掲示板

投資信託の取り崩しストラテジーからNISA成長投資枠で買い付けるファンドを考える(updated)

本稿は、投資信託の取り崩しストラテジーから買付銘柄を考える
https://king.mineo.jp/reports/257284
のアップデートです。

予想分配金提示型投資信託がNISA成長投資枠対象から除外されるため、それに取って代わる取り崩しストラテジーを模索する、というのが検討の原点です。長期投資を前提とするNISAつみたて投資や、制度として取り崩せないDC/iDeCoは対象外、玉石混交といわれているNISA成長投資枠が対象です。投資期間(=取り崩し期間)はある程度の相場環境が先読みできる短期、数か月後には必要になっているかもしれないが、いまいまは余裕がある資金を対象にしています。例えば… 退職金をもらった、将来の相続をひかえ暦年贈与した、来年も暦年贈与するつもり、資金余裕があるので運用を考えたい、あたりを想定しています。
アップデートは以下のとおりです。

(1)評価する投資信託を追加しました
長期投資なら信託報酬高めのアクティブファンドは絶対に選びませんが、短期と割り切っているので、目に見える利益最優先、アクティブファンドをがんがん選びます。
評価方法・期間。1月4日に100万円を買い付けて、12月15日までの評価額、取り崩しによって得られた実現利益がどうなっているかを見ていきます。2023年の相場環境は、現時点で1月4日を底値に右肩上がり、早く買った者勝ち、早くリスクを取ればリターンも大きい、という統計的に自明な結果です。もちろん下げ相場なら真逆の結果になります。解釈にあたっては、全体的な傾向は割り引く、個別の傾向を見る必要があります。

北米株式
・39312149 アライアンスバーンスタイン米国成長株投信Dコース:予想分配金提示型。純資産総額がアクティブファンドで国内最大。比較対象ファンドすべてのベンチマークとする。新しいNISA成長投資枠から除外されています。
・39312065 アライアンスバーンスタイン米国成長株投信Bコース:39312149の年1回決算型。新しいNISA成長投資枠対象。マザーファンドは39312149と同じなので、同等の運用成績を期待します。
・89311199 SBI・V・S&P500インデックスファンド:アライアンスバーンスタイン米国成長株投信のベンチマークがS&P500指数となっているため、対照群としてS&P500インデックスファンドから選定。

グローバル株式
・0331418A eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):MSCI ACWIをベンチマークとするファンドはたくさんありますが、純資産総額が少ないものは償還リスクがついてまわるので一択。
・1831218A インベスコ世界厳選株式オープン:投資対象グローバル。毎月決算型は、資産流入額アクティブファンド内トップ。その年1回決算型。新しいNISA成長投資枠対象。信託財産留保設定あり。12/15にSBI証券の投信マイレージの優遇「SBIプレミアムセレクト」対象投信に追加するプレスリリース(https://www.sbigroup.co.jp/news/pr/2023/1215_14293.html)がありました。
・47316169 グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド:投資対象グローバル。純資産残高5000億円越え。新しいNISAつみたて投資枠に選定された唯一のアクティブファンド。こちらも信託財産留保設定があります。「SBIプレミアムセレクト」対象外。

テクノロジー系に取り崩しストラテジーを適用したら…
・3531299B netWIN GSテクノロジー株式ファンドBコース:投資対象北米株式。純資産残高5000億円越え。ドットコムバブル以前に設定された歴史あるファンドです。信託財産留保設定なし。「SBIプレミアムセレクト」対象外。
・04317188 iFreeNEXT NASDAQ100インデックス:テクノロジー系のベンチマークとして、NASDAQ100インデックスファンドを選定。
・01313098 野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資):NASDAQ100インデックスはなく、MSCI ACWIの半導体関連銘柄を対象としたアクティブファンド。テーマ絞り過ぎ感はあるのですが、「SBIプレミアムセレクト」対象だったので選定しました。信託財産留保設定されています。

(2)取り崩しルールを変更しました
評価額が投資額の
 110%未満の場合、取り崩さない
 110%以上120%未満の場合、保有口数の1%を取り崩す
 120%以上130%未満の場合、保有口数の2%を取り崩す
 130%以上140%未満の場合、保有口数の3%を取り崩す
 140%以上の場合、保有口数の4%を取り崩す
としていました。しかしながら一部のテクノロジー系ファンドの成長率があまりに高く、評価額の減衰フィードバックが追いつかないため、取り崩しルールを変更しました。
 110%未満の場合、取り崩さない
 110%以上120%未満の場合、保有口数の1%を取り崩す
 120%以上130%未満の場合、保有口数の2%を取り崩す
 130%以上140%未満の場合、保有口数の3%を取り崩す
 140%以上150%未満の場合、保有口数の4%を取り崩す
以下、
 1x0%以上の場合、保有口数のx%を取り崩す
としました。評価額が下がったときの買い増しルール
 80%~90%未満の場合、初期投資額10%を買付
 70%~80%未満の場合、初期投資額20%を買付
も追加しました。ただし2023年度は右肩上がりなので買い増しルールは不発です。そもそも短期投資限定なので、評価額90%未満になればポジションをさっさと解消したほうがよいかもしれません。課税口座なら悩み少なく切れるのですが、非課税口座だと、枠上限が気になる、損益通算ができない、などアレコレ気になって、判断に乱れが生じそうです。

(3)12月15日の基準価額と売却額を追記しました


それでは、北米株式から見ていきます。

39312149.png

39312065.png

89311199.png

評価額と実現利益の合計で
【アライアンスバーンスタイン米国成長株投信】は141.8~9%、
【S&P500インデックスファンド】は134.8%。
その差7ポイントです。
右肩上がりの相場環境だからこそアクティブファンドは強いのであって、下げ相場環境ではベンチマークに収斂していくと思います(ベンチマークに負けては駄目です)。とはいえ100万円預けて、取り崩しストラテジーの実現利益のみで、新しいiPhoneのProMaxが買えるというのは魅力です。
相場環境次第ですが、NISA成長投資枠で、インデックス/アクティブ問わず何か一本選ぶとなると【アライアンスバーンスタイン米国成長株投信Bコース】は最有力候補です。SBI証券で買い付けるとSBIプレミアムセレクトの対象、というのも地味にうれしい。


続いて、グローバル株式を見ていきます。

0331418A.png

1831218A.png

47316169.png

評価額と実現利益の合計で、ベンチマークの
【MSCI ACWIインデックスファンド】は130.3%、
【インベスコ世界厳選株式オープン】は134.2%、アセマネOneの
【グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド】は154.5%。
【グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド】が出来すぎで他のファンドが霞ます。計算間違いと思って検算したのですが、そもそも基準価額が1.6倍になっているので間違いありません。純資産総額の多さ、運用がアセマネOneですからみずほ証券あたりで勧められ恩恵にあずかれた方が多かったと思われます。年後半に資金流出が増えています。さすがに怖くなって信託財産留保を払ってでも利確に動かれたのでしょうか。来年もこの勢いで運用できるかが焦点になりそうです。
ベンチマークインデックスファンドで全米株式と全世界株式を比較すると、4ポイントほど全米株式が勝っています。全世界株式も半分以上が米国株式で組成されていますし、アメリカが(為替も含めて)強かったという証左でしょう。来年はどうなるかな?
今回アップしたのは3つのみですが、ほかにも
03312184【eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等)】
や、SBIプレミアムセレクト対象の
9331107A【キャピタル世界株式ファンド】
0331212E【モルガンスタンレーグローバル・プレミアム株式OP】
も評価しました。それぞれ、124.8%、130.2%、122.9%という成績です。ベンチマークの【MSCI ACWIインデックスファンド】に届かない時点で食指が動きません。かといって短期と限定しているにもかかわらず、成長投資枠でインデックスファンドを買うには強い動機付けが必要です。【グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド】は怖いもの見たさで1本ぐらいは買ってもよいですが、インデックスファンドを買うならつみたて投資枠で買います。


最後に、テクノロジー系ファンドを買ってみたら…です。これは、以前にコメントいただいた
https://king.mineo.jp/my/9e5cdc382f1c9c02/reports/253248/comments/4748271
https://king.mineo.jp/my/9e5cdc382f1c9c02/reports/253248/comments/4748297
「NASDAQ100でいいんじゃね?」あたりが検証の動機になっています。

NASDAQ100指数は5~6月のnVIDIA祭りで爆騰しています。生成AIに絡む半導体需要に牽引されました。中国経済が低調にもかかわらず、です。中国経済が日本化-deflation-せずに、勢いを取り戻すことができたら…

3531299B.png

04317188.png

評価額と実現利益の合計で、ゴールドマンサックスの
【netWIN GSテクノロジー株式ファンドBコース】は161.6%、
【NASDAQ100インデックスファンド】は161.9%。
成績にアクティブ/インデックスの違いはなく、北米を中心とした半導体市況を反映しています。外貨余ってたらとりあえずドル建てMMFかNVDA買っとけ、ですね。来年もこれぐらい上がってくれたら2年で2倍ですし、ことさらに来年を悲観的に捉える理由も見当たりません。行くかな…

半導体市況が好調なので、MSCI ACWI Semiconductors & Semiconductor Equipmentをベンチマークとするアクティブファンド【野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)】を見てみます。

01313098.png

評価額と実現利益の合計は驚異の183.6%です。
このファンド、かつてモーニングスターの優秀ファンドのアワードを取ったのですが、その当時はネット証券で購入することはできませんでした。相変わらず販路が限定されているのですが、いまではSBI証券でも購入することができます。ネタで1本買うのもあり?


ここから、成長投資枠で買い付けるファンドを考えます。
ポートフォリオは、投資家のリスク許容度や、不確実な事象に対する意思決定の振舞い=個性を反映するので、あくまで「自分ならこれを買う」です。
成長投資枠が年240万円なので、1本10万円として、24本の割り当てを考えます。買い増しのケースも想定されるので、24本すべてを使うつもりはありません。また1年かけて取り崩しストラテジーの効果検証を行いたいので、わかりやすくするために、10本買い付けるファンドをひとつ、複数のファンドは1本だけ買い付けることとします。

まずは、寄らば大樹の陰。みんなで買えば怖くない。
39312065【アライアンスバーンスタイン米国成長株投信Bコース】10本

対照群として、S&P500インデックスファンドから。普通にS&P500インデックスファンドを選んでもおもしろくないので、指数利用料金が安いと言われているSolactive GBS United States 500のインデックスファンドです。
2931223B【<購入・換金手数料なし>ニッセイ・S米国株式500インデックスファンド】1本

グローバルは、つみたて投資枠で買い付けているので食指が湧きにくいのですが、怖いもの見たさにつきあいます。
47316169【グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド】1本

テクノロジーは外せません。NASDAQ100インデックスファンドは信託報酬比較的高めに設定されていますが、最近信託報酬低めのものが新規設定されました。ちなみに現時点でつみたて投資枠で買えるのはダイワアセットマネジメントのものだけですが、信託報酬高めです。
29313233【<購入・換金手数料なし>ニッセイNASDAQ100インデックスファンド】1本

最後に、買わなきゃ祭りに参加できない!ネタの1本!
01313098【野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)】1本


買い付け方です。
「高値掴み」を恐れるので、石橋を壊すぐらい叩かないと橋を渡れません。かといって、移動平均による安値狙いは機会損失に直結します。自分が腹落ちする努力をし尽くしてそれで駄目なら諦めるしかありません。
一日アノマリー(定期買い付けが毎月第一営業日に集中する)とか、月末アノマリー(確定拠出年金の定期買い付けが月末に集中する)とか、五十日アノマリー(企業決済が5日や10日に集中する)とかあります。もはや信仰です。2023年は最初の営業日が年初来安値だったので、アノマリーもほどほどに。
・Dollar-cost averagingを狙って買付機会を分散させます。
・できるだけ早くリスクに曝します。
受渡日が、1月4日以降の複数営業日に渡るように買い付け日を分散調整します。
【野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)】などは、約定日が買付翌日、受渡日は約定後4営業日後となるので、受渡日が約定後3営業日後となる他のファンドよりも時間を要するうえ、12/25、12/26がファンド休日となるので注意が必要です(外国株ファンドのクリスマス休暇が多いです)。今週末にも初回買い付けです。これぐらい石橋叩いておけば、腹落ちできるかな。


これで年を越せます。

#成長投資枠で個別株は買わないのか、って? QYLD日本版2865が非課税枠で買えれば買っていたのですが、制度改変で買えなくなりました。損益通算できない非課税口座で個別株を買う勇気は持ち合わせていません。


2 件のコメント
1 - 2 / 2
評価額が下がったときの買い増しルールがあるなら、2022年の場合、どれくらいのお小遣い額になるかをちょっと見てみたい気もします。(^_^;)

>> アッカリ〜ン@_@….,….,…😅 さん

2022年は、日経平均株価 -11%、
NYダウ -9%、
S&P500 -20%、
NASDAQ総合 -34%。
年足陰線のうえ、チャート形状が2023年のチャートを年末年始で鏡面反転させたような綺麗な下げ相場。取り崩しストラテジーは取り崩しが起きず、買い増しルールが発動しっぱなしとなりそうです。

気づきがありました。下落相場での買い増しは「逆張り」、その臥薪嘗胆はどちらかというと長期投資の法です。張るなら「順張り」の短期投資なのに、長期投資の技を持ち込むと、ストラテジーは崩壊しそうです。
そもそも非課税制度は、課税を問わないから損益通算もありません、という立て付けですから、売却してキャッシュポジションを増やしつつ課税を抑える、という手法との相性がよくありません。とはいえ譲渡益非課税は魅力ですし、1年待てば非課税枠は復活しますから、売買を繰り返して利益の最大化を狙いたい、制度はしゃぶりつくしたい、と思うのが人情です。

そこで思いついたのが、新しいルールです(死滅回游かい)
・非課税口座と課税口座の両方で、同数のファンドを買い付ける
・評価額増の取り崩しは、非課税口座から取り崩す
・評価額減の買い増しは、非課税口座で買い増す、ただし買い増し原資は課税口座のファンドを取り崩し充当する(投資総額、キャッシュポジションは変わらない、損益通算できる売却損のみ発生)
・非課税口座、課税口座どちらかが尽きたらゲームオーバー

思いついただけで、どこに収束収斂するのか、そもそもストラテジーとして成立するのかもわかりませんが、新しいルールを1年かけて検証するのもおもしろそうです。実際に買ってみて、買ったうえで売ってみないと、新たな気づきもありませんし。買い付け前に気づけてよかった。

どうもありがとうございました。
コメントするには、ログインまたはメンバー登録(無料)が必要です。