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読み上げ機能やオーディオブックで“がんばらない読書生活” 書評家が勧めるアプリ6選

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人と会わずに家で過ごす時間が増え、「本でも読もうかな」と思うものの、「読みたい本がない」「集中力が続かない」と挫折したことはないでしょうか。まとまった時間が取れなかったり、いつか読もうと積んだままの本=「積読(つんどく)」が増えて結局読まずにいたり……。

もっと自分に合った方法で、がんばらずに読書を楽しみたい! 今回は、『積読こそが完全な読書術である』の著者である永田希さんに、自分に合った「読み方」が見つかりそうなアプリを紹介・レビューしてもらいました。スマホやアプリを介した読書との付き合い方を探ってみましょう。

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書評家の永田希です。仕事柄、たくさん本を読んでいることを期待されるので、日々その重圧と闘っております。そんななかで「積読」を肯定する書名の本を出すのには勇気が要りましたが、拙著の話は今回の本題ではありません。

いわゆるコロナ禍が問題になるよりも前から、世の中では積読とどう付き合うかが問われていました。問われていたというか「積読しちゃうこと」に悩んでる人がたくさんいました、というほうが妥当でしょう。そして、コロナ禍で在宅時間が増え、いよいよその悩みを口にする人が増えているように感じます。

悩むこと自体は悪いことではありません。どんどん悩んでいいと思います。でも、本との付き合い方はもっと自由でいいのではないでしょうか。肩の力を抜いて本と付き合えるようになる(かもしれない)アプリをご紹介します。

本は読まなくてもいい、スマホに「読み上げてもらう」

「本を読めない」と感じるタイミングにはいろいろありますが、「時間がない」ことが本を読めなくしているのではないかと考えています。あるいは、本を読んでいると時間を忘れてしまい、睡眠時間が削られてしまったり、消化するべき用事にかける時間がなくなったりしてしまうことが気になって本を読めない、という場合もあるでしょう。

これは「時間がない」というより「気持ちに余裕がない」のかもしれません。僕も本ばかり読んで霞を食べて生きているわけではないので、どちらの理由もわかる気がします。要するに「気が急いてしまう」のです。

この「気が急いてしまう」問題を解決する、とまでは言わないものの、そこそこ効果があって友人に勧めているのが電子書籍サービス「Kindle」の活用です。紙の本に魅力を感じ、Kindleアプリで本を読むことに抵抗がある人の気持ちもわかります。しかし、Kindleアプリならではの活用法、いやスマホならではの活用法としておすすめしているのは、「読み上げ」機能です。

読み上げ機能は「設定>アクセシビリティ>画面の読み上げ」で設定できる

正確には、KindleアプリではなくiOSの機能として、視覚障害者向けに「画面の読み上げ」というものがあります。この機能を使うことで、寝起きや食事中、家事の最中、移動時間などを「読書」にあてられるのです。

機械的な読み上げなので、ところどころ漢字の読み間違えや抑揚が不自然なところもあり、違和感があることは否めないのですが、これまで他のことをしていた時間を読書にあてられるのは非常に助かります。読みたい本を読む時間がなくて、読めないまま積み重なっていくうしろめたさが、他のことをしている時間に軽減されるわけです。

読み上げの速さは「0.5倍」「1.5倍」「2倍」に変更可。スマホの画面上に文字として表示されていれば読み上げてくれるので、Kindle以外にも、ブラウザアプリでブログやニュース、論文のPDFなども読むことができます。

もっとも、この機能にはユーザーの向き不向きがあるらしく、全く頭に入ってこない、という意見もよく聞きます。試してみて合わなければ残念ですが、適性がある人にとっては知らないともったいない機能です。

Kindle
iOS:https://apps.apple.com/jp/app/id302584613
Android:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.amazon.kindle

もっと「良い声」で読書するなら「オーディオブック」

iOSの読み上げの機械的な音声が気になるという方には、プロのナレーターや声優が本を読み上げてくれるアプリ「オーディオブック」がおすすめです。

一語一語をきちんとナレーターが読んでくれるので、読み間違いはほぼありません。また抑揚もつけてくれるので、紙の本を読む習慣のない人やラジオドラマ的に楽しみたい人には、iOSの読み上げよりもオーディオブックのほうが合うかもしれません。演劇やテレビドラマなどのように、当たり役やお気に入りのナレーターを見つけられれば、作品の魅力をよりいっそう味わえるようになるでしょう。

なお、「紙の本より『読み上げ』のほうが速く読めるか」と質問されることがあるのですが、1冊1冊を「速く読む」なら紙の本のほうが圧倒的に速いです。スマホでは、内容を表示するのにどうしても時間がかかりますが、紙の本の場合は数百ページ分が既に手元にあり、いわばダウンロードされた状態。読みたいページを開けば、内容を瞬時に「表示」できます。

電子書籍と紙の本とを単純に比較して、どちらが優れているかを議論することは、あまり生産的ではありません。それぞれの長所を見極めてうまく付き合うことが肝要でしょう。


オーディブック
iOS:https://apps.apple.com/jp/app/id379693831
Android:https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.audiobook.app

読書版「ポケモンGO」? 「taknal」のすれ違い通信で本を探す

「読みたい本がない」人は、どうやって本の情報をキャッチするのでしょうか。テレビやSNSでよく見かける新刊や話題書が、必ずしも自分にとって面白い本とは限りませんよね。

この記事を書くにあたって、編集のMさんに勧められたアプリが「taknal(タクナル)」です。「今じわじわ流行ってきている」ということで、僕もさっそく使ってみました。

taknalは、アプリユーザー同士ですれ違うと、お互いのおすすめ本が通知されるサービス。都心に用事があって出かけたりすると、どんどん出会います、本と。

僕が「おすすめした本」に設定したのは、アルゼンチンの作家ホルヘ・ルイス・ボルヘスの『伝奇集』。選んだ本には、100字以内の感想を添えることができます。

そんな僕と、たとえば綿谷りさ『かわいそうだね。』を「おすすめした本」に設定している人とがすれ違うと、互いのタイムラインに「今日出会った本」として表示されます。

「出会った本」のなかで、気になった本はハートマークをタップすることで「読みたい」本として保存することができます。

この日は、1日で120冊以上の本を勧められました。いろんな人とすれ違っていると、世の中でどんな本が流行っているのかが見えてくるような気がしてきます。ここ数日だけ試してみた印象としては江國香織作品と、第2作目にして芥川賞を受賞した宇佐美りん『推し、燃ゆ』が多く読まれているみたいです。

僕が「出会った本」のなかから「読みたい本」に選んだのは以下の通り。以前に読んだことのある本も多数含まれていますが、これを機会に読み直してみるのもいいかなあと思いました。

外出自粛で書店に行く機会が減ってしまったり、もともと書店に通う習慣がなかったりすると、知らない本と出会う機会はなかなかありませんが、このアプリがあれば、少しはその代わりになります。「どの街でどんな本に出会えるか」が見えてきて、意外なほど楽しいので、ぜひお試しあれ。


taknal
iOS:https://apps.apple.com/jp/app/id1504408297
Android:https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.taknal.app

いつか読んでみたかった古典作品は、青空文庫+「Voicepaper」で

人類は、これまでたくさんの書物を生み出してきました。「本を読む」ことは、古来の賢人たち、あるいは言葉のエンターテイナーたちが紡いできた言葉の海に漕ぎ出すようなもの。そういった言葉の海には、無数の名著が「古典」として組み込まれています。

新刊を中心にそろえる多くの書店では、後継に退いてしまってなかなか触れ合うことのできない古典の数々。そんな古典へのアクセスを提供してくれるのが、オンライン図書館として運営されている「青空文庫」です。

Safariなどのブラウザでも容易に開ける青空文庫ですが、スマホだとかなり読みにくい。そのため、青空文庫内の作品を読むためのアプリがいくつか公開されています。今回取り上げたいのは「Voicepaper(ボイスペーパー)」というアプリ。

このアプリのメイン機能は、DropboxやGoogle drive、Evernoteなどのファイルの音声読み上げです。しかし、アプリ画面右下にあるダウンロードアイコンをタップすると「青空文庫」の選択肢があります。これをタップすると、作家名などで検索をかけることができます。

より細かく検索するなら青空文庫のサイトが便利なのですが、サクッと読みたい作品を探して読むだけならば「ボイスペーパー」のほうが簡単なのです。これで「いつか読もう」と思っていた古典を「消化」するのも悪くないでしょう。

5分から1時間で読み上げを自動停止する機能もついているので、毎朝5分だけずつ古典を読んでいく、というような習慣を生活に取り入れることもできます。

Voicepaper
iOS:https://apps.apple.com/jp/appid1273954643

本を読む前に「flier」で要約を読んでみる

世の中には日々、大量の書物が新しく刊行されています。特にビジネス書はよく売れるので、刊行する版元も手を替え品を替え、さまざまな切り口で企画を立てます。渾身のキャッチコピーが本に巻かれ、帯に刷られ、読者としては目移りして困ってしまう事態に。

ビジネス書を読みたいけれど、どれを読んだらいいのかわからない人におすすめなのは、選りすぐりのビジネス書の要約を掲載しているサービス「flier」のアプリ。その道のスペシャリストが本を読み解き、ときには解説も交えた「要約」が、2000タイトル以上そろっています。

政治経済やファイナンス、時間管理などカテゴリ(キーワード)でも本を探せるし、Kindleのように読み上げにも対応。『夜と霧』や『82年生まれ、キム・ジヨン』など、話題になっているから気になっているけど本文をいきなり読むのは重そう…という小説作品も要約されています。

flier
iOS:https://apps.apple.com/jp/app/id1022261165
Android:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.flierinc.flier

おまけ:読書と「Clubhouse」の意外な相性

2021年1月末から、招待制の音声SNS「Clubhouse(クラブハウス)」が日本で大いに話題になりました。リアルタイムでおしゃべりするサービスは、ただでさえ時間の足りない僕たちからますます時間を削り取っていくサービスのようにも思えます。

しかし先日気がついたのですが、読んでいてなかなか頭に入ってこない難しい本を読むときに、Clubhouseを使って誰かの話し声を適当に聞き流していると、不思議と読み進められるのです。

読書をするときにその本が難しいと感じるのは、その本に書いてある内容に読者が親しんでおらず、何が書いてあるのかを理解することができないからです。そういうときに、一文一文をしっかりと読み解いていく向き合い方もあります。

しかし、そういう読み方をするのには時間もかかるし、何より労力が要ります。Clubhouseを聞き流しながら、本の内容をきちんと読み解かずに流し読みすることで、ひとまずそこに書かれている内容に慣れていく、という方法も悪くないかもしれません。

Clubhouse
iOS:https://apps.apple.com/jp/app/id1503133294

自分にあった「読み方」を探すのも読書の楽しみ

ここまで、音声読み上げを勧めつつ、読書にまつわるお悩み解決に役立つアプリを紹介してきました。スマホが登場する前から、読書のコツはさまざまに提唱されてきました。今回ご紹介したアプリは、新しいやり方で「本を読む」方法として提案するものです。

人間と書物の付き合いは長く、その人その人ごとの「読み方」があるはずです。自分らしい「読み方」を模索するのも読書の楽しみ方のひとつなので、その参考にしていただけたら幸いです。


永田希
ライター: 永田希
書評家。仕事のご依頼はお気軽に。『週刊金曜日』書評委員。『ダ・ヴィンチ』でブックウォッチャーの1人として毎号選書と書評を担当。『このマンガがすごい!』『図書新聞』『週刊読書人』などに執筆。時間銀行書店店主。



232 件のコメント
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まねう
ベテラン
知らなかった。
yukiiiiiii
マスター
頑張らない、っていうのに
惹かれて詠みにきました。
ハリケ~~~ン
マスター
まだまだ 知らない事がたくさんあった
明日の花
エース
試して見たいです。
猫の毛
猫の毛さん
エース
電子書籍はいつでもどこでも読めるので便利ですけど、やはり自分は紙の本を好みますね(^^)
hiroshi1114
ルーキー
これは楽ですね
Rythmn
Rythmnさん
レギュラー
"積読" こんな言葉があったんですね!
絶賛積読中!
pikorin-kun
ルーキー
本はやっぱり紙でなきゃ❗️
と、ずっと思ってましたが
ちょっと興味もちました。
一度試してみたいかも(*^^*)
斑駒
斑駒さん
エース
私はいささか集中力が足りないせいか、
読書というものは黙読か…できれば音読しないと頭にはいってこないのです。それさえ、最近では読書の機会がなかなか取れずに、良書を見つけては…本棚に「積ん読」
或いは、
ダウンロードしたままで「データの地層化」が続いています(笑)
ご紹介の読み上げ機能を使ってなら…さしずめ、『聞書』或いは『聴書』の「ききどく」とでも言えそうですね。
自動車でのラジオや音楽の代わりや、家事をしながらの「ながら作業」には重宝しそうです😃

新しい機能のご紹介をいただけて、
ありがとうございます👋😆🎶✨

…ただ…懸念として…
何もせずに、じっと『聴書』していると…眠くなりそうです😅
tkostm
tkostmさん
レギュラー
他の事をしながら聞けるし、好きな声優さんの音読はぜひ試してみたいです
nobukun
nobukunさん
レギュラー
よく寝る前に、本を読んでいてそのまま寝てしまう事がよく有りますが、スマホが読んでくれると本を持たなくて良いので腕もダルくならないし、目も疲れないので、近眼?の予防にも成ります。又子守唄代わりになりよく寝れそうです。
おぎー(o^^o)
ルーキー
良い情報をありがとうございます!
さわら
さわらさん
ルーキー
試してみます!
いたりあーの
マスター
この機会にスマホで本を読んでみよう。
便利ですね
Toshi874
Toshi874さん
レギュラー
kindleの朗読機能初めて知りました。
参考にします
やよぴー
ビギナー
んー…
2525koko
2525kokoさん
ビギナー
本よく読みます
しーちゃん112
レギュラー
本読むのは好きです。読み上げ機能気になりますね。声優さんだとラジオドラマのような感じでおもしろそうですね。
さまつみ
ルーキー
これはべんり
junbooo
junboooさん
ルーキー
気になっていたので、試してみようと思います。
くまちょん0714
ルーキー
がんばらないくん
hahi18
hahi18さん
ルーキー
これは未来の形になりそう。是非体験してみたい。
umide-00
umide-00さん
ビギナー
もっと調べてみます
くぅかい
レギュラー
倍速で聴けば、頭の回転良くなるかしら!?
ゆゆ12
ゆゆ12さん
ルーキー
今度試してみます。
no-dad
no-dadさん
レギュラー
本は自分で読むものだと思うけど、古いのかな
Mickey
Mickeyさん
エース
読む方がいいと思うけど
Aikochan
Aikochanさん
ルーキー
読まないですね
ygnozomikko
レギュラー
便利な機能がいろいろ出てきますね。
haru7476
haru7476さん
ビギナー
参考になります
haru5739
haru5739さん
ビギナー
もっと勉強します
もけやま
ルーキー
すれ違いにおすすめ本が教えてもらえるアプリ使ってみたいです!
haru3589
haru3589さん
ビギナー
いろいろあって感心します
chupachups3
エース
ナイス
@@@_
@@@_さん
ルーキー
参考になります
yoosuke
yoosukeさん
ビギナー
ラジオ感覚で読書できるのはいいな
mikecat
mikecatさん
マスター
難解な本でなければ、寝る前の楽しみになりそうですね。
ともね
ベテラン
紙の本派、アナログ好きです。
これをまとめられた方、すごい😲❗
感心いたします😌🌸
真里亞
真里亞さん
Gマスター
なんか右から左へ抜けていきそうな気がします^^;
uchidamaru
エース
視覚障害者ですボイスオーバーを使って良く読んでますがあれがいいですよseeingai
東京のダイスケ
エース
ナイス記事!
ぺーちゃん155
ビギナー
面白い機能だと思います!
サチコだよ
ルーキー
いいと思う!
tom1668
tom1668さん
ビギナー
参考になります
とある学生
ルーキー
新生活が始まり、通勤時間を何か有益なことに充てたいなと思っていました!これはいいですね!
herz
herzさん
ルーキー
紙の本の方が好みだけど、部屋の本棚がいっぱいになるのが困る。電子書籍ならスペースをとらないから、そこが魅力的かな。
隣のととろ
ルーキー
どんどん便利になってく
もこまる◎
レギュラー
kindleアプリの読み上げ機能知りませんでした!やっぱり読書は現物を読むのが一番ですが、デジタルブックやオーディオブックを状況に合わせて使っていきたいですね!
tom3035
tom3035さん
ベテラン
へぇ~~?これも読書っていうんですかね?(^^;
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