枕銭
イタリア半島は長靴の形をしているがその踵に当たる場所にブリンディジという港町がある。
そこからギリシャに渡るフェリーがありユーレイルパスで乗れる。
パスだけでは寝るのに椅子席しか使えずベッドのある部屋は追加料金が発生する。
その手続きをしている最中に一人旅の日本人旅行者が来て彼もベッドルームを希望しているとのことであった。
日本人同士ということで配慮してくれたのかどうかは分からないが同室になった。
2段ベッド2つの4人部屋であったが宿泊者は私ら二人だけであった。
夜、同宿の若者が4人組のオーストラリアの学生を連れてきて彼らが部屋を替って欲しいと言っているがどうしようかと訊いてきた。
彼らは節約のため二人部屋を予約してそこに4人で寝ようとしたが如何にも狭すぎて広い部屋に潜り込めるよう目論んでいたらしい。
同宿の若者が彼等と話してる時その話題が出て彼自身は部屋を替ってもいいと思っていたようだった。
私も一晩のことだし部屋もグレードアップになるので異論はなく部屋を替わった。
翌日寝具を片付けようと毛布をたたみ枕を動かすと枕の下に5ドル紙幣が置いてあった。
これはどう解釈したらいいのか二人で話し合った。
清掃人へのチップ(枕銭)ではないか。
清掃人へのチップとしては多額である。
部屋を替わってくれたことへのお礼だ。
お礼にしては金額が少ないのではないか。
2人部屋に4人寝ようとしている程の節約旅行をしている学生にとっては精一杯の額である。
チップを置くなら4人部屋の方に置くのが筋である。
そもそもフェリーの簡易ベッドの清掃にチップは不要である。
という訳で5ドルは朝食時のコーヒー代になった。
枕銭なぞ今でもあるのだろうか?
私は(自分のテーブルで食事代を払うシステムの)レストラン以外でチップを置いたことはない。
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