思い出
高校1年生の時だった
少し大人になった気がした
髪が茶色くて
目の大きな男の子が
私の隣になった
おしゃべりな私は
おかまいなしに彼に話しかけた
戸惑ったように
「うん…」とか
「ああ…」とか
時折、困ったなあ〜とでも
いうように苦笑いを浮かべて
それでもいつでも
私の方を向いて
最後まで話を聞いてくれた
少しして
彼は学校に来なくなった
私の隣は空いたままになった
街で無精ひげをはやして
髪を金色にして
バイクに乗った彼を
偶然見かけた
「うるさくしてごめんね」
問いかけると
「俺が怖くないのか?」
と言った
「学校には来ないの?」
問いかけると
「俺は体の中から腐っているんだ」
「あそこに行くと苦しいんだ」
「ごめんな…」
と言った
言葉を失った私を残して
バイクで走り去った
ほどなくして
彼は学校を辞めた
何年経っても
何かの拍子で彼を思い出す
若気の至りで
ほんの少し道に迷ったけど
今は赤ちょうちんで
くだをまくおじさんに
なっていて欲しい
苦しい季節が
胸のチクッとする
過去になっていて欲しい
4 件のコメント
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自身も思い出す時ありますよ😉
紡木たくさんの漫画に出て来そうな天真爛漫な女の子だったんですね✨
そんな事を思い出させてくれる、切ない思い出でござったね。(#^.^#)
若い頃、ちょと、危なかしい男の子が好きになる者です。
青春時代のいい思い出ですねえ‼(^▽^)/
私はこのような経験はありませんが赤ちょうちんでぐだを
まいていました。