EU圏 SIMに求められる "Fair-Use-Policy"
このところAmazonでもEbayでも海外SIMが簡単に購入できるようになりました。以前はあまり選択肢もなくて、現地に赴いてから知人の口伝えに街中でテキトーにSIMを選んでは、「おおお、データ接続できたぁ !!!」とただそれだけで喜んでいたのが懐かしい過去になりつつあります。
それが今は現地のSIMが日本国内で簡単に入手でき、なおかつ、
①SIMのアクティベーションや、②SIM状況管理のためのMyPageの登録/設定、③プランの選択などがアプリの中で簡単にできるようになってきています。
そんなEU圏SIMについて、今回は留学や長期滞在する方向けのSIMの制約事項、"Fair Use Policy" というものについてご紹介します。
EU圏SIMはけっこう色々なサービスがあります。それでも1年間(12ヵ月, 360日)の期間をカバーしてくれるようなプリペイドSIMはそんなに多くありません。 長期の場合には月額課金のSIM契約をしても良いのですが、クレジットカードの発行地とか、住所やID書類、連絡先や電話番号などなど、中々ハードルが高いのも事実です。 そんな中、1年間をカバーしてくれて、長期格安を提供してくれるプリペイドSIMは長期滞在者には有難いものです。
以下、例として、英国の2つのSIMを挙げてみました。
(価格はいずれも Amazon.co.jp で12/10現在入手可能のものです。)
(A) Three SIM (12GB/360日間) 5600円
(B) EE sim (24GB/360日間) 9980円
1GB当たり 500円以下で利用できるのも長期SIMの有難いところですね。これらはデータSIMですが、+44の電話番号が割り当てられて、音声通話もSMSも出来ます。(ただし、別途チャージが必要ですけど。。。)
ちなみに、Three社と EE社の英国での通信キャリアとしての規模は↓です。
両社のSIMを利用した経験 (都会のみの利用で、短期の利用でしたが…)では、どちらも通常使用にて不都合を感じることはありません。両者とも4G 接続でとても安定しています。
しかしここで、EU圏で長期プリペイドSIMを使用する場合に注意しなければならないことがあります。
それは 「Fair Use Policy 」という制約です。
2017.6.15からEU圏ではローミングの自由化がスタートし、自国で利用している契約プランがそのまま他のEU圏諸国に出掛けて行っても(Pay-As-You-Go)、追加チャージ無しでローミング利用できるようになった (SoftBankのアメリカ放題…みたいな。。。) ことから、安価な国でSIMプランを購入し、それを他国で継続的に利用することに対して歯止めを掛けるという主旨の元に、使用制限が実施されているということなのです。
具体的には (A)のThree SIMの場合、12GB/360日のプランといっても、SIM発行国、すなわち英国以外での利用は 9GB (↓参照)に制限されてしまいますし、
また (B)の EE SIMの場合には 24GBのうち、英国外利用は 15GB に制限されるという具合です (参考↓)。
要は、Threeの 12GB のEU圏SIMが便利だからと言って、フランス滞在では 9GB までしか利用できないし、 EEの 24GB SIM が格安だからと言って、それをドイツで利用しようと思っても、使えるのは 15GB まで、と言うことなのです。
(私の場合は、せいぜい2週間程度の短期の出張ばかりで、そんな制限データ量まで達して使ったことなどないので、ホントのところはよく分かりませんが…汗)
また、それ以上利用したい場合には、所定のレートで「従量課金」される (らしいのですが…これまた未体験) のようです。
ということで、ヨーロッパに滞在する方にとってはとても使い易くなってきたEU圏SIMですが、SIM発行国 (英国発行以外のSIMも同様。。。)以外では「Fair-Use-Policy」の制約が発生することを心の隅に知っておくことが大切です。
以上、興味ある方向き、ニッチなトピックスのご紹介でした。
お聞きします。
たしか90日有効のThree SIMでは、ローミング60日制限があるとの商品説明があったように思いますが、今回ご紹介のものはデータ容量のみの制限と考えていいですか?
イギリス以外が長期間ならこのSIMに拘ることはないのですけれど、長期間かつ安価なものは、なかなかないのですよね。
いつもお世話になります。
>…ローミング60日制限があるとの商品説明が…
はい、確かに、Amazonで販売している商品の説明の一部に、「イギリス以外の国で2ヶ月連続して使用すると、データローミングが制限されることがあります…」との記述がありますね。
最新の Free at Home に関する Terms & Conditions の中で、Fair-Use-Policy の期間に関する二つの記述を見つけました。
① 「…連続した12ヵ月のうち、まるまる2ヵ月 (any TWO complete months 国を出入りすることなく) 、すなわち 60日以上を 英国外のFeel at Home で利用した場合には… サーチャージ(付加料金)として 0.65p~0.78p/MB を課す…」
② 「…連続した4ヵ月間での国内利用と国外(Feel at Home)利用比率をモニターし、利用の大部分が国外と判定した場合には…サーチャージ(付加料金)として 0.65p~0.78p/MB を課す…」
というようなことが書かれています。
しかし、4ヵ月間のモニターということであれば、3GB/90日間サービスであれば実質的には素通りの範囲かとも思えますし、また万が一、モニターに引っかかったとしても、チャージ残高が無ければサーチャージのされようもないので。。。 とまぁ、こんな感じでしょうか。 (私の同僚のケースでは、米国で連続して2か月半の間、利用していた実績はあります。)
いずれにしても、英国を留学先や、長期滞在の本拠地として利用する限りにおいては不都合を起こすことは無さそうですし、期間中の欧州各国旅行など含めて使い易いサービスではないかと思います。
いつも詳しいご説明をありがとうございますm(_ _)m
なるほど、このSIMはあくまでもイギリス本国の人が外に出た時の利便性を考えられたものだと、以前教えてもらいましたが、それでも私達が簡単に入手できるのは有難いことですね。
今回も興味深いトピックをありがとうございました。
追記 :
EU圏MVNOの代表格である Lycamobile-UK と Lebara-UK の2社においても Fair-Use-Policy の適用の記載が見られます。
Lebara-UKの場合を例として↑載せておきます。内容的には、
① バンドル・プラン有効期間内で 2.5GB までの 国外(EU圏内)のローミングが許されており、それを超過すると、付加金が課せられる…
② 国外(EU圏内)のローミングが長期にわたる場合、連続する4ヵ月間モニターを行い、国外ローミング利用比率が50%を超過する場合には、付加金が課せられる…
となっています。
各社各様ではありますが、制約に至る閾値には違いが見られるものの、Fair-Use-Policy (FUP) というものは MVNOも含めて、EU圏では一般的なルールになっていることが分かります。