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学生歌としてのデカンショ節 ①


デカンショ節とは兵庫県丹波篠山地方の民謡であるが他の民謡とは異なる特徴がある。
一つは学生によって拡められ全国区となったことである。
明治時代半ば篠山出身の学生が歌うデカンショ節に他校の学生が興味を持ち地元に持ち帰り更に全国的に拡まっていったという経緯がある。
なお、デカンショ節の名前の起源は「デカルト」「カント」「ショーペンハウエル」の頭文字を並べたという説もあるが学生達が歌い始めた以前からデカンショの掛け声はあったからこれは完全に後付けの語呂合わせに過ぎない。

もう一つは歌詞が非常に多いということである。
7・7・7・5 の短詩で作詞し易く学生たちが好んで作ったことや、毎年行われるデカンショ祭で新しい歌詞を公募していることもあり多くの歌詞が生まれることとなった。ネットで検索すると600曲程は見つけられる。

これらの中から学生が作ったものと思われるものをいくつか紹介する。


ほんに一高は不思議な処星のある夜に雨が降る(※)
一部あたまを叩いて見れば権利々々の音がする
二部のあたまを叩いて見れば「サイン」「コサイン」の音がする
三部あたまに雀がとまるとまるはずだよ薮だもの
二高明善寮は不思議な所月の照る夜に雨が降る(※)
何で惚れたか二高の方に破れ袴にドラ声に
(※)の付いたものは次項にも係る句である。

一高、二高というのは旧制高等学校の校名に数字の付く一群でナンバースクールと呼ばれ第八高等学校まであった。
大まかにいえば現在の大学の教養課程に相当する。
因みに番号順に東京大学、東北大学、京都大学、金沢大学、熊本大学、岡山大学、鹿児島大学、名古屋大学となる。
又、一部、二部というのは学部割のことで一部は文系、二部は理系、三部は医系の学部を包含している。


ニ高寮生は生神様か日本晴でも雨降らす
寮雨するなら二階へござれ胸のすくよな瀧の音
四十五十の衰弱ジジィにゃ俺の寮雨が飲ませたい
ほれたほれたよ何みてほれた俺が寮雨して地が掘れた
よくも降ったと窓あけ見れば何だ寮雨か星月夜
寮雨粛々と襟もと寒し月が見かねて雲がくれ

ここのキーワードは「寮雨」である。
読んだら何となく察しは付くと思うがお察しのとおりである。
寮のトイレは別棟や建物の端にあることが多いので大は仕方なくトイレまで行くが小は窓を開けて外に放出する者が多かった。
私は幸いにもトイレ近くの部屋住みだったので寮雨の経験はない。
                            続く 


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