娘を嫁がせる時に感じた事

（無駄に長文です閲覧注意！）

私には2人の子供がいる 上が娘で下が息子

８年位前かな～　娘に彼氏が居てる事は嫁から聞いていた。娘が二十歳のときだ
嫁も彼氏を気に入ってるなどといっている　ちぇっ！

まぁ～　何年かして、俗にいう「もらいにきたら」　色々といじめて勿体をつけてやろうなどと考えていた

「君の仕事目標は何？」「５年後、１０年後の計画は？」「君にとって仕事とは何？」
「幸せにするって？？　その根拠は？」

まぁ、妄想は尽きない
いつでも来やがれ～　そんな気分だった

それから３年後、娘に子宮がん（子宮頚癌）が見つかった
個人開業医から滋賀医大へ紹介され、手術日が決まった

その日、私は休みを取り、待合場で手術終了を待った
私より、先に長椅子に座り１点を見つめていた男がいた
嫁と交している会話で、娘の彼氏やな～～と分かる
休んでまで～来る事か！　仕事の事なんと思ってるんや！

それから、長い時間が経過して手術終了すると、説明室に呼ばれた
その男も、私にも聞かせて下さい　という眼差しだったが、私と嫁の２人だけで説明を聞いた

説明室を出ると、その男は私に
「突然すいません！　あっ初めまして！　●●と申します　手術はどうでしたか」と尋ねてきた

正直、私が面喰らった　適当にポイントのみ伝えたが・・・・

私がその男なら、たぶん聞き易い母親に尋ねるのだろうな～
最も緊張するであろう私に尋ねに来るとは～土肝を抜かれた感じだった

術後の娘の状態はかなり悪かった
「余命はあとどのくらいなん？」「死にたい」などと、もらしているらしい
嫁は付添いを、私は家の事とぷりんの世話係となっていた

毎週のように、その男は見舞いに来るらしい
ある時、病室でその男に声を掛けた

「お茶でも飲もうか～」

病院内喫茶店で、暫く他愛もない話をした後、私から切り出した

「主治医の先生からは子宮を全部取らずに残したが、妊娠の可能性は低いと聞いている」
「親身になってくれる事に感謝するが、一時の感情だけで、物事を決めたら、その先後悔するかも知れないよ」

その男は、「？？？」って感じだったので
「今ならまだ別の人とやり直せるよ」と

その男は、私を一瞬上目使いで睨んで、「何が起こっても、一緒に居たいんです」と静かに言った

あ～なんて事を言ってしまったんだ！　自己嫌悪に陥った

娘にとって、たった一つの希望　それはこの男の存在
この時点では判らなかった
というか判ろうとしてなかった

それ以降この言葉を撤回する機を伺っていた

娘の病状は主治医の先生が言う通り、飛躍的に快方に向った
転移の可能性は低いので、再発監視に重点を置くとの事だった

それから私は再発防止を祈念して、お遍路を始めた　
https://king.mineo.jp/my/0ef9414bbc8ee4ad/reports/40540
（これもまた無駄に長文です）

１年が経ち、更に１年と時間経過と共に娘はかつての心身を取り戻していった

そして５年の月日が経った本年４月
その男は真新しいスーツに身を包んで我家にやってきた
それぞれの太ももに載せられた二つの握り拳が、気持を物語っていた

一通り話を聞いて

あの喫茶店での発言の謝意と娘をよろしくお願いしますと伝えた
そして、あの時の「何が起こっても、一緒に居たいんです」を生涯貫いて欲しいとも伝えた
さらに、今日から息子が２人になったとも伝えた

娘は７月に入籍して、新居で暮らしている　もう家にはいない

娘を嫁がせるという事は、もっともっと切なく、もの寂しい気持ちになるものだと思っていたが
いざ、それに接すると、想像もしていなかった安心感と喜びがあった（私の場合は）

プロフィールに　現在孫待ち～　などと書いてるがそんな事はどうでもよい

今一番に願うのは
娘に再発が起きない事
私や嫁やぷりん
そして息子２人が
健康で居られる事

それだけで充分なのです。