MMTと公共貨幣システム2
公共貨幣論は、現在の「債務貨幣」(民間銀行が信用創造によって発行する貨幣)の問題点を指摘し、政府が直接貨幣を発行することを提唱します。この公共貨幣が導入された場合、シニョリッジの発生源と使途に大きな変化が生じます。
シニョリッジの発生源の明確化:
現在のシステムでは、現金(紙幣・硬貨)の発行益は中央銀行や政府に帰属しますが、預金通貨の大部分は民間銀行の信用創造によって生まれており、その利益(利ざやなど)は民間銀行に帰属します。
公共貨幣システムでは、貨幣の創造が政府に一元化されるため、貨幣発行に伴うシニョリッジがより明確に、そしてより大規模に公共、政府の手に渡ることになります。
つまり、民間銀行が信用創造によって得ていた利益の一部が、政府が貨幣発行を行うことによって、シニョリッジとして公共の利益となる可能性が生まれるとされます。
シニョリッジの使途の公共性:
公共貨幣論の提唱者たちは、この政府、公共機関によって得られたシニョリッジを、政府債務の返済、公共事業への投資、国民への直接的な分配(ベーシックインカムなど)といった公共目的のために活用できると主張します。
これにより、増税なしで財政問題を解決したり、社会全体の福祉を向上させたりする可能性が生まれると考えます。
公共貨幣論は、シニョリッジを伴う貨幣発行が、誰かの負債としてではなく、政府、公共の資産として発行されることを目指します。
これは、現在の「債務貨幣」システムが抱える、負債の増加による経済の不安定性や金融危機の発生といった問題を解決するための重要な要素と位置づけています。
これは、一国内で経済が循環しているならなかなか有効な理論です。しかし、現在の開放経済体制のもとでは成立しないのですが、説明が難しいです。さらに、銀行の信用創造を禁止するということで、移行期にはかなりの困難を生じさせるものです。
この公共貨幣システムの問題点はかなり先ですが、指摘したいと思っています。
ひょっとして、ポピュリズム集団が反グローバリズムなのは公共貨幣システムを本気で導入したいとおもっているせいでしょうか・・

