となる。iSIMには将来性があり、2027年までに出荷台数は3億台に達すると予想されているが、現状では普及率はeSIMの普及率や成長率に比べるとまだ低い。
比較すると、旅行用eSIMの支出は2028年までに300億ドルに達し、市場規模は100億ドルを超えると予測されています。これは、通信サービスプロバイダー(CSP)と移動 体通信事業者(MNO)にとって、収益拡大と顧客へのよりスムーズなグローバル接続の提供を実現する絶好の機会となります。
******* 以上、抜粋 by Telna社 *******
ということで… IIJのSoftSIMサービスは、既存のフル・MVNO技術に拡張機能としてローミング回線を追加し、 IOTデバイスに搭載することでのマルチキャリア対応を実現しているようです。
一方、当面暫くの間は eSIM市場の圧倒的な拡大も見込めているようで、此処へ来て IJmioが「海外eSIMサービス」の新たなサービス投入に至ったのも、そんな成長の見込まれるビジネス領域という背景が影響しているのかもしれません。
eSIMのみならず、iSIM、SoftSIMへと新たな仕組みも展開されつつあるようなので、これからも【SIM道楽】的な興味は尽きません~( ´∀` )/



SoftSIMが、どれほどのものか、まだ想像もできませんが、何かワクワクしますね。同じフルMVNOでも、通話サービスに重点をおいてちゃ、面白くもなんともない。
>> たかやす@juantonto さん
>何かワクワクしますね…はい、正にその通りですね。
eSIMになることで 物流や在庫管理のコスト削減となり、iSIMになることでeSIM専用チップデバイスが不要になり、SoftSIMになることで単に搭載メモリーの一部を使うだけで通信管理が可能になる…なんて技術革新は想像するだけで楽しくなります~(笑)

IIJが2026年4月2日に発表したSoftSIMのマルチキャリア対応は、非常に興味深い進化です。結論から申し上げますと、IIJのSoftSIMはGSMAが規定する「SM-DP+」を介する一般的なeSIMの仕組みとは、全く異なるアプローチで動いています。なぜ認証ベンダー(SM-DP+)を介さずに済むのか、その理由と仕組みの決定的な違いを整理しました。
[1].. SoftSIMには「SM-DP+」という概念がない
一般的なeSIMは、物理的な耐タンパ性(解析困難性)を持つ「eUICC」という専用チップに対し、GSMA認定のSM-DP+サーバーから暗号化されたプロファイルをダウンロードします。一方、IIJのSoftSIMは以下の通りです。
●仕組み : 通信モジュール内の「メインプロセッサ(CPU)」上のソフトウェア(メモリ領域)に、SIMの機能(OSや認証鍵)を直接書き込みます。
●配信方法 : SM-DP+によるネットワーク経由の「空中ダウンロード(OTA)」ではなく、製造工程や特定のセキュアな手段で「直接流し込む」形式が主です。
●認証 : GSMAの規格外(独自実装)であるため、GSMA SAS-SM認定ベンダーを介する義務がありません。
[2].. なぜIIJは「SM-DP+」なしで運用できるのか? それはIIJが「フルMVNO」であるという点が最大の鍵です。
●独自プロファイルの発行権 : IIJは自ら「加入者管理機能(HSS/HLR)」を保有しているため、自分たちでSIMの認証鍵(Ki)を生成・管理できます。
●垂直統合モデル : 外部の認定ベンダーのサーバーを通さず、自社の管理システムから直接通信モジュールのソフトウェア領域へデータを書き込める環境を構築しています。
●IoT特化 : SoftSIMは主に特定の産業用機器(IoT)を対象としています。iPhoneのような不特定多数の「コンシューマ端末」を相手にする必要がないため、Apple等の制約を受けるGSMA標準(SM-DP+)に従う必要がないのです。

「認定ベンダーを介さない」=「自由度が高い」… IIJがSoftSIMを自社で展開できるのは、彼らがSIMの中身(OSや鍵)を自分でコントロールできるフルMVNOだからこそ成せる技です。GSMAの認定コストや特定のベンダーへの依存を回避し、安価で柔軟なサービスを提供できるのがSoftSIMの強みと言えます。SoftSIMは「ソフトウェア」であるがゆえのハッキングリスク(耐タンパ性の低さ)が常に議論されますが、IIJはそこをモジュールメーカーとの協調で補っています。この「ソフトウェアならではのセキュリティ対策」についても詳しく説明することが出来ます。

IIJの主張する「ソフトウェアならではのセキュリティ対策」と、モジュールメーカーとの協調の中身を具体的にします。結論から言うと、「鍵を隠す場所をハードウェア(モジュールメーカー)が作り、鍵を扱うルールをソフトウェア(IIJ)が決める」という役割分担です。
[1].. 「ソフトウェアならでは」の3つの対策
ソフトウェア(SoftSIM)は、物理SIMのように「チップを壊して守る」ことができません。そのため、以下の論理的な防御を組み合わせています。
●動的な難読化(Obfuscation): SoftSIMのプログラムコードを、人間や解析ツールが見ても意味がわからないように複雑に書き換えます。これにより、メモリの中身をダンプ(抽出)されても、どこに認証ロジックがあるか特定しにくくなります。
●チップ固有IDとの厳格な紐付け(Binding): 通信モジュール内のCPUが持つ「世界に一つだけの識別番号(Hardware ID)」と、IIJのSoftSIMデータを暗号学的に合体させます。これにより、ソフトウェアを丸ごとコピーして別の基板に持っていっても絶対に動かない仕組みを作っています。
●自己診断機能 : 実行時に、自分自身のプログラムが改ざんされていないかを常にチェックします。もし1ビットでも書き換えられたことを検知すると、即座に秘密鍵を無効化する「自爆機能」のようなロジックをソフトウェアで実装しています。
[2].. 「モジュールメーカーとの協調」の正体 : 「ソフトウェアだけで守る」のには限界があるため、IIJはモジュールメーカー(Nordic, Quectel等)に対し、以下の特殊な口を用意させています。
●セキュア・ストレージの提供 : モジュールメーカーは、チップの中に「OSからすら直接見えない特殊な保存領域」を用意します。IIJはここに最も重要な認証鍵(Ki)を保管します。これは物理SIMの「金庫」をソフトウェアの世界に再現する協力関係です。
●セキュア・ブート(起動時の検証): 電源を入れた際、まずモジュールのハードウェアが「これから動くSoftSIMはIIJが作った本物か?」を署名検証します。この「ハードウェアによるお墨付き」がない限り、SoftSIMは起動しません。

IIJの「マルチキャリアSoftSIM」をスマートフォンへ適用することについては、技術的には「可能」ですが、ビジネスや業界構造の観点から「極めてハードルが高い」というのが現実的な答えになります。将来的にコンシューマ向けに広がる可能性と、それを阻む壁について以下に整理しました。
[1]..なぜスマホへの適用は難しいのか?(3つの壁)
① AppleとGoogleの「門番」問題
iPhoneやAndroidスマホの通信機能は、AppleやGoogleが非常に厳格に管理しています。彼らはセキュリティと自社のエコシステム(GSMA標準のeSIM)を重視するため、IIJ独自のSoftSIMのような「非標準の仕組み」をOSレベルで許可する可能性は極めて低いです。
② 「標準化」のパワーバランス
スマホは世界中で売られるデバイスです。特定の通信キャリア(IIJ)専用の特殊なソフトウェア実装をスマホメーカーがわざわざ行うメリットが薄く、世界共通規格である「GSMA標準のeSIM」に集約される力学が働いています。
③ セキュリティの責任分界点。
コンシューマスマホには銀行アプリや個人情報が詰まっています。万が一、SoftSIMの脆弱性で通信が乗っ取られた際、その責任がOS側にあるのかIIJ側にあるのかという切り分けが困難になるため、スマホメーカーは慎重になります。
[2].. 「iSIM」という形での妥協点(将来の可能性)
IIJのSoftSIMそのものではなく、SoftSIMの考え方を標準化した「iSIM(Integrated SIM)」という技術であれば、将来的にスマホに載る可能性があります。
①iSIMとは : 通信チップ(SoC)の中にSIM機能を統合する技術で、GSMAの認定(SAS-SM等)も取得可能です。
②スマホ適用の形 : もしIIJが将来、QualcommやAppleのチップ内の「iSIM領域」に対してプロファイルを流し込めるようになれば、実質的に「IIJのマルチキャリアSoftSIM」と同じ体験(超高速な回線切替など)をスマホで享受できる日は来るかもしれません。