「ガラケーケース」を作ったら、ガラケーにケースが少ない理由がちょっとだけわかった
フリーランスのウェブデザイナー、ライター、工作家。縄文時代が好き。粘土で作品を作ったり小物を作って売ったりしている。近頃は3Dプリンターを勉強中。落語もしゃべれる。
みなさんは、スマートフォンにケースをつけていますか。
スマートフォンにケースをつけるのは、今や珍しいことではありません。本体の保護だけではなく、カラフルなケースをつけることでスマホに個性を出すこともできますよね。私もうっかり落として傷つけてしまわないよう、iPhoneに透明な樹脂製のケースを着けています。
ここでみなさん、少し昔を思い出してみてください。スマートフォンが世の中に出てくる前はどうしていたでしょうか?
スマートフォンにはケースを、ではガラケーは?
私は、国内で最初にiPhoneが発売された当時からずっとスマートフォンを使っていますが、その前はいわゆる「ガラケー」、そのなかでも折りたたみ式の携帯電話を使っていました。
そんな「ガラケー」こと、ガラパゴス携帯(“フィーチャーフォン”という呼び方もあります)ですが、これにケースをつけていた方はいるでしょうか。
少なくとも私の知っている限りでは、見たことがありません。調べてみたところ、あるにはあるものの、ベルトにガラケーを固定するためのケースなど、現在の私たちが想像するケースとは若干趣向が異なるもののようでした。
しかし、なぜガラケーにはスマホ同様のケースをつけなかったのか。ガラケーにだって、オシャレで、個性的なケースがあったっていいじゃないか。
ということで、今回はガラケー用のケースを自作してみることにします。
「ガラパゴスケータイ」ケースを作ろう
スマートフォン用のケースを作るなら市販のものを加工すればいいのですが、ガラケー用のケースはほとんど出回っていないので、ガラケーに合わせて1から作らなければいけません。
ケースを作るガラケーは、自分で使っていたものはすでに処分してしまっていたため、編集部からお借りしました。それがこちらの折りたたみ式携帯電話。
担当編集さんいわく、「弊社社員が提供してくれた、持ち主の思いが詰まったガラケー」とのこと。長年愛用していたことは確かなようです。その思いに応えられるよう、これにぴったりなケースを作っていきましょう!
3Dプリンタと粘土でケースづくり
ケースは、造形のやりやすさや普段から使い慣れていることもあり、粘土を使おうと思います。しかし、ガラケーに直接粘土を付けると外せなくなる可能性が高いので、まずはガラケーに設置するための部品から作りましょう。
正確性とある程度の強度が要求されるパーツは、3Dプリンタで作るのが向いています。ガラケーの寸法をもとに、3Dモデリングソフトで作成してプリントアウト。何度か試してピッタリはまるパーツが作れました。
3Dプリンタで作ったパーツをプラスチックの板でつなげて、ケースの土台とします
その上で、粘土を盛っていくための芯として「スタイロフォーム」と呼ばれる硬めのスチロールの板を貼り付け、大まかな形を作っていきます。
大まかな形の上に中空樹脂の粘土を盛って芯とし、その上から石粉粘土を盛って形を作っていきます。中空樹脂の粘土は軽くて柔らかいものの、細かい造形は苦手。一方で石粉粘土は固まったあとに、やすりやカッターなどで削って細かい造形がしやすいので、私はこれで造形することが多いです。
形を整えたら、やすりで表面を整え、「モデリングペースト(樹脂のペースト)」と「ジェッソ(絵画用の下塗り材)」を使って表面にザラザラとした質感を付けていきます。こうすることで、全体の細かいキズや歪みをごまかしたり、絵の具が乗りやすくなったりもします。
塗装は主にドライブラシ(絵の具を筆につけたあと拭き取り、筆をこすりつけるように塗っていく手法)を使用しています。出っ張った部分にのみ絵の具の色が乗るので、凹凸部分に立体感が出ます。
完成しました。ガラパゴスゾウガメ型の携帯ケースです。
ガラケー、その名前の由来である「ガラパゴス諸島」。外界から隔離されているため、独自の生態系を持つこの地域になぞらえて、高度な技術で独自の進化を遂げた日本の携帯電話は「ガラパゴス携帯」と呼ばれるようになりました。
そんなガラケーのケースとしてふさわしいのはやはりガラパゴス諸島に住む生き物の代表、ガラパゴスゾウガメでしょう。
ガラパゴスゾウガメの体色は、個体差によるものか環境によるものか、検索してみても一定しないので色を決めるのに苦労しました。ちなみに、「ガラパゴス」の語源はスペイン語で「ゾウガメ」という意味の単語だそうです。
背面カメラはケースを装着したままで使用できます。
構造上、しっぽを作ると折りたたみ機能と干渉する上、カメラに映り込む可能性が高かったので、ケース自体にストラップホールを設けました。しっぽをストラップとして取り付ければバッチリです。ガラケーといえばストラップですからね。
背面液晶のことは忘れてください。
ちなみに、首の中にはちょっとしたお役立ち機能としてSDカードリーダー内蔵。胴体との接合部は3Dプリンタで作ったパーツを取り付けました。
この機構をつけたことで実物より首がだいぶ太くなってしまいましたが、それはデフォルメということで。
首を取り外せば電源のコネクター部分が見えるので、ケースをつけたまま充電も可能です。機能的!
実際の使用イメージはこんな感じでしょうか。
「ピリリリリリリ」
「おっ、電話かな?」
「はい、もしもし」
……ちょっと目立つかもしれませんが、足が意外と手のひらにフィットして安定感があるんですよ。
ガラケーの持ち主の反応は?
こちらのガラパゴスゾウガメ携帯ケース、ベースに使用したガラケーの持ち主に写真を送ったところ、以下のような感想をいただきました。
喜んでくれたようで、なによりです!
なお最初に写真を見た際の反応はこちらだそうです。
何も聞いていなければこれが携帯電話だとわかる人はそうそういないかもしれませんね。
ガラケーにケースが無かったのはなぜだろう
作ってみての感想ですが、ガラケーにケースが無かった理由が少し理解できた気がしました。
というのも、デザインがシンプルなスマートフォンに比べ、ガラケーは多機能さが特徴です。側面にもスイッチやらコネクターやらがたくさんついており、背面にはカメラとライトと液晶……と、ケースを付けたら役割を果たせなくなってしまいそうな部分がたくさんありました。今回はそれらの一部を無視することで完成させましたが。
あくまでも想像ですが、他にも液晶の素材の違いや、商品サイクルが早かったこと、カラーバリエーションがもともと多様だったことなどが、ガラケーにケースが無かった理由なのかもしれません。
一世を風靡したガラケーも、スマートフォンの登場によってその数を減らし、今や絶滅危惧種です。そう、まさにガラパゴスゾウガメが人間の移住によって数を減らしたように……。
もしガラケーを使っている人を見ても、時代遅れなどとは言わず、絶滅危惧種として保護するくらいのやさしい気持ちで接してみてはいかがでしょうか。
(編集:ノオト )
バッテリーが生きている限り、まだまだ現役です💛
首を取り外せば電源のコネクター部分が見え、ケースをつけたまま充電可能で、細部迄考えられてて機能的、ストラップの尻尾が可愛い😍
ガラケーといえばスケルトンにしたりアンテナ光らせたりカスタマイズが流行りましたね。
着メロの本なんかもで出てましたよね(懐)
そしてケースと言う概念の前にストラップが常識でしたよね。
色々思い出したら平成から令和になったんだなぁと、おっさんになっちゃったなぁとしみじみ感じてしまいました(笑)
ドコで買ったのかは覚えてませんが。。。
ドコモのP-02C。現役バリバリです。
携帯には向きませんが、このカメケースはインテリアとしてもいいですね
SoftBank 815T PBであれはケースというより(*´∀`*)
想像を遥かに超えていて吹き出した(笑)
外で取り出したら4度見くらいしそう😂