自炊

1合炊き炊飯器の蓋がカビた。何気なく買ったファミリーマートのレトルトカレー。それは食べられることなく、長い間机の上に佇んでいた。

「ご飯を炊こう」そう思ったが目に入る炊飯器。皮肉にもキッチンだけは贅沢なIHなので自炊する事になった。

暫くして、鍋から水が噴き出す。慌てて電力を弱めるが明かに水分量が多い為、味には期待出来ない。

フライパンを用意してレトルトカレーを温める。萬古焼の急須に旅行で手に入れた翠園の葉を入れ準備する。お湯はT-falに任せ、私は皿に盛り付け食べる準備をした。

一口食べてみる。コンビニのレトルトカレーに水気の多いご飯で味は良くないが、心の何処かで「美味しい」と言わされるような不思議な感覚がした。店で食べるよりも数段。いや、初心者とすら言える味ですら美味しいと思った。

レトルトカレーが佇んでいると言ったが、本当は自身が佇んでいるのかも知れない。
答えは分からないが胸の奥でそう感じる事だけは確かで生きていると感じた。


令和最初の2月にてboot1006