大正琴　この誠に日本的な楽器について

ジモティーで大正琴を探したら8件の出品があった。
その内の安価なもの3件にメッセージを送ったら全て取引可能で合計で2000円以下であったので３個とも購入した。
クッションが劣化してキーを押すたびにカタカタ音がする物もあったが新しいのと張り替えたら静かになった。
ピックアップの付いたエレキ仕様の本格的な物もあり満足である。

大正琴は名前からも分かるように大正時代に日本で考案された楽器である。
弦は通常５本か6本付いているが現在は5弦のものが多い。
奏者から遠い弦を1弦と呼び手前に向って2～5弦と並んでいる。
1～3弦は同じ細さで4弦はやや太く5弦は更に太い。

調弦は全てハ調の「ソ」の音に合わせる（5本目以降の弦は演奏する曲の調性により別の音に合わせることもある）。
4弦は1～3弦より1オクターブ低く、5弦は更に1オクターブ低い。
1～4弦の下にギターと同じフレットが並んでいて（下図左）その間にあるタイプライターのキーみたいなボタン
（下図右）を押すことにより音階を奏でることが出来る。
ボタンは4本の弦を同時に押すのでギターのセーハと同じ現象になる。
演奏法は左手で音階を作り右手にピックをもって4本の弦を手前から先に向かって搔き鳴らすのが基本である。
早いパッセージでは前から先に向かった後手前に引き戻すこともある。
第5弦以降は指を触れることはなく共鳴弦の役割を持たせているが1本や2本の弦では効果は期待できない。

大正琴がインドに渡ってブルブルタラングという名前で売られている。
下図の様に２本の旋律弦、３本の伴奏弦、10本の共鳴弦が付いている。
さすがシタールの国である。
これ位ないと共鳴弦とは言えない。

大正琴には専用の数字譜がある。
ドレミを１２３と記すやり方である。
数字譜はハーモニカでも使われていて五線譜の読めない人でも演奏できるようになっているが音楽の授業等で五線譜に馴染んでいるいる現代では不要である。

複数の弦を持つ楽器は和音を奏でるように作るのが普通であるが敢えて同じ音しか出せないような調弦をしているのは音を大きくしたい為だけであって和音のことなど頭になかったと思われる。

日本の大衆音楽（民謡、歌謡曲、童謡．唱歌、寮歌等）は殆どが単旋律である。
明治になって西洋音楽を取り入れて和音も習うようになった筈であるが今でも普及しているとは言い難い。
アイドルグループが全員同じ旋律を歌っているのが良い例である。
錦正流、琴城流、琴伝流、琴修会、琴生流等の流派もできた。
これらを要するに大正琴は誠に日本的な楽器といえる。

音出しは前述のようにピックで弾くのが基本であるが
大正琴は金属弦を使っているのでバイオリンの弓で弾くこともある。

以下ぎこちない演奏ですが大目に見てください。

基本的な奏法である

バイオリンの弓で弾く奏法である。
弓を前後に動かすのが難しい。

大正琴は共鳴箱が小さくて（4弦同時に鳴らしても）大きな音が出せないのでピックアップ等電気的部品を使う方法がある。
次回はそのことに触れる予定である。