【ポタリング】輪行のすすめ【おりたたぶ】
表題写真:JR東日本吾妻線特急草津号車内にて撮影。輪行袋はORTLIRBのL-100、自転車はDAHON DASH P8。
1,はじめに
私が旅行の記録を書いていこうと考えた時に、避けて通れない要素が二つあり、一度それらについてまとめて書いておいたほうがいいと考えたので書くことにします。
一つは、「ステーションメモリーズ!」(略称:駅メモ)という位置情報ゲームです。これについては別のスレッドを建てて紹介しようと思います。
そしてもう一つは、輪行です。輪行とは、自転車を畳んだり分解し専用の袋に入れることで、鉄道、バス、飛行機、その他の各種交通機関で移動することを言います。
今回は、輪行の魅力についてと、輪行のシーンの多い漫画作品「おりたたぶ」について書いていこうと思います。
皆様の趣味や教養が深まるようになれば幸いです。
写真1:JR東日本吾妻線中之条駅にて
駅では混雑を避けて、最後にゆっくりと階段に向かうことが多いです。
2,輪行の成り立ちと魅力
最初に簡単に書きましたか、輪行というのは、自転車を折り畳んだり分解することで、各種の公共交通機関を利用して移動することです。
もともとは競輪選手のみの特例だったものを、一般人でもできるようにとガイドラインが定められました。
今では毎週末日本の各所で、自転車を持ち運んで走りたい道を走るライダーを見かけられるくらいに、一般的な文化となりました。自宅から、自転車だけで自走するだけでは到底たどり着けない場所も、他の交通機関を組み合わせれば行くことができます。片道を自転車にするなど、可能性が広がります。
その気楽さや、自由さが輪行の魅力なのです。
3,輪行の方法
概ねどの交通機関を使うにせよ、「自転車を折り畳み、または分解し、専用の袋に入れること」は求められます。この項目では、各交通機関ごとの特徴を経験を交えて描こうと思います。
写真2:普通電車車内での輪行
自転車は手荷物としては大きいので、空いているのなら車両に設けられている車いすやベビーカー等のスペースを利用できるととても楽になる。
乗務員席裏のスペースも有効です!
(1)鉄道
鉄道輪行は最もメジャーな方法です。各社によってガイドラインに差があったり、手荷物料金が必要だったりすることもあります。JR5社は、上記の基本原則を守れば、追加料金なしで自転車を車内に持ち込むことができます。
コツとしては、車両端の運転台裏などの比較的人の通りが少ないところに自転車を乗せるということです。手すりなどがある場所も多いので、紐を結んで固定できると安定します。
特急などの指定席を使う際は、進行方向一番後ろ側の席を撮るとよいと思います。座席の後ろに自転車を置ける可能性があるからです。最近だと、東海道・山陽・九州新幹線は、その席を事前予約の特大荷物置き場として指定していますので、予約してしまうのがいいかもしれません。なお、輪行状態の自転車は特大荷物ではありません。
注意点としては、大都市圏のラッシュ時は避けることです。車両の端だったとしても、混雑の邪魔になることは必至です。後述の縦長型の折り畳み自転車等であれば話は若干変わるのですが、場合によってはしばらくライドを楽しんだりして、何本か列車をずらすことも必要です。
写真3:寝台特急サンライズの個室にて(2021.5)
DAHON K3のような小さい自転車であれば寝台特急の個室内に入れることも可能です。入らなくてもデッキにおいておけるので、やはり電車と輪行の相性はよいです。
(2)バス
バス輪行は、すべての会社が許可しているわけではありません。高速バスを中心に数社が追加料金で対応しています。その場合、ライダーの手元を離れ、荷物室に入れられるので、走行中の振動その他の事象により、自転車が損壊する可能性はあります。
かくいう私も実行したことがありません。本数が限られるうえに、手元から離れるのがやや怖いと考えているからです。夜行バスであれば、時間を有効活用できるので使うのもいいかなと思いますが、日中の移動であれば、電車のほうが楽で安心に私は感じます。
(3)飛行機
飛行機輪行も、すべての会社ができるわけではない上に、各会社ごとにサイズ規定が異なります。また、高高度を飛行し、与圧されていない貨物室に置かれることになるため、タイヤの空気をあえて抜いておく人もいるようです。
大容量バッテリーなどの危険物も持ち込みも禁止されるので、e-bike等を使う場合は、陸路海運で別送するなどが必要になります。
写真4:大洗港さんふらわあ(2020.8)
夏の北へ向かうフェリーは二輪車だらけです。このあとバイクを追い抜いて先に自転車は乗船しました。尤も、下船は一番最後になったのですが。
(4)フェリー
フェリーは、そもそもとして輪行でなくとも他の車両と同じく車両甲板に乗せることが可能です。大抵、一番最初か、一番後に船に乗り込むことになります。
一部連絡船等では、輪行だと値段が安くなることもあります。輪行の場合、徒歩での下船と同じ扱いになるので、着岸と同時に降ろされる場合が殆どです。スムーズに降りるために輪行を選ぶ人も多いと思います。
写真5:太平洋フェリーさんふらわあ車両甲板にて(2020.8)
フェリーは輪行でなくとも安く、快適に長距離を移動できます。
4,私の輪行経験
(1)どんな自転車でも輪行はできる
輪行は、手間を別にすればどの自転車でも可能です。私自身も、一番重くて大きいのはヤマハのロードバイク型e-bike(25kg)から、小さいものだとダホンの折りたたみ自転車K3(8kg)まで輪行の経験があります。
e-bikeの輪行は、二度とやりたくないです。自走の旅先でどうしても帰らなければならなかったことが1回あり、輪行袋を通販で購入して届いていない頃だったので、現地で購入するはめになりました。分解したコミューター(いわゆるママチャリ)を持ち歩いているくらいの感覚なので、非常に苦しかったです。
e-bikeは、軽量なものでも15kgはくだらないので、現地での走行性能と運搬時の大変さのトレードオフを考えることになるでしょう。
ロードバイクの輪行は、一般には一番行っている人が多いと感じます。風景のきれいな場所や、大会のある場所まで電車で行き、自分のマシンで走るのです。ロードバイクは車体も軽いものが多いので、意外と図体の割に軽く感じて持つことができます。
(2)折り畳み自転車が一番好き
私が一番多く行っているのは、折り畳み自転車の輪行です。ロードバイクに比べると重いものも多く、大抵が小径車(ホイール径20インチ以下)であるため、長距離(100km以上、個人差あり)を走ることは難しかったりします。
しかし、ヒンジの部分から折りたためるので車輪を外したりする必要がなく、輪行から走行へ、またその逆に切り替えるのが非常に簡単です。一番気楽に輪行を楽しめる自転車だと考えています。
私の最初の輪行は、イオンで売っている重さ14kgほどの折り畳み自転車でした。辞めていった同期から譲ってもらったもので、6段変速でした。後に乗ることになる自転車たちより不利な点ばかりでしたが、それでも一番遠いところで秋田県まで輪行しました。
「ゼロとイチの差」は大きいものです。生活を一転させました。普段は、買い物等で走っている自転車は、自宅から駅まで、移動中の車内、目的地まで一緒に旅をする道具となるのです。この感覚は私を大きく変えました。
写真6:2台目の折り畳み自転車 DAHON DASH P8 高崎芸術劇場前にて(2019.8)
折り畳み自転車を増やし、乗り換えながら私は今も輪行を楽しんでいます。一口に折り畳み自転車と言っても、ロードバイクのようにスポーティな走りをするものもあれば、デザイン性を重視している自転車もあり、個性が様々です。これら強烈すぎる個性の自転車趣味は一生ものだなと感じています。
写真7:宗谷岬にて(2020.8)
追い風に乗って時速60kmに近い速度で走ったことが思い出です。この旅では他に、夕張支線廃線沿線巡り、金山峠越え、札沼線廃線沿線巡りを経験しました。
5,折り畳み自転車が主人公の漫画「おりたたぶ」の紹介
別冊少年マガジンで2019年8月から連載していた漫画です。作者はこんちきさん。今でも有志のオフ会によく来られる気さくな方です。
ストーリーのさわりだけ紹介します。
大学進学のために上京してきた鳴島ゆうみは、自転車が好きでしたが、下宿には駐輪場がなく、落胆しながら街へ行きます。街を歩きながらも、やはり自転車でお散歩したかったなと感じていると、電車の中で奇妙な袋を持った少女と出会います。
少女につれられるように見知らぬ駅に降り立ったゆうみは、袋の中からA-bike、とても小さな折り畳み自転車が出現するのを見て、彼女こと、滝沢奈緒に話しかけていくのでした。
写真8:おりたたぶ単行本
全部で4巻ですが、2巻に関しては流通量が著しく少なくなかなか手に入りません。
もともと折り畳み自転車で輪行を繰り返していた私には非常に刺さる漫画でした。A-bike、carryMeなどをはじめとした極小径の小さな車輪を備えたかわいらしい自転車から、TartarugaやCaracleなどのスポーツ系20インチ自転車まで登場し、非常に読んでいて面白いです。
だんだんと二人は折り畳み自転車を通じてコミュニティを広げていく中で「おりたたぶ」(折り畳み自転車部隊、おりたたみ自転車ラブラブ、倶楽部…と原典でふざけている)と自称し始めていきます。
6,連載終了後にひろがる「おりたたぶ」の輪
各サイトレビューを読んでもらうとわかるのですが、読者の評価は非常に高いです。しかし残念ながら4巻で連載を終えることになってしまいました。
一方でファンの間での非公式なオフ会は活発に行われています。
写真9:おりたたぶ集合の様子(2022.4.2)
写真は、作中第1話に登場する西武鉄道花小金井駅を起点として、作中にも通った多摩湖自転車道を辿るというオフ会の一枚です。最終的な集合場所の羽村市では40台近くが集まるという大盛況でした。
また、作中でも「おりたたぶ○○(各地名)」と、各地に同好会的なものが拡がっていく様子が見て取れますが、現実でもそれは起こっています。
7,最後に
ここまで10段落画像10枚という掲示板の最大能力を使って長々と書いてしまいました。題材ひとつで漫画や本が出るくらいの内容でしたが、輪行の方法や、折り畳み自転車の魅力について少しだけ伝わっていれば幸いです。
もし、興味がある、相談したいということがあれば、コメントやDMでお問い合わせください。
このスレッドがきっかけで、輪行の文化やおりたたぶのコミュニティが拡がることを願っています。
おりたたぶですが、自転車漫画としてはよい作品でしたがマニアック過ぎたのかもしれませんね。
私は全4巻を紙の本で揃えてます。
自転車マンガですけど、アニメ化された南鎌倉高校女子自転車部とろんぐらいだぁす!でハマリました。
折り畳み自転車も欲しいのですが、盆栽になっているロードバイクとクロスバイクが1台づつあるので自重してます。
輪行、私の観測範囲だと少なく見積もっても4〜5割の人はルールを守っていません。
光騎兵さんのように規則をきちんと知って守っている方ならば全く問題は無いのですが、現実はルール違反の輪行が横行しています。
規定サイズ超過、サドル・シートポストなど車体の一部や果てはホイールやフレームすらバッグからはみ出している、そもそも輪行バッグですらないゴミ袋ようなビニール袋に入れただけ、折りたたみ自転車をそのまま持ち込み、などの違反を頻繁に見かけます。
TIOGAのコクーンのようなJRの規定に合致しない輪行バッグを使う人も多いですし、他の乗客や乗務員の邪魔になるような場所に置く人も多いですね。
新幹線や特急列車などで車内に複数の輪行サイクリストがいたら必ず違反者がいると言っても過言でないです。
たまにOSTRICHの縦型の輪行バッグなどにきちんと規定の範囲内で収納している人を見ると、本来はそれが当然なのに感動しますね。
「珍しくきちんとした輪行者がいた!」と。
光騎兵さんみたいにルール・マナーをしっかりと守っている方には申し訳ないのですが、自転車趣味界のマナーが悪すぎる事とその自浄作用が全く期待できないので、私は輪行は有料化するか輪行そのものの禁止を願っています。
それくらいルール・マナー違反の輪行が腹に据えかねています。
ちなみに私も自転車乗りですが、輪行のイメージが良くないのでやりません。
ところでこんちき先生が自転車の漫画を描いていたんですね。
その前の作品の『フルチャージ!! 家電ちゃん』の単行本は持っています。
>> 所沢条司 さん
ここ数年で、「おりたたみ自転車はじめました」(星井さえこ著)なども刊行され、ブームが来ていると錯覚してしまいますが、自転車というジャンルの中でもマイナーであることは間違いないんですよね。ろんぐらいだぁす!もさわりしか知りませんが、折り畳み自転車からロードバイクに乗り換えていましたし、大抵の自転車漫画はロードバイクを主体としたものがほとんどです。
内容的にも競技が多いと感じます。最近でこそ、「ゆるキャン△」で伊豆の自転車キャンプが取り入れられたり、「しまなみくるくる」(多平優香著)等で自転車と釣りが題材にされるなど、競技以外の作品も増えてきたなと思いますが、どちらかというとマイナーですよね。
折り畳み自転車はフレームサイズが複数ないものが多く、合う、合わないが顕著にでます。どちらかというと道具に合わせるという感覚が近いです。自転車は増えるものだと思うので、もし気に入ったものがあればぜひ試乗に出かけてみてください。また新しい世界が待っています。
興味はあったので楽しく読ませていただきました
記事中でA-bikeとかも出てますが、あれはどうなんでしょう?
小径過ぎて走らないんじゃないか?って思ってたりします
あとやたら高いstridaとかは輪行に使う人はいるんでしょうか?
>> pmaker さん
A-bikeですが、おりたたぶの漫画ではちょっとした段差で転倒しそうになる表現がありました。実際に前輪が段差に引っかかり前転して転倒するという危険な事故も起きています。
なので、街乗りには意外と不向きなのだと感じています。
折り畳み自転車ですが、高級品だと中古の過走行の軽バンよりも高いのでなかなか手を出せません。
輪行したいんですけど、なかなか時間がなくて。
せっかく買ったのに自宅内で転がってる RENAULT PLATINUM MACH9がかわいそうです。
→別スレッドですが、ブレーキだけ SHIMANO ULTEGRA BR-R8100系に交換。
実はなかなか持ち出せない理由の一つに「AlterLockの到着待ち」というのもあります。
小径車とはいえ、まあそこそこお高いので盗難対策はバッチリやりたいですからね。
>> YAKUN0290 さん
周囲にルールやマナーを守らない人が多いと、心乱されることも多く大変ですよね。私のコミュニティなど、手の届く範囲では周知徹底し、正しさを段々と押し広げていくしかないかなと考えています。
駅員さんを始めとして日々勉強されていて、違反者を改札で止めたり注意する姿も多くなってます。
禁止してしまうのは容易いですが、せっかく先人たちが開いてきた文化ですので、ルールを遵守しつつ楽しくやりたいものですね。
輪行は起点を変えられるので魅力ではあるのですが、手間や準備、様々な制約の中で運ぶ事になるので、公共交通機関も良いのですが車に積んで、目的地近くから走ると言うのも手かな、と思っています。
フォールディングバイクにも興味はあるものの、今の2台だけでも十分なほど楽しめているので、当面は現状維持の予定です。
小径車の走りに満足できるかどうかは個人の好みに寄りますし、タイヤを変えて段差に強くしたり、多少なりともカスタムで快適性も変わるかと。
つい最近までJR神戸線の大阪、三ノ宮間を通勤で使っていましたが、たまに輪行する姿を見かけました。私が見た限りでは、ほとんどの方が輪行袋にしっかり収納され、明らかなルール違反は見かけませんでしたね。周知が進んでいるのかと。
何にせよ楽しみ方は人それぞれです。また、幅が広がるのは良い事なので、何ごとにもチャレンジしていきたいですね。
>> 光騎兵 さん
折り畳み自転車ですけど、気になっていたブリヂストンの製品が2021年末に生産終了してました。(×_×)似たような価格帯だとRENAULT LIGHT10あたりがお求め安い価格かなと。
折り畳み自転車なら、車に積んで観光先でポタリングも可能なのがよいですよね。
サイクルベースあさひでも取扱いのある自転車なので、メンテナンスをショップに出すのも楽そうなのはメリットが大きいです。
>> pmaker さん
A-bikeは私もまだ実物に触れたことはありません。聞いた話だと時速4-6kmくらいが一番漕いでいて気持ちいい速度ということなので確かに長距離を走るのには向かないのだろうと思います。街中で小さな移動を繰り返す時は楽しめる自転車だと思います。
STRiDAは実際に輪行に使っています。上の写真の後キャンプに向かいました。ブロンプトンなどに比べると安価だなというのが私の感覚ですが、1万円で中華制の自転車が買える時代ですから高いと思うのも仕方ないと思います。
ただ、価格の違いはつくりの違いで、安全性や信頼性に直結します。STRiDAに関しては9万円ほどでしたが、見た目のおもちゃっぽさに反して、長い下りでも安定して走り止まることができるので信頼が置ける商品ですね。しっかりと「自転車」してくれます。
>> 光騎兵 さん
>A-bikeは私もまだ実物に触れたことはありません。聞いた話だと時速4-6kmくらいが一番その速度だとキックボードがライバルになりそうです
stridaも持ってましたか!
シンプルな構造が魅力ですが、そのシンプルゆえに高くも見えてしまいます
街乗りならともかく、キャンプ場までいくとは猛者ですね(^^)