電気ブラン
それが、堀木に財布を渡して一緒に歩くと、堀木は大いに値切って、しかも遊び上手というのか、わずかなお金で最大の効果のあるような支払い振りを発揮し、また、高い円タクは敬遠して、電車、バス、ポンポン蒸気など、それぞれ利用し分けて、最短時間で目的地へ着くという手腕をも示し、**婦のところから朝帰る途中には、何々という料亭に立ち寄って朝風呂へはいり、湯豆腐で軽くお酒を飲むのが、安い割に、ぜいたくな気分になれるものだと実地教育をしてくれたり、その他、屋台の牛めし焼とりの安価にして滋養に富むものたる事を説き、酔いの早く発するのは、電気ブランの右に出るものはないと保証し、とにかくその勘定に就いては自分に、一つも不安、恐怖を覚えさせた事がありませんでした。
人間失格より〜
ときどき探していたのですが、りんかんモールのaveにありました。
文豪の安酒、電気ブラン😄
** は投稿に引っかかりました🥲
1 件のコメント
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登場人物の仕草やセリフと相まって一層魅惑的に。
大阪駅の地下街にある居酒屋で昔、電気ブランを扱っている店があったけど、今はどうかなあ。
でもよく見つけましたね、電気ブラン。
なんかもう半分くらいしか残ってなさそうですが、お気に召しましたか?
酔いとともに作品世界の雰囲気も味わうことができて、至福の時間だったのではないでしょうか。( ´∀`)
ところで小説の中に登場する「食」にまつわるエピソードといえば、嵐山光三郎の「文人悪食(ぶんじんあくじき)」を思い出します。
もしかしたらもうご存知かもですが、まだ読んでいなくてご興味があればどうぞ。
今回のご投稿のようなエピソードがいろいろとあってオススメです。