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トルコ横断


下図の黄色のラインは西(ボドルム)から東(ワン)へ行った旅の軌跡である。(青色のラインは帰りの飛行機のコース)
前半は素通りで主に東部の2ヶ所について触れる。

トルコ地図.PNG

セルチュクの馴染みのペンションに2泊した後たまにはリゾート地で過ごそうとエーゲ海に面するボドルムに行った。
バスで約160km、約4時間の行程である。
昼の2時過ぎに着いてホテル数件回ったが全て満員で、外は強烈に熱く陽光は頭皮に刺さるように痛かった。
これ以上部屋探しをする気も失せて涼しい所へ行こうとアンカラ行きの夜行バスのチケットを買った。
明るい内は林の木陰で休んで過ごしてアンカラへ向かった。

アンカラ.PNG

翌朝アンカラに着いた。
トルコはバス路線が発達していて各地にオトガルと呼ばれる大型のバス発着場がある。

首都だけに歩いて回るには大きすぎるし朝から熱いしで朝食をとって暫く休んだ後北方の黒海に面するサムスンという町へ行くことにした。
取り立てて見るべき物のない小さい町であった。

次は黒海沿岸を更に東に向かってトラブゾンという街に向かった。
ここにはイラン大使館がありビザを簡単に取ることが出来ると後になって知った。

北に行くより高地に行った方が涼しいと思って内陸部のエルズルムに向かった。
ここは標高1900m位あり涼しくてやっと落ち着ける場所に来たと安堵した。
しかし小さな町で観光的には何日もいるような場所ではない。

エルズルム.PNG

(エルズルムの神学校)

それではもっと東に行こうとイランとの国境に近いドゥーバヤジットを目指した。
ドゥーバヤジットは北方に大小のアララト山が、東にはイランとの国境沿いに山並が聳える辺境の地である。
ホテルの北側の部屋は室内から山を見ることが出来るが6人の相部屋で半数以上を胡散臭い人物で占められていたので個室にした。

ホテルの部屋ではるばる来つる旅を思って感慨に耽っているとドアを叩く音で我に返った。
同じホテルに泊まっている2人の日本人だった。
受付で日本人が来たと知らされたようだった。
一緒に食事でもどうかと誘われた。
どこにいくにも一人であるが食事の時は侘しさを感じることがあるので一緒に行くことにした、
ホテルに帰るとバイクに乗って旅をしているという日本人がいて4人で暫く歓談した。

それよりも嬉しかったのは本を読めるということであった。
お互いの本を交換し合って内容に関わらず貪るように読んだ。
推理小説や歴史小説が主であったからそれほど案ずることもなかったが、自分の愛読書を人に見せるのは裸身を晒すようで面映い。
相手も同じ思いであろうから詮索無しで読んだ。


トルコアララト山.PNG

翌日はアララト山の近くまで行こうとドルムシュという乗り合いの小型バスに乗って適当な所までいった。
アララト山は西側が標高5165mの大アララト山、東側が標高3925mの小アララト山でどちらもコニーデ型の火山で富士山とよく似ている。
アララト山はノアの方舟が漂着した場所であると信じられている。
実際過去に何度も方舟の痕跡が確認されたとの報道はあるが断定されるには至っていない。

夕方、又一緒に食事して翌日は6km程郊外にあるイシャクパシャ宮殿に行こうという話になった。
現地に行く乗り物はタクシーしかなく4人で割り勘したら安く行けるという理由からであった。

イシャク・パシャは17世紀この宮殿を造営したオスマン帝国時代のクルドの領主の名前である。

イシャクパシャ.PNG


尖塔を持つモスク、文書館、博物館、ハマム、ハーレム等の施設の他武器庫もあり城としての機能もあったようである。
帰りは下り坂であるので歩いて帰ることにした。
草原には羊が放牧されていたり道端にはアザミやポピーが自生していてピクニック気分で帰れた。

オトガルでお茶していると1日1回のイランからのバスが到着した。
土嚢袋をぶら下げた日本人が降りてきたので話を聞くとリュックを盗まれたとのことであった。
貴重品は肌身に着けていたので旅行は続けられるが洗面用具や食料は新たに買って土嚢袋に入れて来たらしい。
同じホテルにと誘ったが伝手があるらしく断られた。


翌日3人と別れてトルコ最大の湖であるワン湖の東岸にあるワンに向かった。
約160km、(30分の休憩を含めて)5時間ほどの行程である。
高層ビルも建っているそこそこの都会である。
住宅街にある小さなホテルに泊まった。

翌日考古学民族学博物館とワンの城跡に行った。
ワンは3000年の歴史があるという。
博物館にはそれを物語るように楔形文字を刻んだ石碑が多く並んでいた。
土器農具工具武具馬具絨毯等多彩なものが陳列してあり見応えがあった。
博物館を出て湖寄りに行くと小高い岩山にワン城(址)がある。
ワン城は紀元前9世紀のウラルトゥ王国時代に建てられたものであるが基礎部分はしっかりと残っているが建物は風化している箇所が多かった。
城址からのワン湖の眺めは素晴らしかった。


ワン城.PNG

翌日はイランへの道筋にあるホシャップ城へ行った。
ホテルでドルムシュの乗り場を教えてもらい出発。
ワンからは約60kmの距離で1時間半ほどで到着。
道路沿いに食堂や店が連なるドライブインみたいな所であった。
丘の上に城が見えるので山裾を回り込んで行った。
途中数人の子供がいて訊くまでもなかったが一応「カレ(Kale・城)?」と訊くと皆一斉に入り口の方を指差してくれた。
見学人は終始一人であった。

ワンホシャップジョウ.PNG

2時間程いて帰ろうとしたが中々バスが来ない。
業を煮やしてエンジンを掛けたまま泊まっているトラックの運転手にワン方向に行くかと訊いて回った。
その中の一人が乗るようにとドアを開けてくれたので便乗した。
100cc程の紅茶に3個の角砂糖を入れた甘ったるいチャイを振舞ってもらったがありがとう(Teşekkür ederim・テシェキュルエデリム)と言っただけで話は弾まず気まずい空気感でワンへ向かった。
そのトラックはワン市内とは違う場所に行くようで途中のちょっと広い道路にあるバス停の前で降ろしてくれた。
ここに泊まるバスに乗ったらワン市内に行くということであろう。
親切心で載せてくれたのかもしれないがチャイも頂いたので来た時の料金に少し上乗せした金額を渡して別れた。

この後イスタンブールまで帰ることになるが直線距離で1500kmあり流石にバスではきついと思い飛行機を利用することにした。
2時間のフライトで眼下の眺めは壮大で機内食も出て快適であったがちょっと物足りない気がした。


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