火事ですか？　救急ですか？

家の前で自転車に乗った老人が倒れた。
倒れた瞬間は見ていない。
「ガチャン」
と音がしたので見たら彼が倒れていた。
しかも自転車の下敷きに。

「あら、大変なことに」
と思いながら声を掛ける。

自転車をどけてあげると、自力で起き上がれるようだが立てない。
胸部を縁石に強打したらしく
『胸が痛い』
としきりに訴えている。
『肋骨が折れているかも』
と自己診断までしている。
よく聞くと直接縁石に当たったのは手の甲で、手のひらが胸を圧迫したらしい。

「折れるなら手の方だろ」
と思いながら暫く話をする。

(聞き上手なんですね)

そうね、仕事柄しょうがないのよ…

電動自転車のバッテリーが重くてバランスを崩した
奥さんは数年前に亡くなって、今は独り暮らし
家は近いがとても帰れる状態ではない

まあよく喋る爺様だこと。
頭は打ってないようだ。

「動けないようなら救急車呼びましょうか？」
と聞くと
『お願いします』
との返事だったので
119に電話しましたよ。

(初めから救急車、呼ぶ気だったでしょ！)

まあね…

119『火事ですか？　救急ですか？』
私　「救急車をお願いします」
119『場所はどこですか？』
私　「○○市○○町○○丁目○○番地です」
119『△△があるところですね』
私　「はいそうです」（早いな）

119『どなたがどうされましたか？』
私　「年配の男性が自転車で転んだようです」
119『交通事故ですか？』
私　「単独で転んだようで、意識もはっきりして会話もできます」
私　「体は起こしていますが、胸部打撲で痛いと言ってます」
119『大きい市道と小さい市道がありますがどちらの方ですか？』
私　「ちょうど二つが交差するところです」（地図見てるのか細かいな）

119『救急車が向かいましたので近づいたら誘導をお願いします』
119『それから、こちらから警察に通報しますので』

こんな感じでしたか。

直ぐに救急車が到着。
救急隊員が声を掛けて自力で救急車に搭乗させようとするが、痛くて起立出来ない模様。
『病院に搬送しますが身分を証明するものをお持ちですか？』と尋ねている。
いろいろ気を使って大変なんですよね。

『立てないようなのでストレッチャーに乗せますね』と、何故か私に言う。
私は身内じゃ無いんですけどね。

それから、程なくして３名の警察官到着。
散々事情を説明しましたよ。
で、
『後で交通課が来ますので、よろしくお願いします』
ですって。
「え！　この後まだ続くの？」って感じです。

確かに、暫くして交通課の警察官が２名登場。
そして、また同じ事を再度聞かれました。
ほら、刑事ドラマでよくあるじゃないですか
「さっきも別の刑事さんに話したんですけど」
あれと全く同じ感想です。

しかし、合計５名の警察官ですか。
もしかして「ひま？」
いや、
冗談ですよ。

保険の請求とかあるかも知れませんしね。
きっちり現場検証をされていきました。
お仕事ご苦労様です。

バイク小屋で預かっていた自転車のカゴに何やらカラフルな物が。
これ、提灯だそうです。
事故から10日位して引き取りに来られました。
お元気そうで良かった。

私の母親も自転車で何度か転んでいるみたいです。
打ちどころによっては大怪我になりかねないので、皆さんも気を付けて下さい。