立ち日

七夕の日
私が1番好きだったと言って
過言ではない祖母が逝った
深夜、突然目覚めた祖母
冷たい麦茶が欲しいと言った
私は咄嗟に時計を見た
夜中の２時４５分を確認
冷たい麦茶、、、
いつもの自分なら止めたのに
あの日の私は冷蔵庫に向かった
そして冷えきった麦茶を渡した
ゴクン・ゴクンとコップ一杯の
麦茶を飲み干してしまった
「美味しい？」と聞いた私に
祖母は「あー美味しかった」と
大きな満足の息を吐き出し
はっきり美味しかった、と
私に言った
（まだ夜中だから‥）
此のまま、また寝ようと私は
祖母に言ったのに
祖母はベットの上に座ったまま
両手を天井に向けて挙げて
「もっと、もっと」と何度も
繰り返し発声した
私は其の光景に声が出なくなった
ただ見てるしかなかった
声を祖母にかけたいのに
声が出なくなって見てるしか
見てるしかなかった
天井辺り【何者か】誰かが来てる
そう感じた瞬間に私は意識を
奪われた
気付けば朝
ショックだった
祖母は逝っていた
私は最後の水を祖母に頼まれ
其れをそうと知らず
手渡したんだ
悲しかった
魂が祖母から抜ける時に
立ち会ってしまい気絶したんだ
でも祖母は最後の挨拶を
亡くなる3日前に私に言った
「ありがとう、お世話になった」
「安心してるよ心配してないよ」
と私に言ってくれた
立ち日‥今日が祖母の逝った命日
あの日も晴れてた
今日も同じ様に晴れ渡ってる
寂しくはないけど
何年経っても逢いたい存在
心に花を携えて墓前に行こう
今日は以心伝心デンワで
祖母と話してみよう
１９年経ったね…
今日もあの日と同じ晴れだね、と