「SIMフリー」スマホのほとんどがなぜmineoの動作確認端末一覧に載ってないの？

音声通話の無線アクセス問題（VoLTEは除く）

現在国内販売されている『SIMフリー』スマホのほとんどは音声通話にW-CDMA（Wideband Code Division Multiple Access）と呼ばれる通信方式が使われています。日本ではNTTドコモ、ソフトバンクなどが採用しています。（世界的にはW-CDMAが主流であり、グローバル展開している『SIMフリー』スマホを日本向きに適応させて販売）

ところが、KDDIは音声通話にCDMA2000と呼ばれる通信方式を採用しているため、現在国内販売されている『SIMフリー』スマホのほとんどでは音声通話ができません。mineoはKDDIのMVNOなので、mineoのデュアルタイプ（データ通信+090音声通話）での音声通話もCDMA2000を使用するため、残念ながら音声通話はできないのです。

であれば、音声通話はLaLaCallなどの通話アプリでいいからmineoのシングルタイプ（データ通信のみ）で使えるのでは？と思われるかもしれませんが、今度は周波数バンドの問題が発生します。

LTEデータ通信の周波数バンド問題

まず、「周波数バンドとは？」ですが、3ＧＰＰ（Third Generation Partnership Project）という国際標準規格によりLTE周波数バンドが決められています。世界各国はこの3ＧＰＰ規格に基づき携帯電話用にそれぞれの国の周波数事情を勘案して周波数バンドを割り当てます。

日本では総務省が各キャリアに周波数バンドを割り当てています。（【表1】日本のLTE周波数バンドの割り当ては、【表1】をご覧ください。（周波数単位：MHz））

『SIMフリー』スマホメーカーは、どの国に販売するかなどを勘案し、適応する周波数バンドを決定して出荷しています。

では、実際に『SIMフリー』スマホはどの周波数バンドに対応しているのでしょうか。
例としてGoogle 社のNexus5（グローバルモデル）を見てみましょう。

となっています。
【表１】よりNexus5はNTTドコモのバンド1、バンド3、ソフトバンクのバンド1、バンド3、バンド8が対応できそうです。ただ、KDDI(mineo)ではバンド1のみの対応となってしまい、バンド1エリア以外では通信ができません。

では、バンド1だけ使って（バンド1が無いエリアでの使用はちょっと不安だけど・・）mineoは使えるのでは？となるのですが、もうひとつ技術基準適合証明（いわゆる技適）を取得しているかが問題になります。日本で利用するには、『SIMフリー』スマホが技適を取得している必要があります。

ではNexus5は技適を取得しているのでしょうか？実はNexus5（グローバルモデル）：LG-D821は技適をちゃんと取得しています。ではなぜ、mineoの動作確認端末一覧に載らないのかというと、技適の中身（具体的に言うと認証書内の「電波の型式、周波数および空中線電力」項目の記載）が問題になります。

図示するとKDDIに割り当てられているバンド1の上り周波数は下図のとおりです。

この図ではよくわからないと思います。もう少し図を広げると・・・

LTEバンド1上り周波数の前にPHSの帯域が出てきました。

このPHS帯域が、LTEバンド1上り周波数（具体的にはKDDI割り当て周波数の前）に近接しているため、KDDIの周波数を利用する端末は、PHSを保護するための制限を考慮する必要があるのです。

具体的には、KDDI網に接続するためにはPHSを保護するための技適を取得する必要があります。Nexus5（グローバルモデル）：LG-D821は「PHS保護の項目が無い」技適を取得していたためmineoでは動作確認端末一覧に載せていないのです。

では、なぜ「SIMフリー版iPhoneは載っているの？」と思われた方、鋭いですね！！

実は、国内販売の「SIMフリー版iPhone」はちゃんとPHS保護を考慮し技適を取得しているのです。（iOS8で動かないのが悲しいですが・・・）

どうでしたでしょうか？このような理由で、残念ながらmineoで使える『SIMフリー』スマホは少ないのが現状です。今後mineoでも使える『SIMフリー』スマホが、たくさん出ることを期待しています。

ご要望がありましたmineoの動作確認端末一覧を追加しました。
mineo動作確認端末一覧

執筆者：マイネ王運営事務局　マイテク