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VoLTEのお話

VoLTEの挙動について、備忘録も兼ねて少し語ってみます。

理解しやすくするために3GやLTEの特徴から綴っていきます。

・3Gについて
3Gネットワークは音声通話/SMS用の経路と、データ通信用の経路に分かれています。
固定回線で例えますとADSLのようなもので、1本の電話回線の中に更に2つのトンネルがあり、
電話用のトンネルとインターネット用のトンネルがあるイメージです。

日本で使われている3Gネットワークは
ドコモ , ソフトバンク が採用している W-CDMA
au が採用している CDMA2000
という2つの規格があります。

前者は音声経路とデータ経路の同時利用が可能です。
通話中でもLINEを送受信できたり、インターネットの利用が出来ます。

後者は音声経路とデータ経路と同時利用は不可能で、どちらかを切り替えて使う仕組みになっています。
そのため、VoLTE非対応かつau回線を使う端末では、通話中はデータ通信が出来ないため、発信、呼出、通話中、着信時のいずれの場合でも一時的にインターネットが切断されます。

・LTE(4G)について
LTEネットワークは3G回線とは違い、データ通信に特化した規格です。
固定回線で例えますと光回線のイメージでしょうか。

データ通信に特化しているため、VoLTEに対応していない端末で音声通話をするときは3G回線を使います。
しかし、LTEと3Gは同時に接続できないため、音声通話を発着信するとき、端末は一旦LTEを切断し、3Gに接続し直します。これを、"CSフォールバック"と言います。
電話を発信する時も着信する時も少し時間がかかるのは、CSフォールバックに数秒程度の時間がかかるためです。
音声通話が終わると3Gを切断し、LTE接続に戻します。

また、3Gでの通話中のデータ通信は3Gの通信速度に(遅く)なります。

・VoLTEとは
音声通話をLTEネットワーク経由で行う規格です。
データ通信経路の中に音声通話/SMS専用のトンネルがある感じです。
固定の光回線に光電話を追加したイメージです。

VoLTEは、ネットワーク側も端末側も対応が必要です。

・3Gでの通話とVoLTEでの通話の違い(メリット)
①高音質な通話ができる
②低遅延なので、たとえば自分が「あ」と言ってから相手側に「あ」と聴こえるまでのタイムラグが短い
③LTEネットワークに接続したままなので、通話中も高速データ通信ができる
④前述のCSフォールバック処理が不要なので発信・着信までの時間が短い

・LINE , FaceTime , Skype などの通話サービスとの違い
LINE等の通話サービスはあくまでインターネットを利用した通話サービスです。
データ通信として扱われるのでパケットを消費します。
また、データ通信が混雑している時など、一定以上の通信速度が確保できない時の通話は不安定になる事があります。

一方のVoLTEは、データ通信回線の中にあるVoLTE専用のトンネルを利用しますので、データ通信回線の混雑具合や通信速度に関わらずVoLTEトンネルを通る通信は優先的に処理されるので、常に一定の品質が保証されています。

VoLTEは、アナログ固定電話 , 光電話 , 2G , PHS , 3G等と並ぶ、電話会社が提供する電話サービスの接続規格の1つに過ぎないので、VoLTEになったからといって料金体系や使い勝手、信頼性が変わることはありません。

前置きが大変長くなりましたがここから本題です。
VoLTEの挙動について。

ここでは
VoLTE対応端末を [VoLTE]
LTE対応・VoLTE非対応端末を [LTE]
3G端末を [3G]
電話交換機を [交換]
LTE経路を <==LTE==>
3G経路を <--3G-->
各キャリア、電話会社間の接続点を <POI>
と表記します。
実際には基地局などの他の設備もありますが、ここでは省略します。

・同一キャリア、VoLTE端末同士での通話
[VoLTE]<==LTE==>[交換]<==LTE==>[VoLTE]
この場合、上記に挙げたVoLTEのメリットの全てを享受できます。

・VoLTE端末とLTE端末間の通話(キャリア問わず)
[VoLTE]<==LTE==>[交換]<--3G-->[LTE]
この場合、VoLTE通話にならないと思われている方が多いように見受けられますが、厳密には片側のみVoLTE通話になります。
VoLTE端末側のメリットは③④のみです。
①②は3G回線側でのボトルネックにより3G相当の音質・タイムラグでの通話となります。
また、発着信時に[LTE]側でCSフォールバック1回分の時間がかかります。

・LTE端末同士での通話(キャリア問わず)
[LTE]<--3G-->[交換]<--3G-->[LTE]
当然ですが、VoLTE通話にはなりません。
発着信時にCSフォールバック2回分の時間がかかります。

・VoLTE端末と3G端末間の通話(キャリア問わず)
[VoLTE]<==LTE==>[交換]<--3G-->[3G]
この場合、VoLTE端末側のメリットは③④のみです。
①②は3G回線側でのボトルネックにより従来の音質・タイムラグでの通話となります。
3G端末との通話ではCSフォールバックが不要な為、発着信にかかる時間はLTE端末より短くて済みます。

・3G端末同士での通話(キャリア問わず)
[3G]<--3G-->[交換]<--3G-->[3G]
当然ですがVoLTE通話にはなりません。
CSフォールバックが不要な為、発着信にかかる時間はLTE端末より短くて済みます。

・他キャリア、VoLTE端末同士の通話
[VoLTE]<==LTE==>[交換]<POI>[交換]<==LTE==>[VoLTE]
この場合、②③④のメリットを享受できます。
音質に関しては<POI>が従来の音質での伝送しか出来ない為、そこがボトルネックになってしまいVoLTE通話でも音質は3G相当になってしまいます。

・音声周波数について
“音質” はビットレートと音声周波数で大きく左右されます。
音声周波数は ”どのくらい低い音からどのくらい高い音まで” を扱えるかを示した数字です。
この数字の幅が広いほど自然に聞こえます。
ここではそれぞれの電話規格の音声周波数を比べてみました。

・W-CDMA 及び ISDNを含む固定電話
 300Hz 〜 3.4kHz
 人間の声を聞く分には必要十分な帯域のようです。

・(AMラジオ)
 100Hz 〜 7.5kHz
・VoLTE (AMR-WB)
 50Hz ~ 7kHz
・VoLTE (EVS-WB)
 50Hz 〜 8kHz
・NTTひかり電話
 100Hz 〜 7kHz

・(FMラジオ)
 50Hz 〜 15kHz
・VoLTE HD+ (EVS-SWB)
 50Hz 〜 14.4kHz

・(音楽CD)
・LINE (Full HD voice)
・人間の耳で聞こえる範囲
 20Hz 〜 20kHz

CDMA2000
PHS
この2つは調べてもわかりませんでしたorz
どなたかご存知の方、いませんか??

キャリア間の高音質通話に関しては少しづつ進んできてるようですね。
今後に期待です!


18 件のコメント
1 - 18 / 18
退会済みメンバー
退会済みメンバーさん
ビギナー
LTE=4G世代ではないですよね。
第3世代から第4世代への途中の技術みたいな。
厳密に言いますと4GとLTE規格は別に考えるものではないでしょうか。
ド素人の意見ですが。
LTEは、業界では3.9世代と言われていますね。
かかし♂
かかし♂さん・投稿者
エース
そうですね、おっしゃる通りLTEは3.9Gとして登場しましたが、
LTEを4Gと呼ぶ事は公式に認められており、実質4Gとしてサービスされているので、便宜上ここでは4G=LTEとしております。
CDMA2000 EVRC 9.6Kbps
PHS ADPCM 32Kbps (高度化PHSは別)
CDMA2000については、クアルコムが提唱したIMT-2000に準拠していますので、それで調べたらいかがでしょうか?(調べようと思いましたが、面倒なので、やめてしまいました。すみません)
>>“音質” はビットレートと音声周波数で大きく左右されます。
携帯の場合はCODECによるところが大きいかと。
とても良い情報だと思います。
理解が深まり良いですね。

いくつか質問があります。
・VoLTE端末とLTE端末間の通話(キャリア問わず)
[VoLTE]<==LTE==>[交換]<--3G-->[LTE]
・VoLTE端末と3G端末間の通話(キャリア問わず)
[VoLTE]<==LTE==>[交換]<--3G-->[3G]

これらの場合には、高音質にならないとありますが、左側の音質は、左側がau CDMA2000の場合に比べても良化しないものなのでしょうか?

・他キャリア、VoLTE端末同士の通話
[VoLTE]<==LTE==>[交換]<POI>[交換]<==LTE==>[VoLTE]
これについては、最近異なるキャリア間でも高音質になるとの書き込みを何度か見たことがあります。
私自身は電話をほとんど使いませんので、実感したことはありません。
この点についてはいかがでしょうか?

また、3Gでの通話中のデータ通信は3Gの通信速度に(遅く)なります。
この部分については、上の方に書いてあるので誤解する人は少ないと思いますが、念の為、auの場合データ通信できないと記載しておいた方が良いように思います。
退会済みメンバー
退会済みメンバーさん
ビギナー
👀貴重な情報をありがとうございます。

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ヨッシーセブンさんへ

>>この部分については、上の方に書いてあるので誤解する人は少ないと思いますが、念の為、auの場合データ通信できないと記載しておいた方が良いように思います。

この内容↑ではなく?
KDDIが使ってる3GはCDMA2000は仕様上 音声通信とDATA通信は同時に出来ません。
音声通信が入るとDATA通信を閉じて音声通信に渡してしまいます。
それを嫌って KDDI(AU)3Gを捨ててLTE専用のVoLTEとなっている
のです。
他キャリアにも LTE通信が途切れない限り 音声はHD(AMラジオ相当)となると思います。
SB(ソフトバンク)での話しか知りませんが

近年SBでは3G音声はHDという高音質な物が使えるようになっており、本体の対応のみでVoLTEと同等の音質が実現されております(のようです)。
この3GHDはSB端末ではHD表示がされる場合が多いのですが、simフリー等の端末では音質が良くても特に表記の出ない端末が多くあります(いくつか所持しておりますFREETEL MIYABI等)。

またSBは3GHDとVoLTEの接続時でもHD音質が維持される交換機?を使っているので近年の端末ではVoLTEでも3Gでも高音質で通話ができる環境が構築されています。

異なる会社間のVoLTE音質の維持も順次始まっているようですし、今後音質の良い通話が沢山の条件で期待できそうですね。

3G通話はVoLTEに比べ音質が悪いは、auに限っては間違いなくあるのですが、SBに限っては意外と克服されている状況かもしれません。
(docomoは全く知りません)

あ、あと上記は本家SBの話となりますので、MVNOではまた違うかもしれないという事も付け加えて起きます。
よっちおじさんさんへ
>>KDDIが使ってる3GはCDMA2000は仕様上 音声通信とDATA通信は同時に出来ません。

仕様上はできたはずです。禁止でもないと記憶してます。
ただ実装上「余分なパーツの場所/消費電力/コスト」が問題で、誰もやりたがらなかったんじゃなかったでしたっけ。
1台の携帯の中に実質2台詰め込むわけですから、無理もないですけどね。
> amiyyさん CDMA2000は音声とDATA通信とは同時に出来ないので
切り替えてつなぐ事になるので 出来ないはずです モデムが2台有れば
出来るのかもしれませんが 非現実的ですので出来ないで良いのではないでしょうか?
PHSはG.726の32kbpsなので、上限は32kbps/4bit/2=4kHz。下限を人間の耳で聞こえる範囲とすると、20Hz~4kHzとなります。
TackleXさんへ

>>上限は32kbps/4bit/2=4kHz。
この式は? なんの上限でしょうか?
もちろん音声周波数の上限です。32kbps/4bitでサンプリングレート、その半分で音声周波数の上限を算出しています。また、G.726はADPCMなので下限はありません。このため人間の耳で聞こえる範囲とし、音声周波数の範囲を20Hz~4kHzとしています。
あと、音楽CDは正確に言うと20Hz~22.05kHzです(サンプリングレートが44.1kHzなので)。
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