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タッチパネルの仕組みがわからないままスマホ歴6年になってしまったので、そろそろちゃんと把握したい

タッチパネルの仕組みがわからないままスマホ歴6年になってしまったので、そろそろちゃんと把握したい

宇内 一童
ライター: 宇内 一童
コンテンツメーカー・ノオトのライター、編集者。気さくな人柄。

ライターの宇内です。

iPhone 4Sでスマホデビューして、かれこれ6年が経ちました。「俺もいっぱしのスマホユーザーになったなぁ」などと感慨にふけっていたのですが、あることに気づいてしまいました。

「タッチパネルの仕組みがわからない!」

そう、知ってるつもりだったけど、改めて考えてみるとよくわからないのです。タッチパネルの仕組みについては、

「人間の体には電気が流れていて、タッチパネルに触れると電気が伝わる」

と、合っているのかよくわからない認識を持ったまま生活していました。これって私だけでしょうか? みなさん、仕組みわかりますか?? 原理わかりますか???

ということで今回は、仕組みをしっかりと把握するべく、タッチパネルの専門メーカー・DMCさんにお邪魔しました。

販売企画部ゼネラルマネージャー・武田誠二さんにお話を伺います。


スマホのタッチパネルは「静電容量方式」

タッチパネルって、スマホやATM、プリクラ、券売機など、いろんなところで使われていますよね。タッチパネルと一口に言っても、さまざまな種類があるんでしょうか?

はい。タッチパネルには主に、「静電容量」「抵抗膜」「赤外線」の3つの方式があります。他にもありますが、よく使用されているのはこの3つです。

なるほど。では今日は、3つの方式について教えてください!

わかりました。まずは、スマホに使われている「静電容量方式」から説明しましょう。実物を見てもらったほうがわかりやすいので、まずはこれを見てみてください。

弊社のちょっと古いタイプの製品なんですが、ダイヤモンドのようなパターンが見えますよね。

ほんとだ! ひし形がいっぱい並んでる!! 蛍光灯の光が映り込んでいる部分は、特によく見えますね。

これはITO【※1】という、電気を通す“透明の金属”なんです。いろいろなパターンを各社で工夫して開発し、採用していますが、基本的な静電容量方式は、ダイヤモンド型の電極をX(横方向)とY(縦方向)に、重ならないように配置しているんです。
【※1】ITO……Indium Tin Oxideの略で、酸化インジウム錫(スズ)のこと。透明導電膜として使用できる金属。

▲このような仕組みになっている

透明の金属なんてあるんですね。すごい……。

人間の体は容量を持っているので、タッチパネルを触ると、電圧をかけた電極と指の間に結合が起こります。要は、コンデンサーが電極にぶら下がるような状態になる。それによって容量が変化するので、タッチされている場所を特定できるというわけですね。

「……わからん!!」

すみません、知識がなさすぎて恥ずかしいのですが、「容量」とか「コンデンサー」という用語からすでに理解できませんでした……。

容量は「電気を蓄える大きさ」のこと。コンデンサーは「電気を蓄える器みたいなもの」です。

その電気を蓄える器みたいなものが、電極にぶらさがるというのはどういうことですか?

電圧をかけた2つの電極を近づけると、電荷がプラスとマイナスに分かれて、タッチパネルの表面に電気が蓄まっていくんですよ。

なるほど。タッチパネルが電気を蓄える器、つまりコンデンサーになっているんですね。

はい。人間の体も大きなコンデンサーなんですよ。なので人がタッチパネルに触れると、電極にコンデンサーがぶら下がることになり、これを「容量結合」といいます。

容量結合が起こると電圧が変化するので、その変化でタッチされている場所を検知するってことですね。

……ああ! わかった気がする!! タッチパネル側の電荷が人間側に吸い取られてるってことですよね?

▲つまり、こういうこと……?

そうそう。そういうイメージです。

長年、誤解していました。人間の体の電荷がタッチパネル側に移動して、それによって場所を特定するものだと思ってました。逆だったんですね……。

▲理解できて安心する筆者

さきほど、2つの電極に電圧をかけて、その間に電荷を蓄えるという話がありましたよね。XとYの電極には同時に電圧をかけているんですか?

実はY1→Y2→Y3と順番に、プラス、マイナスの電圧をかけていくんです。それでX側を見て、「どのY電極間に電圧をかけた時に、どのX電極で容量に変化(電圧変化)があったか」を検出して、どの場所が触られたかを把握します。

例えば、この黒丸の位置に指が触れると、順番に電圧をかけたときにY4とY5、X3とX4で容量値が大きく変化します。変化の大きな所を、タッチ箇所として検知するんですね。

なるほど〜! ちなみにY1→Y2というように、順番にプラス、マイナスの電圧をかけるというお話でしたが、どれくらいの速度で順番を切り替えているんですか? 目に見えないので、イメージしづらいなと思いまして……。

使用されるコントローラーの設定や性能によって変わりますので、一概には言えませんが、例えば1秒間に数万回程度の速度で電極をスキャンしたりしていますね。

スゴイ! 目に見えないところで、そんな高速処理が行われているんですね……。


静電容量方式には2つのタイプがある

実は静電容量方式には2つのタイプがあって、いま説明したのが「相互容量方式」、もう1つに「自己容量方式」があります。これは人間の体が電荷を吸収するのではなく、電極側にコンデンサーが追加されることで起こる電圧の変化によって、場所を検知する。つまり、相互容量方式とは逆ですね。

▲かみ砕いて説明すると、こんな感じ

おお……逆のパターンもあるのか。スマホは相互容量方式なんですよね? 自己容量方式を使わないのはなぜですか?

自己容量方式だと、マルチタッチができないんですよ。相互容量方式だと10点、20点と同時にタッチできる製品もありますが、自己容量方式は、1点しか認識できません。

それを聞くと、相互容量方式のほうが優れているように思えてきますね。自己容量方式は何か長所があるんですか?

自己容量方式の特徴は、「感度の高さ」です。10ミリもある分厚いガラスの上からでも認識します。相互容量方式だと、4ミリぐらいがやっとかな。

10ミリの分厚いガラス……!? それって、どんな機械に導入されてるんですか?

例えば、海外のATM。日本と違って海外のATMは、街中にポンと置いてあったり、ビルの外壁に埋め込んであったりしますよね。そういう屋外に設置されているようなATMは、叩いて割られないように厚いガラスを使っています。

▲海外のATM。日本のものと比べると確かに無防備に見える

相互容量方式はマルチタッチができて操作性が高く、自己容量方式は高感度で分厚いガラスでも使える。それぞれの良さがあるんですね。


産業用途で信頼性が高い「抵抗膜方式」

次は「抵抗膜方式」の説明をしましょう。静電容量方式は、XとYの電極が重ならないように配列されているって言いましたよね。

はい。

抵抗膜方式は、タッチすると上下の電極が重なる。つまり、導通する(電気が流れる)ようになっているんですね。導通すると電圧の変化が起こるので、それでタッチされた場所を検知します。

なるほど。デフォルトの状態では、電圧をかけた2つの導電膜が導通しないようにスペースを作っていて、タッチして導電膜同士がくっつくことで電気が流れるってことですよね。これはどんな機械に使われているんですか?

医療機器や産業設備機器、計測機、コピー機などに使われています。身近なところだと、カーナビとか。

スマホとはまた違った業界で多用されているんですね。静電容量方式との大きな違いはなんですか?

抵抗膜方式は、基本的に1点タッチしか対応できないんですよ。2点同時にタッチすると、点と点の真ん中の座標を算出してしまうんですね。弊社の製品には、マルチタッチに対応した抵抗膜方式もあるんですけど。

マルチタッチに対応した抵抗膜方式のタッチパネルって、どんな機械で使われているんですか?

例えばロボットなど、間違って操作すると事故につながるような機械ですね。誤入力を防ぐために、どこかを押しながらじゃないと、操作できないようにするんです。必ず2点触って操作をする「インターロック」という仕組みですね。数年前に、工場で使用される装置のメーカーさんから要望があって開発しました。

スゴイ! そういう産業用の機械などは、抵抗膜方式が多いんですか?

そうですね。抵抗膜方式は水滴などのノイズにも強く、どんな手袋をつけても操作できるので、産業用途においては信頼性が高いです。


日本の銀行ATMは「赤外線方式」

最後に、3つ目の「赤外線方式」について説明しましょう。これはタッチパネルの端から赤外線を照射して、赤外線が遮断された場所で位置を特定する方式です。赤外線を発散する素子と受光する素子があって、片方が発散して片方で受光します。

▲赤外線方式の代表的なタイプとされる「赤外線走査方式」の検出原理

静電容量方式と比べると、わかりやすい仕組みですね。赤外線方式は、どういう機械に使われているんですか?

例えば、日本の銀行ATM。海外のATMでは静電容量方式(自己容量方式)が使われていると、先ほど話しましたが、日本では赤外線走査方式しか認可されてないんですよ。

えっ? どうしてですか!?

詳しくはわかりませんが、防犯上の理由があるのだと思います。赤外線方式は、タッチパネルの表面に照射されている赤外線の変化で場所を検知するので、ガラスの厚みなどに左右されないんですよ。

いくらでも分厚くできるってことですね。話は変わりますけど、ATMのタッチパネルって、感度悪くないですか? 押してもなかなか反応しないときがあるんですけど……。

この方式では、タッチパネルの上に物が載っているとタッチされたことになってしまったり、赤外線も光ですから太陽光が当たると誤動作を起こしたりするんですよ。外からの影響を受けやすいんですね。

なるほど……。ATMのボタンの反応が悪いと強めに押してましたけど、そもそも赤外線方式は光が遮断されている場所を見るので、意味のない行動だったってことですよね?

はい。強く押し込んでも意味はないですね。

なんか急に恥ずかしくなってきました。


3つの方式まとめ

今回教えていただいた3つの方式、ざっくりまとめるとこんな感じです。

スマホが普及したことで、静電容量方式の市場が広がっているものの、抵抗膜方式も毎年、受注件数が伸びているらしい。

タッチパネルの未来

今後また新しい方式が生まれるとしたら、それはどのようなものでしょうか?

他人が触ったところを触るのが嫌だという人もいるんですね。衛生面を気にしたり、指紋が気になったりして。なので、触らなくても操作するにはどんなセンサーデバイスが必要かを、常に頭の片隅で考えています。


触らなくても……操作ができる?

例えば、立体的に映像を出すホログラムの技術が進んでいますよね。ホログラムを使えば、空間で操作できるようになるので、他人が触ったところを触りたくない人のニーズも満たせるようになる。デバイスメーカーとして、そういうことも考えていかないといけないなぁと思っています。

そうなってくると、もう“タッチ”でも“パネル”でもない別物のような気がしますね。その技術が開発されたら、またぜひ仕組みについて教えてください。10年くらい先の話でしょうか?

5年くらいじゃないでしょうか。

えっ……!? 技術の進歩、早すぎませんか?


私たちが普段なにげなく使っているガジェットには、仕組みをおおまかにしか理解していないものがたくさんある気がします。その例として、今回はタッチパネルを深掘りしてみました。

職場の同僚や友人などに、「スマホのタッチパネルは、タッチされた場所をどう検知しているのかわかる?」と聞いてみると、私と同じような勘違いをしている人が見つかるかもしれません。ぜひ、仕組みを教えてあげてくださいね!

取材協力:株式会社DMC

(イラスト:マキゾウ 撮影:社領エミ 編集:ノオト



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51 件のコメント
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銀行の ATM を一生懸命強くをしていましたが間違えということがわかってすごい勉強になりました
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