子供の頃の思い出

私が6歳位の時の話である。
我が家の男性4人は全員坊主頭であった。
2か月に一回庭で母が手動バリカンを持って散髪をしてくれた。
散髪は父から年齢順にやっていた。
その待ち時間に私とすぐ上の兄は二人で錆びた包丁と鎌を持ってチャンバラごっこをしていた。
兄が私に向って包丁を振り下ろした時包丁の刃が柄から抜けて私の髪の生え際に当たった。
出血と痛さで私は泣き出し散髪どころではなくなった。
父は近くにあった手水鉢の水で私の傷口を洗いタオルで巻いて病院へ連れて行った。
父は散髪途中で髪の長さに段差があったが帽子を被っていったので違和感はなかったようだった。
病院で3針縫ったがその後私以外の散髪は続行した。
兄は特別怒られることもなく私に謝ることもなく、私も特別に慰められることもなく普通の生活に戻った。

それから数か月経って夏休みになった。
私とすぐ上の兄と二人で80km程離れた場所にある田舎の親戚の家に1週間程遊びに行くことになった。
無事に着いたとの連絡は電話で行ったが田舎の電話機は壁掛け式でハンドルを回して電話交換手を呼び出しこちらと相手の電話番号を言って繋いでもらう方式であった。
操作は子供には無理なので大人にやってもらった。
相手が出るまで1時間ほどかかった。

その頃カバヤという菓子メーカーがあった。
カバの形をした宣伝用の自動車を走らせていたりでそこそこの人気のある会社ではあった。
そのカバヤが自社のキャラメルの空箱10枚送れば景品が当たるというキャンペーンをやっていた。

私の親戚のいる田舎ではキャンペーンを知らないのか興味が無いのかカバヤのキャラメルの空き箱は簡単に集めることが出来て滞在中に60枚程集まった。
それを送ったらなんと一等賞に当選した。
景品は野球盤とパチンコ台と顕微鏡の内から一つ選ぶようになっていた。
私は野球盤かパチンコ台を欲しかったが長兄が強く主張した顕微鏡になった。

顕微鏡で色々見たが手水鉢の水も見ることにした。
私が頭を切った時傷口を洗った手水鉢でありトイレの後の手洗い用に水を溜めていたものである。
みると楕円形の小さな生物がうようよと動いている。
両親にも見せるとどういう虫かはわからないが衛生的に良くない事は分かったようであった。
翌日直ぐに吊り下げ式の手洗い器に変えられた。

画像は全てイメージ図です。