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赤いバッグ

私にはあまり物欲がない。子どもの頃からだ。

小学校1年生でしばらく入院してた時におばあちゃんに「何でも好きなもの買ってあげるよ」と言われた。欲しいものは何も思いつかなかったけど、何も言わないって事は、私に何かを買ってあげたいおばあちゃんが買う事ができなくて悲しむかもしれないと思って、女の子がみんな欲しそうな人形かぬいぐるみか何かを買って貰った。正直何を買って貰ったのか全く覚えていない。うまく喜べていただろうか…ごめんね、おばあちゃん。

私は両親から誕生日もクリスマスもプレゼントを貰った記憶がない。勘違いして欲しくないのだけど、ウチは特に貧しかった訳でもない。それに買って貰えなかった事が悲しい記憶だとは少しも思っていない。
ただの事実であって、それ以上でもそれ以下でもない。
一軒家に住んでいたし、リビングにはシャンデリアやピアノもあった。家族で旅行にも行っていた。何か欲しいと言ったら買って貰えたと思う。

一度だけ、社会人1年目の時、親とケンカした時に親に向かって怒って言った事がある。
「誕生日プレゼントだって今まで1度も買って貰った事ないんだよ!!」
なんでそんな事を言ったのか、言う流れになったのか全く覚えていない。

だけど、その時両親が2人で当時人気のあったブランドの小さい赤いバッグを買ってくれた。もちろん、私がそれが欲しい!と言ったからだ。
確かに買って貰って嬉しかったが、正直言うとそこまでして欲しいモノではなかったし、大して使わなかった。

ただ親が私の為に2人で買いに行ってくれたのが嬉しくも、いい歳してそんな事をさせてしまった事がただただバカみたいだな…と虚しいような気持ちと親に申し訳ないような気持ちだけがあった。
のちに親にただの疑問として何でプレゼントを買ってくれなかったの?と聞いたら、別にただ単にそういったイベント時にプレゼントを買うっていう感覚?がなかったらしい。なんじゃそりゃ。

今は1人暮らし。もうだいぶ前から断捨離をしている。元々持っているモノは少ないが更に減っている。でもそのバッグはまだ残っている。正直言って、いらない。
ただ多分きっとこれはただのバッグではない…何かが具現化したもののように感じるから残しているのかも知れない

追記
いや、でもマジでいらないんだよなー笑
場所取ってるからさー、いい加減、手放すかな笑


1 件のコメント
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素敵なお話でした〜🥹
きっと「何かが具現化したもの」なのでしょう。
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