中国の寝台バス
中国の大同、呼和浩特と巡り内モンゴル自治区の包頭にいた。
更に西方に向かい銀川で西夏の古跡を訪れようと思ったが列車のチケットが取れない。駅の窓口で訊いてもお馴染みの「没有(méiyǒu )」の一点張りでなす術もない。
ホテルで調べてもらっても一週間後以降でないと予約できないと言われ、本当にチケットはないようだ。
一週間滞在を延長するほど見所のある街ではない。
どうしたものかと途方に暮れて町を歩いていたら北京行きのバスがあるのを見つけた。しかも寝台バスだという。
後戻りすることになるが寝台バスという物に興味が湧いたので翌日の分を予約した。
時刻表では夕方5時出発、翌朝10時到着となっている。
包頭-北京の距離は650km程であるがこの間高速道路はなく下道のみの走行であるので妥当な時間である。
料金は92元で円換算すると1000円ちょっとである(当時は円が最も高かった頃である)。
100元札を出すと後2元ないかと言う。おつりが10元と切りが良くなるからである。
私も現金支払いではこのやり方を好んでいるのでそうしたかったが生憎と小銭がなく8元のお釣りを貰った。
寝台バスは普通のバスの座席を取り払い、鉄パイプで枠組みを作り寝台を置いただけのもので手作り感満載である。いくら中国とは言え安全基準の審査には通らないような代物であった。
寝台といっても平らなものではなく頭、背中、お尻、脚のラインに合わせて作った凹凸のある樹脂製のもので寝てる分には快適であるが起きている時は背もたれがないので座りが悪く、樹脂製であるので滑りやすく起き上がるのにも一苦労であった。
運転手は2人いるが交代要員ではなく一緒にいて喋ったり、眠気覚ましのためか大音量で音楽を流したりで客への配慮など全くない連中であった。トイレや食事の時間も運転手の都合優先でそれに従うしかない。
夜が明けたがどの辺を走っているのか全く見当がつかない。到着予定の10時になってもまだ田園地帯である。
正午頃にやっと八達嶺で、北京市に入っても渋滞がひどく北京駅に着いたのは4時過ぎで殆ど1日がかりの行程であった。
その後ホテル探しをしたが以前泊まったことのある安宿は満室で他を当たったが条件のいい(=安い)ホテルはなく結局北京駅前の広場で新聞紙を敷いて野宿することになった。野宿仲間は数百人いて安全性に問題はなかった。
行き当たりばったりの旅とはいえ心の折れる出来事であった。
もう貧乏旅行ゴッコは止めようと固く肝に銘じた日でもあった。
これは私が乗ったバスではない。
パイプの組み方が似通っている参考画像である。
こんな狭い中、1日がかりと考えると大変ですね、、
同行程を鉄道の普通車(硬座)で行くことを考えたら天国みたいな感じです。
硬座車ではトイレに行くにも人の波を掻き分けたり通路に寝転んでいる人を乗り越えたりで用を足して戻れば座席は他人に盗られていたり(尤もチケットには「無座」と書いてあるので文句は言えない)、更に子供たちは通路に垂れ流しで正に阿鼻叫喚状態です。
上を見るか下を見るかで感じ方は変わります。
「シルクロードを旅しようと鉄道に乗った
車内は人が溢れ座席は窮屈だ
そんなことで嘆くでない
古人は数ケ月かけて歩いたのだ
それを思えば飛天にも勝るではないか」
といった内容の漢詩もどきを作ったことを思い出しました。
《WeChatPay》クレカ登録後に中国で使用する方法(2024)
https://travelers-china.com/secrets/stay/wechatpay-howtopay.html
色々大変でしたね。興味深い内容でした。ありがとうございました^^
>> ホシのイモ さん
私が体験したようなおんぼろバスはないと思いますが鉄道網の疎らな南部や西部では現在でも走っているようですよ。写真で見る限り快適なように見受けられます。
>> YASUHID さん
本稿は20年以上前の話で現在の状況は分かりません。マイネ王では敢えて年代を隠して投稿していますので不要な誤解を招いたものと反省しています。
お役に立てずに申し訳ありません。
>> まきぴ~ さん
お目汚し恐縮です。平成の前半にあちこちうろついていた時期がありましてその時の体験を時々投稿しています。
読むに値しない戯言ですが生暖かい心で読んでいただければ老人の励みとなります。
自分が体験した事ないお話で、面白いです。
>> いっこ1125 さん
お読みいただき有難うございます。無計画な旅行で「トラベルはトラブル」を地で行くことが多かったですが今となっては楽しい思い出となっています。
>> hijiake さん
お返事ありがとうございます♪その国、その地域ならではの出来事を楽しむって大事ですね。
私も、旅はハプニングも楽しむ?(笑)
感じで旅行してました。
中国は、上海しか行った事無いのですが。
甘栗売ってるお兄さんを捕まえて(?)、ここ行きたい!って道案内(?)してもらいました。
そしてその場所に着くと、ありがとう🧡
バイバーイ!
って、甘栗買わなくて、お別れしました。(笑)
思わず吹き出すのと同時に納得しました。確かに安全そうです。
お仲間が多数いたのは社会的な事情なのか、何か行事でもあったのか等々、少し思いを巡らせました。
寝台バスという名前から快適そうなイメージを持っていたのですが、座れないというのは盲点でした。
イメージ写真を見て蚕棚を連想しました。長時間過ごすのには厳しそうですね。
列車はこれよりも厳しいのですか。高速鉄道網を一気に作った理由の一つなのかな?と思いました。
出張で今の中国の都市部に行った方の話を聞くことはありますが、全く違う興味深い内容でした。
>> 銀G3ABF さん
お読みいただき有難うございます。夜間に駅に降り立つとその駅の規模に見合った一定数の野宿者を見ることはありました。
駅舎内に入りきれない列車待ちの人が多いとは思いますが、日常使いの(嵩張る)布団毛布鍋釜持参の最初から野宿する気満々の人もかなりいました。彼等は仕事探しや出稼ぎの人々と想像しました。
この荷物の多さがただでさえ混雑している列車内を更に混沌状態にしている要因だと得心した次第です。
>> hijiake さん
サーカスやチケット交換のスレッドも今読ませて頂きましたが、とっても興味深かったです^^「読むに値しない戯言ですが生暖かい心で読んでいただければ老人の励みとなります。」とご返信頂きましたが、とんでもございません。これからも読ませて頂くのを楽しみにしています。