〈寄贈ノススメ〉美術館・博物館は好きですか?
【ラ・シエスタ、スペインの思い出】ギュスターヴ・ドレ
国立西洋美術館所蔵
美術館・博物館というと○○展のような展覧会が行われる展示施設としてのイメージが強いと思います。
でも美術館・博物館は歴史・芸術・民俗・産業・自然科学等に関する資料の収集して保管する機能も大きいのです。
それらを調査研究し、展覧会等で展示したり教育普及等の活動も行われています。
国の施設だけではなく地方の美術館・博物館ではその地方の文化財保存、歴史を調べていたりもします。
いわば人類共通の知的財産である美術品等々を未来に残す為にある施設だと言えるでしょう。
3月25日に富山県立水墨画美術館まで行って来ました。
富山県立水墨画美術館は日本で唯一の水墨画専門の小さな(と書くと余計かもしれませんが💦)美術館です。
2月21日から4月11日まで「水美(=水墨画美術館)コレクションでめぐるこころの旅」という展覧会を開催していました。
本当は2月19日の開会式の招待状をいただいていたのですが首都圏では緊急事態宣言の最中でしたのでそれが解除されるまで待っての訪問となりました。
さて何故こんな時期に遠く離れた美術館へと行かなくてはならなかったのか……
それは我が家から寄贈した絵のお披露目がこの展覧会でされたからなのです。
絵の状態とそれに付随するキャプション、更に保管について等のチェックの為にはるばる日本列島を横断して太平洋側から日本海側まで弾丸で旅することになりました。
寄贈した物は私の曾祖父が画家本人から贈られた水墨画の掛け軸です。
由来がはっきりしているし絵が描かれた時期も箱書きにあるので寄贈はすんなり行くだろう……と思っていましたがところがどっこい、そんな状態でも手続きに非常に時間がかかりました。
私の方の準備としてはまず家族全員の説得がありました。
学芸員の方から伺ったのですが遺言によって絵の寄贈が決まっていても相続人の誰かがごねて話が流れるというのはざらにあるそうです。
受け入れる方も色々大変なことがありまた過去にトラブル等もあったようで水墨画美術館では個人からの寄託は受けていないとのことでした。
家族を納得させたら次は受け入れ先の美術館探しです。
美術館によって集めている物の系統があり(例えば京都国立近代美術館では過去に賞を取った絵以外は要らないと言われました)やみくもに当たって砕けろよりも各美術館の特徴を調べた方が良いと分かりました。
そんなこんなでようやく水墨画美術館に辿り着き交渉して……1年くらいかかってようやく受け入れが決まったので風呂敷に包んだ掛け軸を担いで美術館に行ったのが3年前。
これが絵を持っていた時に渡された預かり書です。
この時点ではまだ寄贈したことにはなっていません。
受け取った絵を鑑定に出しその金額が500万円を超えていたら国から何かくれるとか何とか説明されましたがそんな金額になるとは思えないので聞き流しました😅
どうして美術館から鑑定に出すのに絵を受け取る(預かる)のにそんなに時間がかかったのか……はおそらく「本物」であることを美術館の方で確信出来ないと受け入れ出来ないからだと思います。
調べてみると、海外の話として出てきた例ですが、寄贈された絵が実は贋作だったという事件もあったようで……💦
鑑定にかけるにもお金も手間もかかるというシビアな面があるので仕方がないことかもしれません。
そしてまた1年以上経過し昨年ようやく寄贈手続きが終わりました。
寄贈先が富山県立水墨画美術館なので富山県知事よりお礼の立派な賞状をいただきました。
後は上記の預かり書を美術館に返却して寄贈品とその周囲をチェックしたら手続きの諸々は本当にお終い。
……ということでこのコロナ禍ですがどうしても現地に行く必要があったというわけです。
我が家と同じように美術品が押し入れに眠っているお宅もあるのではないでしょうか?
個人で最適な状態で美術品を保つには難しいものがあると思います。
美術品に造詣が深い人の相続人が必ずしも知識を持っているとも限りません(我が家はこのパターンです)。
もしその美術品が良いものであれば「人類共通の知的財産」として未来に残す為に美術館・博物館に寄贈するのもひとつの方法だと思います。
私の趣味のひとつは美術品の鑑賞ですがたまに展示してある絵にカビやシミの跡を見ることがあります。
入手して綺麗にしたものの取り切れなかったんだな~とその裏の努力を感じますが、せっかくの美術品、出来れば美しい状態で見たかったと残念に感じます。
そして思うのはきっと個々人の家で人知れず朽ちていく美術品が多いのだろうな~ということ。
日本でも海外でも一般家庭から名品が見つかったりしています。
【若冲の最初期の彩色画を新発見 京都・福田美術館】
https://www.sankei.com/west/news/191105/wst1911050035-n1.html
【台所で見つかった中世の名画、29億円で落札 フランス】
https://www.bbc.com/japanese/50205162
【屋根裏の絵はカラヴァッジョ? 予想落札価格180億円の理由を探る】
https://bijutsutecho.com/magazine/insight/19887
もしただで寄贈なんて嫌だと思われる場合には信頼出来る画廊にお任せするという方法もあります。
(銀座の加島美術はお勧めですので興味のある方は検索してみてください)
富山に向かった日は曇り時々雨でしたが北陸新幹線の中から白銀の北アルプス(長野県民に忖度♪)富山に着いてからも立山(富山県民に忖度♪)が美しく見えていました。
しかし旅行記にするのは掲示板が長くなりましたので最後に帰りの東京駅で偶然見かけたドクターイエローの画像を貼っておきます。
また美術館や博物館巡りを心ゆくまで出来る日が早く来ますように🙏
>> akoyo@🪷。.*ෆ🪷₊✼୭ さん
ご存知の通り只者ですよ〜🙄ただ曽祖父の友人が画家で絵をもらったという話なので。
明治大正の画家の作品のコレクターにはこれからそこら辺の美術ブームを仕掛けられるから持っていれば高くなる的なことを言われましたが絵が悪くなりそうだったので美術館に引き取っていただきました。
神戸市に住んでいた時に、年間パスポートを購入して
神戸市立博物館
に頻繁に足を運んでいました。
全部を一日で見ると、見終わったときに頭がパンパンになってしんどくなるので、特別展を何回かに分けてよく見に行っていました。
「今日はちょっと見足りないなぁ」くらいで終わっておくと、またすぐに行きたくなります。
東京で展示されたものが次に神戸によく来ていまして、個人的にはエジプト展が好きなので、その期間は暇さえあればしょっちゅういっていました。
建物自体も良く、周りの町の雰囲気もステキでした。博物館に行った後はランチやお茶を楽しむのが定番でした。
また行きたいなぁ。コロナで以前のように楽しめませんね。
>> Bu_ぷうたろう さん
美術館、博物館は行くと本当に足が疲れますよね。距離的にはそんなに歩いていなくてもずっと立ちっぱなしだからでしょうか。
年間パスポートも施設を応援するのに良い方法だと思います。
もちろん購入者自にも益があるので正にWin-Winの関係になるのでしょうか。
特別展も良いですし常設展も良い所が多いので気軽に行けるところに施設がある方は本当に幸せだと思います。
神戸市立博物館も良いと西宮に住んでいた友人が話していたのでいつか行きたいところです。
今の時期は特にあちこちに出かけられないだけにこの状態が終わったら行きたいところがどんどん増えていくばかりです。
本当にまた自由に行けるようになりたいですよね。
そんなに時間かかるもんなんですね。
勉強なりました。
>> niko6マーミー さん
そうなんですよ。美術館側としても受け入れまでに会議を開いたり等々受け入れ決定までには色々あるようでした。
来歴がはっきりしているからそんなに時間がかからないのではないかと思っていたのにとても時間がかかったと私は感じましたーーーが美術館の学芸員さん曰く決定までが早かった、と。
寄贈受け付け専用の担当者がいないから仕方がないことなのかもしれませんよね。
もうちょっと文化施設に予算をあげて欲しいな~~と美術館・博物館好きの私は思います。
寄贈される作品をお持ちだったとは凄いです🙌🙌.
見に行って来ようかな🤔
>> タケシ28 さん
たまたまです💦でも思わぬところにお宝があってひっそりと朽ちていっていることも……💧
昔旧家のお宅で子ども達がボールの的当てにしていた衝立が戦争中に疎開してきた画家に描いてもらったという絵でした。
無残なことになっていましたよ……
というのも、我が家にも僅かですが、それなりのモノがありまして、ゆくゆくはどうするか?地元の美術館で引き取って貰えるだろう、なんて簡単に考えていましたが、それなりのステップを踏まないといけないんですね。
勉強になりました。
ありがとうございます。
>> レギュラー33 さん
次はいつ公開されるか分かりませんが常設の方に展示されることもあると思います。辰年に展示される可能性もあるかも?
我が家にあった時よりも綺麗にされていますから機会があったら見てやってくださいませ😊
>> HAYA さん
絶対そういう方がマイネ王の中にいらっしゃると思っていたので投稿して良かったです。私も寄贈なんて簡単に出来るだろうと思っていたので手続きのあれこれには驚きの連続でした。
でもようやく美術館に納めることができてほっとしています。
叔父叔母にも事後報告で寄贈したことを伝えましたらとても喜んでもらえました。
大事な物だからこそ然るべきところで保存してもらいたいと思いますよね。
(美術館との交渉が上手くいかない時には最後に書いた加島美術に持ち込むつもりでした)
寄贈の手続きがこんなに大変とは知りませんでした。が、まず冨田溪仙作品がおうちにあるって凄い!
観るのは好きですが自分も周囲も現物とはとんと縁がないので、知らない文化財の世界、寄贈の手続きについて興味深く拝見しました。
文化財は失われたら取り返しがつきません。また次に受け継ぐ誰かからの預かり物という話しを聞いたことがあります。文化財について造詣の深いnoelさんだからこそ大変でも作品を後世に伝えるべき最良の手続きをされたのだと思います。お疲れ様でした。
そしてなんと!富山に行けばnoelさんちにあった観音様に会えるかも?!富山県立水墨画美術館、とても素敵な所ですね。また気楽に旅行が出来るようになれば是非訪れてみたいです。(行く前に展示作品をチェックですね(≧∇≦♪)