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万が一の備えに…スマホの充電ができる「防災グッズ」を4つ試してみた

万が一の備えに…スマホの充電ができる「防災グッズ」を4つ試してみた

村中貴士
ライター: 村中貴士
大阪府出身。日々エッジの効いたネタを探し続けるフリーライター。得意ジャンルはサブカル、テレビ、音楽、現代アートなど。デイリーポータルZ 新人賞2017で佳作。自称・無料イベントマニア。

地震や台風、ゲリラ豪雨など、毎年のように発生している自然災害。玄関に非常用持ち出し袋を置いたり、非常食を常備したり、もしもの災害に備えている人もいるのではないでしょうか。

もちろん非常時は、水や食べ物、防寒具といった命にかかわるアイテムが優先されます。一方で、災害の最新情報を得たり連絡を取ったりできるスマホも、重要なライフラインの1つといえるかもしれません。

そこで今回は、非常時に備えて用意しておきたい、スマホの充電が可能な防災ガジェットを4つ+α、Amazonで購入してみました。商品の概要と良かった点を紹介していきます。

価格は購入時のAmazon販売価格(税込)であり、変動する可能性があります。

【1】手回し&ソーラー充電ができる大容量モバイルバッテリー(GERCEO)

Amazon内で商品を検索すると、容量が1万〜2万mAh程度のモバイルバッテリーが多い印象ですが、こちらは6万1200mAhと大容量。しかもUSB充電だけでなく、手回し充電と太陽光による充電が可能です。

出力用としてType-C、Lightning、microUSBの3つのケーブル、入力用としてUSB-Aケーブルが内蔵されているので、別途ケーブルを用意しなくても使えます。さらに、上面には3つのUSB出力ポートがあり、ケーブルがあれば最大で6台同時にスマホを充電できます。

底面には高輝度LEDライトがついており、緊急時には懐中電灯としても利用可能です。

良かった点

非常時は、モバイルバッテリー自体に充電できるとは限りません。その点、これは手回しでも太陽光でも充電できます。

取扱説明書によると、10分間の手回し充電でLEDライトが約30分間使えるようです。試しに、充電ゼロの状態から10分ほど手回し充電をしてみましたが、LEDライトはバッチリ使えました。

ただ、どれくらい充電できているのかは正確には分かりませんでした。というのも、充電残量の目安表示は25%きざみなので、それ以下だと充電がどれくらい増えているのかが分かりません。

取扱説明書より、充電残量の目安表示の説明

太陽光による充電は、充電ゼロの状態で窓際に5時間程度置いて試してみたところ、充電残量の目安表示LEDが1つ点灯する結果に。25%以内ではあるものの充電はできたようです。ただし、太陽光による充電は日射条件や周囲の温度、季節によって大きく変動します。取扱説明書には、「太陽光がソーラーパネル正面に当たるよう、向きや角度を調節してください」と書かれていました。

太陽光で充電しているところ

そのほかの特徴として、出力用のケーブルが本体に付いているので、「ケーブルがないからスマホに充電できない」という事態を避けることができます。LEDライトの機能は、非常時には懐中電灯の代わりとして役立つでしょう。

なお、重量は744gあります。一般的なモバイルバッテリーと比べるとかなり重くゴツいため、普段の携帯用ではなく、あくまでも防災用として持っておくのがよさそうです。

左が筆者のiPhone12 mini、右がモバイルバッテリー

【2】スマホが充電できるポータブルラジオ(Mesqool)

災害時の情報源といえば、ラジオを思い浮かべる人が多いでしょう。この「防災ラジオ」は、太陽光および手回しで充電できる機能とともに、スマホが充電できるUSBポートもついています。

裏面に手回し充電用のハンドルがついている

容量は5000mAhで、本体への充電は手回し、ソーラーパネル、USB-C、単4電池の4種類が使えます。ディスプレーには残りの電気容量やラジオの周波数、時間が表示され、ボタン操作も簡単です。ラジオはAM、FM、SW(短波放送)を聴くことができ、チューニングボタンを長押しすれば自動的にラジオ局を検索できます。

懐中電灯用のライトでコップを照らしているところ

読書用ランプで本を照らしているところ

ラジオ以外の機能として、懐中電灯用のライトと読書用ランプがついています。また、SOSアラートボタンがあり、地震などで閉じ込められた場合に鳴らせば、周囲に知らせることができます。

良かった点

単にラジオを聴けるだけでなく、「太陽光および手回しで充電できる」「USBポートからスマホが充電できる」という機能がついています。また、小型で持ち運びしやすく、それほど重くないのもGOODです。

取扱説明書によると、本体を30%充電するためには、手回しで5時間、太陽光で36時間必要とのこと。10分程度の充電で満足に使えるわけではないので、単4電池も常備しておきたいですね。

ラジオの聴こえ具合は、概ね良好だったものの、置く場所や角度によってはノイズが入りました。ただこれは、一般的なラジオ受信機と同様の現象であり、電波を受信しやすい場所を探す必要があります。「ラジオはradikoでしか聴いたことがない」という人は、万が一の場合に備えて、ラジオ受信機の使い方を知っておくと安心です。

「スマホが充電できるなら、ラジオ放送はradikoで聞けばいいのでは?」と思う人もいるでしょう。しかし災害時はインターネット回線自体がつながらない可能性があり、そうなるとスマホでラジオは聞けません。また、インターネットがつながっていたとしても、多くの人が使うため回線が混雑することも予想されます。念のためラジオ受信機で、お住まいの地域のラジオ局や周波数を事前にチェックしておきましょう。



【3】スマホが充電できるLEDランタン(VORAGA)

おもにキャンプやアウトドア用として使うことを想定したLEDランタンですが、停電時や非常時にも役立ちます。こちらもUSB出力ポートがついており、スマホが充電可能です。ライトは側面のLEDパネルと、懐中電灯として使える円形ライトの2つがあります。

円形ライト

入力および出力用のUSBポートとソーラーパネル

本体への充電は、太陽光とUSB-Cの2種類で、容量は3200mAh。ただし出力電力は5V1Aなので、1A以上の出力が必要なデバイスは充電できない可能性があります。筆者のスマホ(iPhone12 mini)は問題なく充電できました。

画像

このソーラーランタンには6つのライトモードがあり、1つのボタンでシンプルに操作できます。各モードは、「円形ライトが点灯/点滅」「左側のパネルが点灯」「右側のパネルが点灯」「両方のパネルが強く点灯/弱く点灯」で、ボタンを押すごとに切り替わります。LED のパネルは、90度の範囲内であれば自由に角度を調整でき、閉じた状態では置き型ランプ、開くと天井灯として使えます。

良かった点

コンパクトで軽く、持ち運びも簡単です。スマホが充電できる点はもちろん、照明としても使い勝手がよいなと感じました。LEDのパネルが2つあり、片方のパネルだけ点灯してバッテリーを節約しながら使うこともできます。

また縦置き、横置きだけでなく、フックがついているので吊り下げもできます。非常時以外では、「キャンプでテント内の照明として」「寝る前の読書灯として」「車中泊の照明として」などの使い方もできそうです。



【4】停電時に自動点灯するデスクライト(兼備生活)

防災グッズ大賞を受賞しているデスクライトです。停電時に自動点灯する機能や、スマホを充電できる機能、30分おやすみタイマー機能などが備わっています。ただし蓄電機能はありません。

本体の電源は「ACコンセント~USB-C」と、「単3電池4本」の2種類。通常時はACコンセント~USB-Cポートを使い、停電時には電池を使って点灯する仕組みです。スマホへの充電は、出力用のUSBポートを使います。また、操作パネルの左右にすべり止め(小さな出っ張り)があるので、スマホを立てかけて使うことも可能です。

操作パネルで光の色合いと明るさを調節できる

光の色は「昼光色」「昼白色」「電球色」の3種類、明るさは7段階に調節できます。なお、停電時の自動点灯機能を有効にするには、「停電を検知するために、常時コンセントに接続しておく」「バックアップ電源として、単3電池4本を入れておく」という2つの準備が必要です。

もし停電時に周囲が明るい場合は、明るさセンサーが検知するため自動点灯機能は作動しません。「家に誰もいない昼間に停電し、電池を無駄に使ってしまう」といった事態を防げます。

底面に電池を入れるボックスと、USB入力ポート/出力ポートがある

良かった点

一番のメリットは、普段使いができる点です。「ベッドサイドに置いて、読書灯として使う」「勉強時のデスクライトとして使う」「オンライン会議で顔を明るく照らす」など、いろんなシーンで使えそうです。また、電池からスマホへ充電できるのも良いですね。もちろんコンセントにつないでいる状態でも、USB出力ポートからスマホの充電が可能です。

ネック部分を曲げて光の角度を調整できる

普段使いではコンセントからの電気を使用するため、基本的に電池は使いません。防災を視野に入れるなら、中に入っている電池がちゃんと使えるかどうか、定期的に状態を確認する必要があります。メーカーとしては、使用期限の長い電池や液漏れ防止対策が施されている電池を推奨しているようです。



【番外編】スマホ置き場つき簡易トイレ(MOARS)

災害時に最も困ることの1つが、トイレです。排水管が破損したり断水したりすると、水洗トイレが使えません。ということで、IT系のガジェットではありませんが、番外編として「スマホ置き場つきの簡易トイレ」も紹介しておきましょう。

この簡易トイレは折りたたみ式。下のほうについているのは傷ではなく「山」のデザインです。

組み立てはそれほど難しくありません。まず便座のカバーを開き、側面となるパネルを立てて広げます。

底面のパネルをパタッと下げて固定し、排泄物の処理袋をかぶせ、便座面をセットすれば完成。初めてでも1分以内で組み立てられました。

高さは36.5cmで、家庭用の便器と同じくらい。耐荷重は200kgで、実際に座ってみたところ思った以上に安定感がありました。

プラスチック製で丸ごと水洗いができ、清潔な状態を保てます。付属品として、スマホを置くトレイ&トイレットペーパーホルダー、排泄物の処理袋12枚分、収納袋が入っていました。

良かった点

組み立てが簡単で、強度もそれなりにしっかりしており、座ってもグラつきません。また、折りたためばコンパクトに収納でき、場所をとらない点もGOODです。

普段の生活でも、トイレに持ち込んだスマホやポーチなどをどこに置くか迷うことってありますよね。その点、この簡易トイレはスマホ置き場もトイレットペーパーホルダーもあり、細かい所まで考えて作られているなと思いました。非常時以外の用途として、キャンプの際のトイレや椅子、ゴミ箱として使うのもアリかもしれません。



「スマホが充電できる○○」など、防災グッズも進化している

今回、防災関連のガジェットを調べてみて、「スマホが充電できる商品が意外に多いな」と感じました。それだけ、スマホが生きていく上で欠かせないアイテムになっている、ともいえます。

また、モバイルバッテリーやラジオ、LEDランタンなど、防災グッズも時代に合わせて進化しています。これを機に防災バッグの中身を見直して、いざという時に冷静かつ柔軟に対応できるようにしておきましょう。

編集:ノオト


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78 件のコメント
1 - 28 / 78
停電時に、スマートフォンが充電できる防災用品、こんなにたくさんあるんですね。はじめて知りました。ためになる記事、ありがとうございました。
いろんな防災対策の商品があるので参考します。
いろいろありますね。ソーラーグッズはいいと思いますが、更に充電機能がアップしてくれれば言うことないです😄
なるほど。最新の防災グッズ、大変参考になりました。古のこと、手回し式充電のラジオを家族が調達して来た際、ぐりぐりと重たいハンドルを体力が続く限り回しても、ラジオは30分も聴けなかった様な。挙句、力任せにハンドルを廻していると「ボキッ」…ただの大きく重たいラジオとなりました。防災グッズの調達先はAmazonじゃなくそこは100均ではないでしょうか?キャンプにも使えるランタンや懐中電灯・モバイルバッテリー・携帯トイレも有りますね。
防災グッズの紹介、とても参考になりますね。なかなか気軽に買って試せるものでもないので…。
充電機能のあるものは、機能維持のためのメンテナンス(?)が必要だったりするので、そういう手間を自分がかけられるかどうかの見極めも大切になるなと思いました。
手回し充電器、ラジオ・ライト付きを持っています
今までのところ、使った事はありません‼︎
お、ちょうど個人的に検証していたことでタイムリーなトピックだったので大変ありがたいですな。
ソーラーや手回しで、満充電までの時間が知りたいです。自転車充電ですら凄い時間が掛かっていたので、スマホ向け充電機能に実用性があるのかな?
防災グッズのチェックありがとうございます😊短期間ならなんとかなる備えはありますが長期になるとソーラーの活躍が必要ですね😊とても参考になりました😊
ことわざで「災害は忘れた頃にやってくる」と言われてますが忘れなくてもやってきますね〜スマホはどうしても必要なので充電器は持っていても数日しか使えないのでソーラーの必要性は絶対ですね〜mineoさん検証ありがとうございます😊
 実際に試してみないと分からない製品が多いので、良い記事だと感じました👍
トイレは丈夫そう&コンパクトに畳めるので良さそう
参考になりました。ありがとうございます。🤗
災害時にスマホ充電グッズがあると良いですね。
①リチウムイオン充電池は管理が必要で、
いざという時に当てにならない。
3ヶ月に1度のチェックと充電。

長期保存できるアルカリ乾電池は必需。

②LEDライト付き乾電池式充電器(600円)
を3台購入。
電池4本で1A出力、
安いのは0.7A出力なのでご注意。
eneloopでも充電できましたので
普段使いでもOK。

乾電池はラップを剥がさずに1本にして、
充電池にセットして保管。
いざという時に使えるのと、
荷物が半分になる。

③マグライトはヘッドを外し底に挿すと
ランタンになります。

非常用品はかさばらず軽いのが良い。
色々な商品があるんですね〜。

手回し充電のライト付きラジオをだいぶ前に買いましたが、手回しは疲れるのでオススメしません……。
結局、電池を入れておいています。
いざというときのため
いろいろ用意はしてあるけど
使うことのないこと祈ります
参考になります。ありがとうございました。
①の大容量モバイルバッテリー
謳い文句に釣られて買いました
期待外れ、せいぜい2,3回の充電がやっと
ソーラーで貯めるのに何日かかる、
手回し充電、避難所で気を紛らわせるためには有効かも知れませんが

夜間LED補助ライトに使ってますがそれも3日で切れます
上のかたに同感です。ソーラーパネルは余程大きなものでないと、機器の充電に時間がかかりすぎる。手回しは、気休めにしかなりません。
モバイルバッテリーは、単三乾電池タイプを用意しとおけば十分と思います。
できれば、10年もつとうたっているコンデンサータイプを試して欲しかった。10年前のもの入手しろとは言いませんが。
この手の志那製品、初期不良も多いし災害時にいざ使おうとすると壊れてる確率高いのよねぇ。。。
震災後に買った手回し発電ラジオ・ライトは、一度も使うことなく、携帯の差し込みのタイプが合わなくなりました😅使わずに済んだことを喜ぶべきですよね!買い替え考えてみます👍
災害は忘れた頃にやってくるので、準備が必須。
災害時の停電対策は防災グッズも重要ですが、住居地の選択が大いに影響します。役所、消防署、拠点病院等の電気系統と同じ所に住むと復旧が早いと思います。東北沖地震時の計画停電の影響は少なかったと思います。
ちょうど防災について色々準備し始めたところなので個人的にタイムリーでした!
皆さんのコメントも含め、大変参考になります。ありがとうございます!
防災に手回し式のワンセグテレビが欲しい思ってるんですけどね
参考になりました。
お疲れさまです。
過去に台風災害で長期間の停電を経験した者です。
災害(今回は停電)から何を守りたいかをしっかり決めて備えないと、これがあれば大丈夫だろう、役に立つだろうでは駄目だと思います。我が家ではキャンプに持参するそれなりの容量のポータブルバッテリーを災害時の備えとして併用していますが、それでも救える家電製品は知れたものだと思います。
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