つばの広い編んだ夏帽子と握った手

朝
目覚めは夢からの目覚めだった
夢だったのか…
本当に夢だったのか…
今月４／7に亡くなった私の由縁の人
その人とはある時期2人で
仕事をしていた御縁人
その人の死を新聞で知った
私はその人が亡くなる前々日に
出先でバッタリ逢っていた
その日そこでバッタリ逢ったのに
何故だか互いに視線を
しっかり交わしたのに
言葉を互いに掛け合わずに
別れた
自分でも不思議に思ってしまった
言葉を交わさなかったこと…を｡
そしてやがて私は
新聞でその人の訃報を知ってしまい…
その新聞で知った翌日に
その人は私に耳元に呟きで
〝もういいんだ”…と2回繰り返した
それは夢でも何でもなく
私に白昼
その人が私に分かるような声で
『呟いた』
その人は自死だったのか？と
思いながら何日も過ごした私に
朝がけの夢で
その人が私の前に現れた
夢の中の私とその人は
大きなつばの夏帽子をかぶり
互いにしっかり手を繋いで
笑いあっていた
しっかり繋いだ手は離したくなくて
ぎゅっと私は握っていたのに
気づけば
それは夢で
夢だと分かった私は
直ぐにでもまた眠って
その夢を再びみたいと願って
真剣に眠ろうとしたけど
叶わなくて
今
此処にこの想いを綴っている
大きなつば広い編んだ夏帽子を
かぶって２人笑いながら
手を繋いでいた
夢の中で私は
その人に〝また逢おう”…と言ったのに
その声は何故だか心の声のように
相手に届いてくれなかった
繋いだ手は消えてしまい
これは
夢だったのだと知る
あんなに笑っていた
私にあんなに笑った顔で
しっかり手を繋いでいたのに
夢だった…んだ
夢だったんだ…ね
エールだったのかな…な
別れの挨拶だったのかな…
あんなにしっかり手を繋いでくれて
この世で二度と
逢えない人になってしまって
私の意識は
宙にふわふわ浮かんでいるみたいに
着地しない
きっと
着地したくない…んだ