ある日の情景
夕方、萬平が帰宅して玄関を開ける
迎えにでた福子が萬平のカバンを持つ
萬「ただいま~」
福「おかえりなさい、萬平さん」
萬「今日の朝ドラは見たかね?」
福「見ましたよぉ カップの臭いが取れて良かったですねえ」
萬「うん、あれには苦労させられたよ」
福「ホントですねえ」
萬「ところで今夜はチキンラーメンにしようか」
福「カップヌードルじゃなくて?」
萬「そうだ。原点に戻って一から考える意味でも」
鈴「一からだったら、ダネイホンじゃないの?」
福「そうですねえ。それは良い考えかも知れません」
鈴「それは違うんじゃないの?」
萬「チキンラーメンはあったかな」
福「チキンラーメンは無いんですぅ」
鈴「やっぱりダネイホンだと思うんだけど」
萬「じゃあ、ちょっと大急で買ってきてくれないか」
鈴「阪急じゃないの?」
福「大急ですね、大至急で買ってきます」
萬「じゃあ、その間に風呂に入っとく」
鈴「やっぱりダネイホンだと思うんですけど」
福子、割烹着を取って玄関に向かう
鈴、首をかしげながら奥に戻る
ネコ「にゃー」
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福「ただいま帰りましたあ」
ダビンチと別れた幸が迎える
幸「おかえりなさい」
福「なにかあったの? ほっぺたが紅いわよ」
幸「うんん、なんでもないわ」
福「チキンラーメン買って来たから一緒に食べる」
幸「食べる食べる」
風呂から上がってきた萬平、福子の手にある箱を見て
萬「なんだその箱は?」
福「チキンラーメン買って来たのよ」
鈴「やっぱりダネイホンじゃなかったのね」
萬「ボクが頼んだのは、一家に5袋チキンラーメンだったはずだ」
福「そうなのよぉ。でもとっても安かったから」
鈴「100円だと誰も買わないわよぉ」
萬「安いと言っても、いくつかってきたんだ」
持っていた箱を開ける福子
それを覗き込む、萬平、鈴、幸、ネコ、世良
福「じゃーん。一つに3袋入っているから3かける9で・・・」
幸「27個」
鈴「あなたは、武士の娘の娘の娘なのよ」
萬「いくら安いと言っても買いすぎじゃないのか」
福「いいのよ」
萬「で、幾らだったんだ?」
福「ふふふ、安かったのよ」
鈴「安いと言っても100円だったら誰も買わないわよ」
世良「だから幾らだったんだ?」
福「あっ、世良さんいつの間に」
バッグからレシートを取りだした福子
全員がそれを覗き込む
福「ほら安いでしょ。47円よ」
世良「それ安くないだろ、絶対騙されてる」
鈴「騙すのはあなたでしょ」
萬「47円だったら、ほぼ30%引きか」
幸「65%引きくらいね」
鈴「あなたは武士の娘の娘の娘・・・」
福「よく見てくださいよぉ。これ3袋1パックだから」
鈴「一家に5袋じゃないの? 萬平さんと福子と幸? 私はどうなるの?」
萬「そうか、1個が15円か、それなら安い」
世良「絶対それはおかしい」
鈴「おかしいのはあなたでしょ」
幸「ねえねえ。これってポイントが270Pついてるみたい」
萬「本当だ、だとすると423円から270P引いて・・・」
幸「1個5円」
鈴「あなたは武士の娘の娘の娘・・・」
萬「じゃあ早速作ってみてくれないか」
チキンラーメンを箱から取りだして台所に向かう福子
ちゃぶ台にはすでにラーメン鉢とフタなどが並べられている
沸騰したお湯が入っているやかんを重そうに持ってくる福子
それぞれが、自分の袋からチキンラーメンを出してラーメン鉢に入れる
鈴「安いと言っても、なんにも具が入っていないのはおいしくないわ」
福「違うのよ このチキンラーメンは具が入っているのよぉ、ほら」
小袋に入っている具(ニラ、キムチ、卵)をそれぞれの麺の上にのせる福子
福「じゃあ、お湯を入れるわよ」
幸「なんかおいしそう」
世良「おいしいわけがないだろ」
鈴「じゃあ、あなたは食べないでいいですから」
世良「またそんなことを」
萬「じゃあ、福子3分間計ってくれ」
世良「アメリカで買って来たAppleWatchがあるから、これで・・・ ヘイSiri、3分間タイマー」
鈴「尻だなんて、恥ずかしいわ、私は武士の娘よ」
ネコ「ニャー」
世良のAppleWatchのブザーがなる
世良「よし、3分経った」
川上「ユーアーラーメンオッケー」
レオ「ボクはラーメンじゃない」
幸「レオナルド、いつの間に」
鈴「あなたは誰なの?」
世良「ごちゃごちゃ言ってたらのびるぞ」
萬「そうだ、みんなで頂こう」
福「はーい」
こうして立花家の夜は更けてゆくのだった
咲「私も食べたい」