【小ネタ】いらっしゃいませ😃

『いらっしゃいませ。○○社の😊😊様ですね』
『では、会議室へご案内します』
『間もなく担当者が参りますので、暫くお待ち下さいませ』

弊社の不思議な伝統。
本社の受付、当番制。
本社勤務の社員全員に、必ず順番が回ってくる。

だからって、本社勤務でもないわたしが何故本社の受付カウンターに腰掛けているんだ？？

これもひとつの伝統。
年に一度の恒例行事。
『自分が担当していることと全く違う業務を体験する』
事務屋さんはゲンバへ赴いて（作業は出来ないしさせないけど）、どんな仕事をしているかを自分の目で見届ける。
普段ゲンバに出ている連中は、本社や各拠点で事務の見習いをする。
そうやって事務屋さんはゲンバの大変さを知って、ゲンバの人は事務屋の苦労を知る、そんな流れ。

『よりにもよって、わたしが本社の受付に来るなんて……ぶつぶつ』
「ちょっと河嶋さん！」
『へっ？』
「へっ、じゃありません！怖い顔してブツブツ言うのは止めて下さい。ここは会社の顔ですよ！」

『うぇっ😭』
そんなに怒らなくてもいいだろう。
本日の相方、総務さん（仮名。事務系の仕事ではピカイチで、かなりの美貌の持ち主）がババ怒りで囁く。
「今日もたくさんのお客さまがお見えになる予定です…いいですか河嶋さん、くれぐれも粗相のないように」
『ふぁい…あ、いらっしゃいませ😃』
精一杯の作り笑いでお客さまをお迎えしようとしたわたしのことなんかフル無視で、お客さまは総務さんのほうへまっしぐら。
「では、会議室へご案内します。河嶋さん、宜しくお願いします」
『かしこまりました。では、コチラへどうぞ』
お客さまを会議室へご案内した後、カウンターへ戻ったわたしは小さな溜息をついた。

「どうかしましたか？」
ぐすん。
『世の中は不公平だ』
「ええっと……仰っていることの意味がわからないんですが」
『さっきからお越しになられるお客さまを見て思ってたんだ……受付に二人いたら、大抵は格好いいとか可愛い方に足が向くんだ』
朝からずっと受付にいるが、わたしの方に来る人なんて一人もいない。
これはきっと外見で人を……

「違います」
ナニが違うんだよぅ……

「河嶋さんが怖い顔してあたりを睨んでいるから、誰も怖がって近寄らないだけです！あとほんの少しだけ……笑顔を、とまでは言いませんから、その怖い顔をなんとかして下さい。年がら年中そんな怖い顔してるわけじゃなく、人に愛想良く微笑む時くらいあるでしょう？」
うん。あるある。
『飲み屋ではもの凄く愛想がいいぞう』
「は？仕事中に飲むつもりですか？？？」


そんなことしないけど……
そこまで怒ることはないだろう😭😭😭
結局、終業まで誰もわたしの方を向くこともなく、ひたすら会議室へご案内を繰り返した一日だったの😰