【読み物】おかえり。③
【はじめに】
史実とかけ離れた部分もあるので、団体名や年号の表記は敢えてぼかしています。
空想の世界です。勘違いしないでね。
四話完結の第三話です
第一話はこちら
https://king.mineo.jp/reports/174909
第二話はこちら
https://king.mineo.jp/reports/174913
【第三話・安村彩乃】
「あ」
カウンターで返却手続きを終えて一息ついた私を引き寄せたその一言。
「どうされました?」
アクリルケース内に展示された卒業アルバムの方に私は慌てて駆け寄った。
「記憶違いだったら申し訳ないんだけど……この年の卒業生で戦争に行った子……て言うか私が知る限りこの町で戦争に行った子は只一人なんだ」
私は、お婆さんが指差す先を凝視する。
「ほら、真ん中の列で左端にいる子…確か『ミヤワキケンタ』君じゃないかな」
慌てて名前を確認してみる。『宮脇健太』。間違いない。私は恐る恐る尋ねた。
「あの……宮脇さんのご家族は」
アルバムを食い入るように見つめていたお婆さんは私の方を見ると申し訳なさそうに溜息をついた。
「ウチの親父から聞いた話だから、今更確認できないけど……確かその子、身寄りがいなくて当時の村長さん家で書生をやってたって話を聞いたことがある」
「貴重な情報をありがとうございます」
「ああ。私の周りにも当時のことを知っている人たちがいるかも知れないから、聞いてみるね」
役場にも少しずつ情報が集まりはじめたんだけど
・お婆さんが言っていたとおり、村で戦争に行った人は一人だけ
・戦争に行ったのは『ケンタ』君
・その後、彼の消息は誰も知らない
・当時、書生としてお世話になっていた当時の村長さんは子供がいなかったので、当時のことを知っている親族は誰もいない
このままだと…
あと一息、もう一歩というところで繋がりかけていたピースがばらばらになってしまう…
「はあっ」
私の溜息とともに、屋上に設置された灰皿にまた一つ吸い殻が投げ込まれる。
「一体どうすればいいのよっ!」
ところがどっこい。数日経ってから、有力情報が役場に寄せられはじめた。
『町の近隣に、宮脇さんの同級生がいるらしい』
『その同級生は女性で、とても仲が良かったらしい』
『静枝さん、という名前の人らしい』
ミク先生と私は、図書館のカウンターで今後の静枝さん捜索活動についていつ終わるともわからない議論を続ける。
「こんにちは。郵便です♪」
そう言いながら郵便物を片手にカウンターに現れた郵政局の加藤さんと目が合った瞬間、私たちは急に立ち上がった。
「ななな何ですかっ?郵便物をお届けに来ただけなんですけどっ。私の顔に何かついていますか……?」
困惑する加藤さんに、私たちが事情を説明する。
「なんだ、そういうことですか……。とは言え、こちらにも守秘義務ってのはあるわけで…配達先の名簿を見せるわけには…んんん」
加藤さんは腕組みをしながら暫し物思いに耽っていたが、やがて何かを閃いたようだ。
「あっ!」
今度は私たちが驚く番。
「村民だよりで仕入れた情報を基にして、今度はケンタくんと仲良しだった静枝さんを捜すビラなりチラシを撒けばいいんだっ!」
が、しかし。
勢いよく立ち上がった加藤さんは、程なくしてある事実に気付いた。
「あ、でも……いくら仕事で村を巡回するとはいえ、郵便物じゃないものを公用ついでに配達するのは…結構難しいかも…」
そう言って項垂れる加藤さんの懐で携帯電話のバイブレーション音が響き渡る。
「ちょっと失礼します」
ディスプレイを食い入るように見つめていた加藤さんが呟いた。
「あっ」
え?何があったのかしら…
「局長からのメールなんですけど…『大事な話があるから、配達が終わったら彩乃さんとミク先生をお連れして役場までおいで』って……」
三十分後。
私とミク先生、加藤さんの三人は町長室に案内される。
「局長……!」
町長と局長が応接ソファで談笑していたことに驚いた加藤さんに、局長さんが惚けた仕草で手を振る。
「公用電話で突然呼び出したりしてゴメンねぇ。実は、僕も町長に急に呼び出されたんだ」
町長が立ち上がって私たちに頭を下げた。
「郵便屋さんのネットワークを駆使して、静枝さん探しをお願いしたい!」
「で、局長……」
恐る恐る加藤さんが切り出す。
「静枝さん探しのビラは、村役場で作ってくれるそうだ。で、あとはそのビラを郵政局がポスティングする。いつも町民だよりの配送業務は僕たちが請け負っているから、その延長線上って感じかな…ほら、新聞でもあるでしょ。号外みたいなもんですよ」
神様、お願いです。
これが最後のチャンスかも知れません。
どうか、私たちと静枝さんの縁を結んで下さい!
もう少しだけ…
運命が、ぽんと背中を押してくれたら……
次回、最終回です。
『本編に全く関係ない』伏線……じゃないや隠し球も出てきます。
ちょっと状況が進展(話の中のこと)し始めて、彩乃さんとミク先生に光明が・・・
タイトルからして、結局は見つかるだろうと想像はつくけど、隠し球が気になる。
早く最終章が読みたい(^^♪
>> りんごのひとりごと@ぐ〜たら居士 さん
全体の尺を三つに割るか、もう一つ増やすか…結構迷ったんですけど…
次回で完結します!
>> なかっぴ さん
本編はそのままお楽しみいただくとして…隠し球は『テッシーとサヤちん』です
なんのこっちゃ
が、書くのはやめておこう…😄
みずいろは涙いろ~~~~~ ♪
静江 静枝 しずえ違いでしたw わははははw
>> なかっぴさん
「きみのなは」ならこっちもありますぜこら(^^;)
>> ob2@風邪が治ると鼻炎🤧 さん
秘めたる想いは最終話まで…エンディングがガチでドンピシャだとシャレにならないんで(^^;)
>> まきぴ~ さん
>>今でも愛しているといって下さいますか?二ヒヒ😁
>> ポンコツ河嶋桃@🐢大洗女子カメ㌠🐢 さん
愛に恋会いに来い
ただの言葉遊びです。 ごめんなさい。 m(_ _;)m
>> りんごのひとりごと@ぐ〜たら居士 さん
ムフフ😊>> なかっぴさん
黄身のざわ(菜)く、くるしい>> 杏鹿@………………………… さん
黄身と野沢菜の下にあるアレが無理です(^^;)そういう事かな?
とてもここには載せられないのがでてきたのでパスします😓😅
ダイジェスト版で更に何やら?!...(~_~;)
ま、結末と読後感がスッキリすればいいか。。。('◇')ゞ
な結末かな?🤔
死に征く使命故身を引いたとか?
>> 杏鹿@………………………… さん
どういう事かな?ムフフ😊
>> ob2@風邪が治ると鼻炎🤧 さん
きゃー😅ありとあらゆるジャンルが出てきますね
>> 永芳 さん
最終話の仕上げもほぼ完成しました😊隠し球?そもそも地中に球が隠してあったじゃんと突っ込むのはおいらだけかな😁😁
>> ポンコツ河嶋桃@🐢大洗女子カメ㌠🐢 さん
果たしてGOE(Grade of Execution:出来栄え点)は加算されるかな。。。(;^_^A>> じんで@肘の君 さん
確かに…隠された球体から始まった話ですからね🤔
書いた本人が気付いていなかった😨
>> 永芳 さん
それは今夜明らかにされる……のでしょうか(^^;)