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「アイデア出しアプリ」を使えば面白いアイデアは浮かぶのか? 検証してみた

「アイデア出しアプリ」を使えば面白いアイデアは浮かぶのか? 検証してみた

村中貴士
ライター: 村中貴士
大阪府出身。日々エッジの効いたネタを探し続けるフリーライター。得意ジャンルはサブカル、テレビ、音楽、現代アートなど。デイリーポータルZ 新人賞2017で佳作。自称・無料イベントマニア。

新商品や新しいサービスなど、発想力を求められる機会は少なくありません。「何か良いアイデアがないかな?と日々考えているけど、なかなか出てこない……」と苦労している人も多いのではないでしょうか。

友人と会ったり雑談したりすると、ふと面白いアイデアが浮かぶこともあります。しかしコロナ禍以降は気軽に人と会うこともできない状況に。一人で悩んでいても行き詰まってしまいます。そこで、良いアイデアが浮かばないときに助けてくれる「アイデア出しアプリ」を試してみました。

「自力で考えたアイデア」と「アプリを使ったアイデア」で対決

ただアプリを紹介するだけでは面白くないので、アイデアを「対決」させてみましょう。

ルールと流れ

  1. 編集部から「お題」を受け取る
  2. お題に対して筆者が自力でアイデアを出す
  3. 同じお題で、アプリを活用して良いアイデアを絞り出せるか検証
  4. 有識者に、「A案:自力で考えたアイデア」「B案:アプリを使って考えたアイデア」を見せ、どちらが良いアイデアかジャッジしてもらう
  5. お題とアプリを変え、3回繰り返す

審査員紹介

自力で使った思考をアプリ使用時にも活用できてしまうので、厳密にはフェアな対決とはいえないかもしれません。また、アプリを使って絞り出せるのはいいとしても、それが良いアイデアとは限らないでしょう。

そこで、有識者に「自力アイデア」「アプリ使用アイデア」の2つを見てもらい、どちらが良いかジャッジしてもらうことにしました。

コンテンツメーカー・ノオト代表の宮脇 淳さん

宮脇さんは編集者として20年のキャリアを持ち、現在も企業メディアの制作・プロデュースやコワーキングスペースの運営など、幅広い領域で活動中。実は筆者は、宮脇さんが講師を務める「編集・ライター養成講座」に生徒として通っていました。僕にとっては師匠のような存在です。

編集プロダクションの代表として数々の新企画を見てきた宮脇さんには、どちらが「自力アイデア」で、どちらが「アプリ使用アイデア」なのかを伏せた状態で、公平にジャッジしていただきます。

1回戦のお題「スマホと接続したら便利になる&楽しいガジェット」

1つ目のお題は「スマホと接続したら便利になる&楽しいガジェット」です。まずは自力であれこれ考えてみました。

悩む筆者

うーん、難しい。いま大抵のことはアプリで出来てしまいますからね。

スマホによって、誰でも簡単に文章や音声・動画を伝えられるようになりました。五感でいえば、視覚や聴覚の領域については概ねカバーしていると言えます。残る感覚のうち、「におい」はまだ未開発の領域かも、と思いつきました。そこで考えたのが、「におい転送ガジェット」です。

スマホと「においセンサー付きガジェット」を接続して対象物に近づけると、においを感知し、数値化されます。同じガジェットを接続すれば、数値化されたデータをもとに、においを再現。遠く離れた相手であっても、においを伝えられます。つまり「においを感知する機能」と「においを発する機能」の2つを兼ね備えたガジェットです。

良いにおいだけでなく悪臭、異臭なども伝えられるため、「隣の部屋から異臭がする」「近所の○○あたりで悪臭がする」といったトラブルを伝えられるメリットもあります。

と、ここまでは自力で出したアイデア。次は同じお題に対して、アプリを使って考えてみます。

使用するアプリは「閃け!ひらめくん」。キーワードが書かれたカードを入れ替えていき、アイデアをひねり出すアプリです。

閃け!ひらめくん
iOS版ダウンロードページ
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アプリを開くと、「新商品」「22世紀の道具」「ネットサービス」などのジャンルが表示されます。ジャンルを選ぶと、2枚のカードが出現。そのカードを入れ替え、組み合わせを変化させることで、アイデア発想を補助してくれるわけです。

「出張用の」×「三角定規」、「依存症が和らぐ」×「風船」など、意外なワードの組み合わせによってアイデアが生まれやすくなる

カードの言葉は、自分で入力することもできます。今回のお題は「スマホと接続したら便利になる&楽しいガジェット」なので、ジャンル「新商品」を選び、下のカードを「スマホ」に固定。上のカードを入れ替えていきました。

カードを入れ替える中で出てきたのが、「筋トレができる」×「スマホ」。筋トレした時間や運動量を記録するアプリは既にあります。ただ、入力が面倒ですよね。そこで、スマホと接続して自動的に運動を記録してくれる「筋トレ計測ガジェット」があると便利かな、と考えました。

ダンベルやマットなど筋トレに使う器具とスマホを接続して、連動させるようなイメージです。手入力ではなく、自動的に計測してくれるのがポイント。

さて、「A案:におい転送ガジェット」と「B案:筋トレ計測ガジェット」、どちらが良いアイデアでしょうか。宮脇さんの判定は?

宮脇
A案が良いと思います。飲食店の取材で、写真+においを採集できそう。ワインの香りを感知して数値化できるなら、ソムリエ試験にも応用できそうです。B案はすでに腹筋や腕立て伏せのアプリがあるので、目新しさではA案より劣るなと感じました」

1回戦目は、A案の自力アイデアの勝利!

2回戦のお題「新しいスマホゲーム」

2つ目のお題は、「新しいスマホゲーム」です。

まずは自力アイデアから。ポケモンGOのように外で遊べるゲームがいいな、と思いながらあれこれ考えてみました。浮かんできたのが、街中にある建物の高さを当てる「街なか計測クイズ」ゲーム。高さ以外にも、モノの長さや角度、温度などを計測し算出します。それを自動的に4択クイズにしてくれて、誰でも簡単に遊べます。YouTuberが使ってくれるかも?

では次に、アプリを使ってアイデアを考えてみます。使用したアプリは「SimpleMind - マインドマッピング」。マインドマップ系のアプリは複数あったのですが、直感的に使えそうなものを選びました。

マインドマップアプリ「SimpleMind - マインドマッピング」の選択画面。ソフトカラー、白黒など17種類のスタイルから選べる。

SimpleMind - マインドマッピング
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マインドマップとは、思考や情報の流れを枝葉のように分岐させる形で描写した図のこと。自分の考えを整理したり、新しいアイデアを生み出したりする際に使います。紙やノートにマインドマップを書いたことがある人もいるのではないでしょうか。しかし手書きだと、書き直したり位置を変えたりするのが面倒です。その点、アプリなら簡単に修正、編集ができます。

まずはお題(トピック)を中央に配置。横に表示される「+」ボタンを押すと、新しい枝が出てきます。そこに関連するワードを書き、つないでいきます。今回はお題がスマホゲームなので、中央に「新しいスマホゲーム」と入力。その後「ゲームの種類」「目的」「シチュエーション」など分岐させていきました。各ワードの位置は指で簡単に移動できます。

出てきたキーワードの中で引っかかったのが、「スマホの機能」から連想した「音声」「話す」。従来の音ゲーは、音楽に合わせてプレイヤーがボタンを押したり操作したりして遊びます。それを指ではなく「声だけで操作して遊ぶ音ゲー」にすると面白いのでは?と考えました。

このゲームは、画面をタップするのではなく、声を出して進めていきます。声で操作ができれば、視覚障害者も指が不自由な人も楽しく遊べるのではないかと考えました。

「A案:街なか計測クイズゲーム」VS「B案:声だけで遊ぶ音ゲー」、どちらが良いアイデアだと思いますか?

宮脇
「タップなどの操作ではなく、音だけで遊べるB案のゲームは良いですね。たとえば、戦国シミュレーションゲームで号令をかけながら出陣するとか、潜水艦の艦長が声で命令して攻撃するといったバトルゲームへ展開できそうです。A案は、建物の高さや温度を測って面白いクイズになるのか?と考えるとイマイチかな、と。友だちを撮影して洋服から戦闘力をはじき出し、カードバトルとして遊ぶようなゲームなら面白いかもしれません」

2回戦目は、B案のアプリ使用アイデアの勝利!

3回戦のお題「オンライン会議システムにあれば便利な機能」

コロナ禍以降、ZoomやGoogle meet、Microsoft Teamsなど、オンライン会議ツールを使うことが当たり前になりました。しかし、実際に会って話すのと比べると、物足りなさや意思疎通のしづらさを感じてしまいます。そこで3つ目のお題は「オンライン会議システムにあれば便利な機能」です。

まず自力で考えたアイデアは、「AIカメラ+3Dプロジェクション」機能。カメラに写したものを立体データ化し、相手に転送して映像をプロジェクターで映し出します。いま目の前にあるものを3Dスキャンし、相手方ではホログラムとして映し出すようなイメージです。

次にアプリを使ってアイデア出しをしてみました。使用したアプリは「Grid ToDo - 目標達成シート」。マンダラート、曼荼羅(まんだら)シートなどの名前でも呼ばれている発想ツールです。

Grid ToDo Lite - 目標達成シート
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マンダラのようなマス目にキーワードを書き込み、アイデアを整理したり拡大したりしていきます。マインドマップに近いですが、あらかじめ埋めるマスが決められているのがポイントです。

まず、マス目の中心に今回のお題を書き込みます。課題っぽく「オンライン会議システムをもっと便利にするには?」としました。

続いて周囲の8マスに、「会話をスムーズに」「イヤホン・マイクの性能」など、課題に関連するワードを記入していきます。

すべて埋めたら、8マスのワードが自動的に外側へコピーされます。続いて外側のマスをタップし、先ほどと同様の作業を繰り返します。

外側のマスを考えるときは、元のお題「オンライン会議システムをもっと便利にするには?」に引っ張られ過ぎないほうがいいかもしれません。例えば「会話をスムーズに」の場合、「そもそもスムーズな会話って、どういうものだろう?」と考えると、関連するワードが浮かび上がってきます。

重複を除いても73マスあるので、全部を埋めるのは難しいかもしれません。「○○といえば××」のように、連想ゲームの要領で無理やりにでもマスを埋めていくのがポイントです。

マスを埋めていくと、「複数人の会話」→「ファシリテーション」というキーワードが出てきました。会議って、ファシリテーターが重要だったりしますよね。そこで、「AIによるファシリテーション機能」を思いつきました。

AIが会議の流れや発言を感知し、会議を円滑に進めてくれる機能です。あまり発言していない人に「○○さんはどう思いますか?」と話を振ったり、議論が行き詰まったときに「少し見方を変えてみましょう」と促したりして、AIが会議の流れをサポート/アシストします。

さて、A案とB案、どちらが良いでしょうか?

宮脇
「オンライン会議の質は司会進行に依存するので、優秀なAIが担ってくれるB案の機能はとても便利ですね。決まった時間内で会議が終了できそう。議事録までアウトプットしてくれるなら最高です。A案も、物件の間取り図や新商品サンプルの立体化など、便利な機能だとは思いました。ただB案と比べると平凡というか、既存のVRゴーグルである程度カバーできそうな気もします」

アプリが新しい発想を引き出してくれるかも

「自力アイデア」VS「アプリ使用アイデア」対決、結果はアプリを使ったアイデアが2勝1敗となりました。

実際にアプリを使ってみて感じたのは、「良いアイデアが浮かぶとは限らないが、ヒントは必ず出てくる」ということ。やはり、自分の頭の中だけで新しいアイデアを考えるのは限界があります。アプリを使えば意外なワードが浮かんでくるので、新しい発想につながる可能性が広がるでしょう。

今回使用した3つのアプリは、下記の人におすすめです。

  • アイデアを出すのが苦手で、具体的な補助線が欲しい人……「閃け!ひらめくん」
  • マインドマップの書き方を知っている人……「SimpleMind - マインドマッピング」
  • 新しいフレームワークを試してみたい人……「Grid ToDo Lite - 目標達成シート」

アイデア出しに困っている人は試してみてください。

編集:ノオト


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158 件のコメント
59 - 108 / 158
やることを書く事は大事ですね、ですね
とっても面白い企画で、楽しく読ませていただきました!
アイデアは、掛け合わせの数があればあるほど、閃きの確率が高くなると思います!
そういった意味では、曼荼羅シートを作成するというのは、効果的だなぁーと感心しました!

ニオイ転送、面白くていいですねー🥰
参考になりました。
新しいアイデアを考えるなんて、私に無理です・・・
私が一から考えるより、こんなアプリがあると参考になるので、便利ですね。
アイデアってなかなか浮かばないから参考になります
AIファシリテータが一度も発言していない参加者に発言を促す
→どうせ内容までは理解できないだろうと適当な発言をする
→「もう少し中身のある発言をお願いします」と言われ凹む
というところまで読めた。
興味がない分野です。そんなことできるのか~くらいにおもいました。すみません
アプリをどう使うかなんでしょうね
アイデアがなかなか思い浮かばない時は、使ってみたい気がしますね。
しかし、こんなアプリがあるとは、びっくりです。
情報ありがとうございました。
ゼロからアイデアを出すことが苦手で参考になります
美術の課題などは、具現化するのを諦めた友人のアイデアをもらい(本人の了承を得ます)、乗り切ってきました
だいたい、パクります…
たまたま、ゼロからアイデアを思いついたときに、たまたま、観ていたネイチャー系の番組で、思いついたことを既にイギリスの方が実現されていて、30分ほど挫折しました…
おもしろいですね❗️
こういうアプリを知ってる人と知らない人では何かが変わる気がする。マイネオ使ってなければこういうアプリの存在も知らずに生きていたんだろうな。
このアイディア出し参考になります!
匂い転送ガジット是非試してみたいです。
たのしみ!おもしろそう!
面白いですね。
ありがとうございました。
おもしろかったです!
面白いですね。
ありがとうございました。
面白いですね。
ありがとうございました。
アイデアマン出しアプリがあるなんて知らなかったです!!面白い!!
こんなアプリあるんですね。
会社で使えるかもしれないな〜。
面白い企画ですね!
判定を人間のプロの方とAIでやったらまた新しい発想が生まれそう♪
なるほど。
ありがとう御座いました。

  ``/ ̄ ̄ ̄ ̄\・・・・
 ../  _   _ ヽ
 /    ー   ー  |
 |    (_人_)  |
/    ∩ノ⊃ ノ
|    \_ノ )_ノ´  ゝ
\    /___ノ |
  \__/______ノ
まんだらシートは大谷選手も学生時代に使ってましたね〜
へぇ~こういうアプリがあるんですね。
声で遊ぶ音ゲーはすごく楽しそうです!
このようなアプリがあるのは初めて知りました!
アイデア出し作業の負担が減りそうです
手法自体は従来からありそうなので、
時間の節約
こういうアプリあること、初めて知りました。 早速試してみますね。
アイデアは、突然思いつきますよね。
おもしろいですねー
初めて知ったのですが、面白そうですね。
アイディア出しにしろ、ToDoリストにしろ、結局シンプルにテキストエディタで十分と思っていましたが、アウトライナーアプリを使ってみたら、あまりの便利さに課金してもいいとまで思うようになりました。Dynalistさまさまです。
新しいかや事を始めるのは
本当に大変ですよね
考えるヒントに使えそうですね!
うちの会社にもaiファシリテーター欲しい。(笑)
会議長い
情報ありがとうございました。
アイデア出すのって難しいですよね
やってみようと思います!
アプリを試してみようと思います。
アプリの存在すら知りませんでした
こう言った使い方もあるのが知れました
なかなかでませんよね。。。
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