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大昔のガラケーで撮った7万画素の写真は、最新AIでキレイになる? 時代に消えた思い出の復活に挑戦
ローカルネタ・ガジェット・卓球が好きなライター。過去に番組リサーチャーとして秘密のケンミンSHOWなどを担当。
こんにちは、ライターの辰井です。
と、いきなり低画質の画像であいさつしてしまいすみません。これは15年前に撮ったケータイカメラの写真です。
2023年1月現在、iPhoneの広角カメラの画像サイズは4,032 × 3,024ピクセルですが、これはわずか320 × 240ピクセル(76,800画素)。画像の粗さがとても目立ちます。
今や高画質・高機能を極める携帯端末のカメラ。1億画素、10倍望遠、光学式手ぶれ補正など至れり尽くせりですが、かつては「撮れるだけでスゴい」の時代がありました。
低画素でオートフォーカスもなく、デジタルズームすらなし。ひどいときは「もはや何を撮ったのかわからない」ことすらザラでしたが、それでもケータイにカメラがついていること自体が喜びでした。
7万画素で撮影する2023年の渋谷
2004年に発売された、320 × 240ピクセルの写真しか撮れないAH-K3001Vをかつて愛用した筆者。久しぶりに撮影してみると、2023年とは思えない雰囲気になりました。
天下の渋谷駅、109、センター街、そして我らがmimeo渋谷店も、7万画素マジックにかかればごらんの通り。筆者が持つ2022年発売Galaxy S22 Ultraの1億800万画素カメラと比べると、こんな感じです。
つまり、画質はとてつもない差があります。しかし過去に低性能なカメラで撮った写真も、紛れもない思い出たちです。
最近はそんな低画質を改善できそうなサービスが現れました。AI画像補正ツールです。ならば、数十年前のカメラの画像たちを最新AIの力で補正したらどうなるんでしょうか?
今回は、評判のいい3つのサービスで補正に挑戦していきます。
AIで低画質の過去写真がよみがえる
さっそく答えからいきましょう。冒頭の筆者の写真を、Face Photo Restorerで補正してみました。
どうですか? 僕の笑顔への賛否両論はともかく、画像が拡大されたうえに、なかなか画質が向上しました。左目の上あたりが不自然だけれども、若き日の顔写真を現代クオリティに復活できて何だかうれしい。
さらには、かつて街頭でたくさんもらった消費者金融業者のティッシュ。
この「ディック」も2008年に全店閉鎖となりました。これもgfpganとVance AIで補正すると……
おお! 画像サイズは現代での使用に堪えるほどになりましたし、顔の部分はいっそう鮮やかによみがえりました。
顔が微妙に変わっている気もしますが、ここまでキレイになるとは……!
さらに、昔ダイソーでなぜか「滝沢秀明vsアントニオ猪木」なるビデオCDが販売されており、それを撮った写真も復活を試みました。だいぶ顔の部分が小さいものの、最新AIならいけるはず……!?
アントニオ猪木もタッキーも、まるで似ても似つかぬ顔になりました。誰だキミたちは。どうやら勝手に顔を生成している模様で、使ったFace Photo Restorerがアメリカのサービスだからか、白人男性のような顔です。
顔の画像が小さすぎて、AIが悲鳴を上げたのでしょう。ただ、やみくもに顔をあてはめているのではなく、出てくる「顔の方向性」自体は、お互いの特徴から類推されている模様です。
ちなみに、このような画面をいじってAI補正画像を生成しています。
いろいろと試行錯誤する中で、
- 顔の修正が得意なAIと風景が得意なAIがある
- シャープネス(輪郭の強調)とノイズ軽減の強度は臨機応変に変える
- 画像を大きくしてから鮮明化を行うといい
などなど、画像補正AIの使い方のコツをトライアンドエラーでつかみつつ、せっせと高画質化していきました。
この文明の利器で、もうこの世にはなくなった思い出たちが復活します。
飛行船やつるかめランドの写真も高画質化
たとえば、日本の空にはかつて飛行船が飛んでいました。しかし徐々に減り、メットライフ生命のスヌーピーJ号が2016年末に運航を終了。2022年に新スーパードライ号が3~5月にかけて登場したのを除き、日本で飛行船が見られない状況は続いています。
その飛行船を、僕が2009年に撮影していました。この低画質写真です。
飛行船を拡大させても、「何だかわからないが筒状のもの」としか言いようがありません。「もっとマシに撮れよ」との苦情は受け付けておりませんが、とにかく画質をよくしようと、有料AI画質補正サービスのVance AIを通したものがこちら。
何が描いてあったかまではわかりませんが、飛行船の形状がハッキリと補正されていて、一目で「飛行船だ」とわかります。すごいぞAI。
さらには、かつては関東一円に100店舗以上あったスーパーマーケット、つるかめランド。ユーモラスな「つるかめ音頭」でおなじみでしたが、親会社・テスコの日本撤退により、2016年で全店閉店したとされます。
さて2009年に撮影した低画質写真が、 Vance AIでどうなる?
モヤッとしていた画像がハッキリとしてサイズもアップし、ロゴの鶴と亀もくっきりしました。
22年前のカメラで撮った写真も画質アップ
さらに、実家をいろいろ探すと、ケータイカメラ以外からも思い出の低画質写真が見つかりました。2001年発売のQV-2100(カシオ)など、コンパクトデジタルカメラで写した写真たちです。
なおQV-2100は200万画素CCDに加え、オートフォーカスができないパンフォーカスカメラ。平たく言うと「写ルンです」と同じです。
さらに「少しでも枚数を撮りたい」と、だいたい最低画質モードで使用していたのに加え、筆者の腕前も最低だったので、まともな写真が撮れていません。
ですが、そんな画像を復活させるのがこの記事の務めです。
たとえば、かつて全国各地にあった「そごうの回転レストラン」。“レストランがくるくる回る”という、よく考えてみれば謎の仕様に子どもたちは憧れました。筆者も何度か行って、夢中になったのを覚えています。
しかし現在、稼働しているものは一つもありません。筆者は2009年に柏そごう(2016年閉店)の様子を撮影したのですが、手ぶれもあって画質が悪いです。
そこでPower Directorの「手ぶれ補正」とVance AIの鮮明化を強めに効かせてみたら、こうなりました。
ボヤッとしていたフォルムがハッキリするほどに、ぶれを低減。美しい思い出が補完されたような気持ちになれました。
続いては2004年に上野の不忍池で撮影した「ソフィテル東京」です。階段が連なったような奇怪なデザインで、当時大学生だった筆者は見た瞬間に心を奪われました。
江戸東京博物館などを建築した菊竹清訓氏が手がけており、高さ100m以上のビルでは日本で初めて解体されたとも言われます。
しかし画像が粗く、その魅力が伝わりきれません。Vance AIで一生懸命画質を改善した結果がこちら。
無念、僕の腕ではあまり画質を高められませんでした。どうやらこれ以上「鮮明化」を進めると、建物のまわりにノイズが大発生してしまうようです。AIによる画質アップに、向き不向きの画像があると学びました。
次に発掘できた画像は「ニチレイ ホット自販機」の料理です。ニチレイ自販機は高速道路のパーキングエリアやビジネスホテルなどにあり、レンジアップされた冷凍食品が食べられて人気でしたが、2021年9月末で販売終了に。
これは2009年に撮影したものですが、末期には販売されなかった「炒飯」が収められていました。
箱の画質も悪いですが、中身はもっと悪く、全体的にとてもボンヤリ見えています。
Vance AIで強めにシャープネスとノイズ軽減をかけたら、こうなりました。
どうでしょう? 質感はやや硬くなりましたが、ごはんの輪郭がくっきりと見えてきました。
たった約1万4000画素!? ゲームボーイカメラ
携帯端末の黎明期のカメラといえば、極めつけ。1998年に発売され、ゲームボーイにセットして使えた「ポケットカメラ」の登場です。
撮影した画像はゲームボーイの画面に表示される形で、30枚まで画像を保存可能。ただしモノクロ写真のみで、さらに画素数はわずか14,336画素(112×128)でした。
撮影された画像が2枚だけ手に入りましたので、時代に葬られた画像たちをAIで呼び起こしましょう。まず1枚目は車の写真です。
極めて小さな画像サイズと、解像感の低さが際立ちます。まるでドット絵のよう。この高画質化は最新AIでも絶望的な気がしましたが、ともあれやってみたら……
けっこういい具合に引き伸ばせたのではないでしょうか。色はあまり付かなかったものの、車の形をここまで自然に拡大するのはすばらしい。
さらに、顔写真も手に入れました。
Vance AIで「AI写真修復と着色」を行ったあと、顔写真に強いgfpganにかけた結果、こうなりました。
おお……! 恐るべき完成度です。元々の顔と比べてもそう違和感はないですし、肌から髪までよく再現されており、現代のAI生成技術のすごさを思い知らされました。
ただし、画像修正AIはときに勝手に顔を生成したり、日本語を復元しきれずに妙な謎文字を生み出したりと、まだまだ課題が見受けられます。顔に特化したAIは欧米人基準なせいか、「勝手にハッキリとした二重まぶたにする」傾向が強い模様。
が、多くのケースで画質アップをねらえるサービスであることは確かです。
もし古くて画質の悪い写真を持っている方は、AIで一発逆転をねらうのもアリかも。古びた写真を引っ張りだし、「好きだったあのコの顔」の画質アップでもねらってみてはいかがでしょうか。
編集:ノオト
【2023年4月18日 1910: 追記】
記事の一部に誤りがあったので修正しました。
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AIの進化はとどまることを知らずそのうち自我を持ってしまう…なんてまるで映画のようなことになりませんよね?😱
>> 大牟田市まつお さん
ありがとうございます✨🙇✨^ ^
≡(=^・^=)≡
今考えるとこんな画質で喜んでた高校時代。。笑
と言ってしまったら身も蓋もないなw
ふんわりと意図的に撮ったものはその時の気持ちが重要かなあ。
はばたいて頂き、拡大を願いたい一人です。
ペンタックス、ニコン、セイコーなど、
本当に生きている水晶のように映ります。
黄砂の日に撮影した最近の画像だと言い張ったら信じてもらえるかも..って思っちゃいました。
面白いレポートをありがとうございました♪
1枚も残ってません😭
デジカメ準備して写真撮ってましたねぇ。
緊急入院した病院の屋上の夜景が絶景でしたけど…💦
あれは面会時間の関係で、お見舞いでは撮れません。
ガラケー探そっと
これからが楽しみであり、使い方によって心配ですね。
へ〜
と感心するばかりです。
AIなんですね~。
めちゃワロタ
いろんな可能性を感じます。
デジタル写真加工もAiで進歩して行くんですよね〜
高校の時使ってたノキアとかの写真にやってみたいです。
出来上がりがどうなるかは?だけど
試してみたい写真があります📸
いや〜凄いですね( *¯ ꒳¯*)
AIなので学習機能もある(修正かけた回数が多くなればなるほどより修正レベルが上がる)のでしょうか?
>>僕の笑顔への賛否両論はともかく
ここにクスリときました。この一文のユーモアには賛成ですꉂ(´ᗜ`*)ヶラヶラ
品質はこれからでしょうが、出来るようになるとは…
凄いですね😲
SONYの国際的写真コンテストWorld Photography Awardで AI でつくった写真が最優秀賞を受賞してしまった(作成者が表明するまで誰も見抜けなった)というのを知って驚いていたところでした。
https://news.nicovideo.jp/watch/nw12437786
その流れで、アメリカの老舗SF誌が公募を中止することになって再開の目途が立っていない。って話も見ました。
https://www.gizmodo.jp/2023/02/ai-chatgpt-sci-fi-clarkesworld-magazine-fiction.html
個人が便利に使える範囲は歓迎ですが、それを超えつつありどうなって行くんでしょうね。