サボりたい占い師必見！ YouTubeの動画を映し出せる水晶を作った

マイネ王では、レバーを押すだけで上司に欠勤のメールが送信される「二度寝ができるマシーン」や、酔っ払って失態を起こさないようにする「アルコールセンサー付きスマホケース（めちゃくちゃデカイ）」など、自分のためだけに物を作ってきた。しかし、本当にこの活動を続けていいのだろうかと、最近ずっと悩んでいる。もっと人のためになるような物を作って、社会に貢献していきたいのだ。

私はサボっているけど仕事している風に見せたいとき、だいたいソリティアかタイピングゲームをやっている。パソコンの画面を見られない限りは、熱心に仕事をしている感を周りに表すことができて、とても便利なゲームなのだ。

しかし、デスクワーク以外の人はどうだろうか。例えば占い師。きっと、仕事をしたくない気分のときもあるはずだ。だからと言ってスマホをいじったりすると、スピリチュアルな雰囲気が台無しになってしまう。かわいそうだ。私が占い師のために仕事をサボることができるデバイスを作ろうと思う。そんで、めちゃくちゃ高く売りつけようと思う。これが私の社会貢献だ。

「YouTubeが見られる水晶」を作る

▲占い師のイメージ

占い師といえば、水晶だ。この未来などが映し出されがちな水晶でYouTubeが見られたら、自然に仕事をサボれるんじゃないだろうか。というわけで、YouTubeが見られる水晶を作ってみたい。

購入したのは、秋葉原にある電子パーツ店「秋月電子通商」で販売されている「ドーム型スクリーン用カラー液晶プロジェクター（球体液晶・光学表示ユニット）」だ。通常のプロジェクターは平面に映像を映すが、これは内蔵されている歪んだレンズによって半球の内側に映像を投影できるのだ。

このプロジェクターとパソコンをつなげて、YouTubeを再生すれば完成！

……そう簡単にいかないのが、人生だ。

プロジェクターとラズベリーパイを接続する

まずプロジェクターを、この「ラズベリーパイ（以下、ラズパイ）」で動かせるようにしなければならない。「いきなりスイーツの話すんな！」と怒っている方、落ち着いてほしい。ラズベリーパイというのは、5,000円以内で手に入る小型PCの名称だ。

PCはWindowsなどのOSをインストールして使うが、ラズパイもOSをインストールできる。今回は「Raspbian（ラズビアン）」というOSを入れた。後ろに映っているのが、デスクトップ画面。

ラズパイは簡単にインターネットにつなぐことができる上、普通のPCよりもはるかに電子工作に向いているのが特徴だ。他のPCと決定的に違う点は、入出力が可能なGPIOピンがついているところだ。このピンは入力されたセンサーの数値を読み取ったり、つながれた他のデバイスを制御できたりする。つまり、すごいということだ。

ラズパイの画面を、購入したプロジェクターに映し出したい。しかしこの2つを通信させるためには、信号を変換したり電圧を調整したりと、何かものすごく大変っぽいのだ。なので、今からすごく荒いことをやります。

まずは、プロジェクターを分解する。このプロジェクターの構造は、下から白いLED→レンズ→液晶→レンズの順番になっていた。液晶に映された映像を白いLEDで照らし、特殊なレンズで映像を歪ませることで、ドーム型に投射できるという仕組みのようだった。間違ってたらすみません。

この液晶部分に好きな映像を映し出したい。しかし、ラズパイの映像をこの液晶に映すのは、先ほど言った通り、何だか大変っぽい。だったらラズパイに使われている液晶をそのまま使えばいいのではないだろうか。

これがラズパイと互換性のある2.2インチのディスプレイだ。

このディスプレイを分解して、映像が映っている液晶部分を引き剥がし、プロジェクターのレンズの上にのせ、LEDの電源だけ供給する。

すると、ここでラズパイの画面が映るようになった。電子工作に詳しい知り合いに見せたら「部品への暴力」と言われたが、映ったからいいのだ。このやり方には先人がいて、この動画を参考にした。これがなかったら途方に暮れているところだった。ありがとうございます。

プロジェクターとラズパイを無理やりつなげられた。これは、紙コップにラズパイの画面を映したところ。

ラズパイでYouTubeを見られるようにする

あとはラズパイでYouTubeを見られるようにしなければならない。「いや、パソコンなんだからYouTubeくらいすぐ見られるだろ」と思っているかもしれないが、そんなに簡単じゃないのだ。ラズパイも人生も。

ラズパイはインターネットにつなげられるので、YouTubeの動画を見ることはできる。しかし、すごく低スペックなPCのため、「月末ですか？」というレベル以上に遅いのだ。動画がカクカクして再生されるのだ。

動画を快適に見るためには、アプリ的なものをインストールしないといけないとわかった。今回は、Kodiというものをインストールする。この記事を参照し、コマンドを入力してみると、あっという間にインストールが完了した。

▲雪見だいふくのカップでテスト投影

これでYouTubeが見られるようになった。このkodiはスマホのアプリで遠隔操作ができるのも便利ポイント。

今回は意味不明な使い方をしているが、ラズパイはHDMI接続ができるので、家のテレビやモニターなどにつなげてkodiを起動すれば、お手持ちのスマホがリモコン代わりになる。いわば、Googleの「Chromecast」やAmazonの「Firestick」のようなものが自作できるので、すごく便利。ぜひ皆さんやってみてください。

あとは、東急ハンズでプラスチックの球体を購入し、白く塗装したら完成だ。

「YouTubeが見られる水晶」の完成

完成した。これが「YouTubeが見られる水晶」だ。まったく水晶に見えないという意見はとりあえず置いておいてください。

占い師になりきって、このデバイスを使ってみようと思う。

スピリチュアル感がすごい。しかし水晶に投影されているのは……。

ぐうかわなネコ。YouTubeで「CAT」と調べて出てきた「かわいいネコ大全集」みたいな動画だ。私は仕事中にネコの動画を見てニヤニヤしているのだが、占い師の方も仕事の合間に動画を見て癒やされたいことだろう。

完全に占いをしている感じがでているが、

「次はペット可のマンションに引っ越そう」などと考えている。

もちろん、某トップYouTuberの動画も見られる。心なしか水晶に人物が浮かぶと、自分の運命の人なのではないかという気がしてくる。私の運命の人が私のために商品紹介をしている気持ちになってくる。絶対に買ってしまう。

運命の人だ……。

人物が水晶に映るといいということはまさか……。イケメンの客が来た時に自分の動画を映して「これが運命の人です」などと言えば、これはまさかヤバいのではないだろうか。何かしらの法律に引っかかるかもしれないほど、ヤバいことだ。

終わりに

この「YouTube水晶」があれば、占い師の方も心置きなくサボることができるはずだ。人類はみな平等。どんな職業でも平等にサボる権利はあるのだ。このデバイスを全国の占い師に広めるべく、量産の体制に入りたい。

さっそくメルカリで出品してみたが、まったく売れなかった。誰か買ってください。

（編集：ノオト）