外国国章損壊罪は親告罪
刑法第92条に規定される「外国国章損壊罪」の適用事例は非常に少なく、歴史上立件された件数はごくわずかです。
代表的な事例
1974年(昭和49年)11月に福岡市で発生した「在福岡米国領事館乱入事件」において、男らが星条旗を引きずり降ろし火炎瓶を投げつけて燃やし、同罪などで逮捕されたケースが挙げられます。
この法律は外国政府に対する侮辱を目的とし、外交関係や国際的地位を保護法益とすることを前提としています。
また、同条第2項により「外国政府の請求」がなければ公訴を提起できない親告罪と定められています。
★在福岡米国領事館乱入事件
1974年11月21日に九州大学の全共闘系などの学生や過激派の活動家ら約30人が、アメリカのフォード大統領来日に反対して福岡市大濠にあった米国領事館に乱入した事件です。
暴徒化した活動家は領事館の窓ガラスを割って構内に侵入し、掲揚されていた星条旗を引きずり下ろして火を放つなどしました。
この際、現行犯逮捕された関係者らの中に外国国章損壊罪を適用する動きがありましたが、アメリカ側が処罰を求めなかったため、同罪での起訴は見送られるという結果になりました。
訴訟条件と起訴見送り:同罪は外国政府の請求が起訴の条件となるため、被害に遭った米国側が「侮辱とは感じていない」との見解を示し処罰を求めなかった結果、同罪での起訴は見送られた。
実刑判決:1976年2月25日の福岡地裁は、国旗損壊ではなく、住居侵入や現住建造物等放火罪などの適用により、実刑判決を下した。
この事件は、刑法に定められている外国国章損壊罪が適用されるための要件(外国政府の請求が必要である点)が注目された事例として知られています。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/b81b37e094193df021f3a9ff9b282e06f8422bf5
迷走の末の「国旗損壊罪」…警戒される危うい運用と「地雷規定」化の懸念
与野党の政治的駆け引きによる迷走を経て、国会で「国旗損壊罪」が可決成立した。早ければ来月には施行される。
一見すると「自国の象徴を守る正当な法律」の誕生に思えるが、憲法が保障する表現の自由や内心の自由、財産権との衝突という重大な論点は、依然として残されたままだ。
その法的課題と実際の運用場面における懸念事項を解説する。

