ばけばけ は日本の行く末を案じていた
ばけばけで有名になったラフカディオ・ハーンは、怪談が有名です。それ以外にも「日本の面影」を書いています。日本の伝統文化を紹介し、親日家の面目躍如です。
その彼が「神国日本」という未完の大作を執筆していたのはあまり知られていないようです。
日本人の先祖崇拝や慈愛の心、美意識などを驚きつつ書き綴っているのです。
遠いギリシャから来た欧州人だからこそ残せた当時の日本人の風習、生活態度の描写です。
しかし、単なる日本礼賛の書ではありません。ハーンの時代は明治に代わってから約30年あまりが経過しました。急速な西洋化、近代化も進みました。日清戦争に勝ち日露戦争も日本に有利な状況で推移していました。そんな状況でやや警告のメッセージも発しています。
「政府の力でもとても抑制のきかないような事情に激発され、...欲深い国々の侵略者を相手に無謀な戦争をはじめ、自らを最後の犠牲にしてしまう悲運になるのではないか」と記載しており、後の15年戦争を予言しているようです。当時の日本国民はその後、ロシアとの交渉に大いに不満を持つであろうことを懸念していたようです。
この著作は彼の意図に反して、期せずして西欧の日本に対する戦略を示すメッセージとなっています。
そのため、「菊と刀」とともに米軍にとって日本研究の重要資料になったようです。
当時の状況と似ているように思える今の日本をハーンはどう描くでしょうか。
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