もしマイパソコンがB-TRONだったら…
最近マイパソコン(Windows10バージョン20H2)のアップデートが実施されたが、マウスのスクロール機能が不良になって、自分のデバイスだけの問題と言い聞かせつつも、このWindows Updateで、どれほどの人が良くなったと実感しているのだろうかと考えてしまう。
皆さんは、如何ですか?
マイクロソフトが『MS-DOS』OSで幅をきかせ、このOSを組み込み『PC98』シリーズとしてNECが成功を収めていた1983年頃、東大助手の坂村健さんが『TRON』(リアルタイムで機器を作動させるOSの中心部分)という考えを提唱し、独自のOS開発プロジェクトを開始されました。
この方のすごいところは、当時すでに
「電球から人工衛星まで、あらゆるものにコンピュータが入り込み、ネットワークでつながる」と予想したことです。そして、これらのコンピュータの動きを統一するために、OSを標準化させるというビジョンを提示されました。
その中で、パソコン向けのOSとして、『B-TRON』を松下電器(今のパナソニック)と共同して開発し、今では当たり前のマウスを使ってアイコンをクリックしソフトを起動する方式を実現し、これを学校教育用パソコンの標準OSとして、導入が検討されていたことがニュースで大きく取り上げられていました。
当然、『MS-DOS』パソコンで学校教育用パソコンに参入したいNECは、当初反対の立場でしたが、劣勢変わらず最終的には、両方のOS で動くパソコン作る方向で合意し、日本国内の小学校教育用パソコン導入が決まりかけていました。
時は日本の経済力が急激に伸び、アメリカの対日貿易摩擦が表面化していた頃、出鼻をくじくように、1989年にアメリカが『スーパー301条』(アメリカ製品の輸出を妨げる不公平な貿易の国と政策を特定し、一定の交渉期間内に満足できる成果が得られなければ、関税引き上げなどの報復措置をとる強権措置)に引っかかると、『TRON』を名指してきました。(この措置の裏に、あのソフトバンクの孫正義氏の関与が噂されましたが、これについて気になる方は、ご自分でググって頂くとして、詳細は触れません。)
これに対して、国政は全く『TRON』を擁護する立場も見せないまま、1年後には、『B-TRON』を組み込み予定だったメーカー100社近くが手を引き、アメリカはこれを待ってたように制裁対象から『TRON』を外し、学校教育用パソコンも当然『MS-DOS』搭載パソコンが導入。
こうして、『B-TRON』搭載パソコン誕生は潰されました。
それでも、坂村健さんはOSのライセンス量を求めることなく、研究者として貫かれ、そのお陰で『I-TRON』という組み込み系OSが、私たちがいわゆる『マイコン』と簡単に口にしている形で、生活家電や産業ロボットなどに多く使われるようになりました。
これは正に、坂村健さんが「仕様を無償で公開し、誰もが自由に入手し、自由に変更しても良い」とされた、絶対フリーの賜物!
Windows OSの愚痴から始まってながなが書いてしまいましたが、もし幻の『B-TRON』OSパソコンがあったらと思わず心がざわつき、坂村健さんという素晴らしい研究者がおられることを知っていただける機会になればと書いてしまいました。
最後まで読まれた方、ありがとうございます。
ファーウェイもそんな感じがしました。
組み込みシステムに使われているんですね。良かった。
だから根拠なき陰謀の噂を本当のように今でも語り継ぐ輩がいるのでしょう
トロン根源OS的には組込OSで成功しているので、それで良いと思います
当時、日本政府に先見の明があれば、MS-Windows、MacOS、B-TRONで少なくと競争はできたと思うのですが……。
まあ、日本政府のデジタル音痴は今も続いていますから、ifが実現したとして、21世紀の現在に、パソコンに使われているかは何とも言えませんね……。
もし、日本政府がデジタル音痴で無かったら、きっと……。どうして我が国はこうなったんでしょうね……。
裏でアップデートしてるルーターのアクセスランプが一日中点灯しっ放しで、パソコン通信もまともに出来ない環境のシステムなんぞ必要無い!
ま.どこが儲けたかの違いだけでしょうし。
政府が、というより当時違法コピー全盛で多くの日本人が易きに流れていた結果だと思います。
規制が厳しくなり、ちゃんと対価を払うようになった(払える価格に下げた匙加減も絶妙でしたが)頃にはもう独占状態でしたしね。
これでTRONより善戦していたCP/MやOS/2も止めをさされた感じでしたし。
コンセプト・モデルハウスは今も継続されていますね。
※しかし年取ったなぁ…
https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/feature/00030/092300018/
>> 1953生まれ さん
Linuxディストロの方がアップデート少なくて安定してますね。Terminalでの操作だとサクッと終りますからね。今の所、順調です。
BTRON仕様のOSってこんな感じですわ。
簡単に言えば、文章や図形中などに別のファイルを自在に貼り付けることができるというのが一番の特色かな。Windowsとかのファイル構造と違って自在に入れ子にできる。簡単に言えばハイパーテキスト構造みたいな。ウェブページのリンクみたいなのを簡単に掴んでポイでファイルを文章中などに入れることができるみたいな。
こういうところは今でも面白いけど、結局、一般ユーザー受けするような方向とは違ったので…
でも、さすがに時が流れてお年を召しましたね。
今でもTRONをがんばっていらして、応援したいですね。
※パーソナルメディアさん(TRON商用版の『超漢字』発売元)も
その辺りは熟知していたと記憶してます。(詳細は割愛)
そもそもファイルのIDなどが固定長で拡張不能だったり、
当時の 16bit CPUのハードウェア向けにしか作られて
いませんでしたし、それ以降の CPUへ対応させるには仕様の
再策定・再設計が必要でしたので。(遠い目)
個人的には「面白いOSだなあ」とは思いましたが、あれをそのまま教育用 PCの OSにしてしまったら、それこそ基本情報(情報処理試験の基本情報技術者試験)でしか使わなかった CASLと同じ運命になったでしょうし、それこそ「海外と互換性が取れないガラパゴス」とか言われていたかもしれないです。
こういうものには『たられば』を持ち込むのってナンセンスかもしれないですけど、文字コード一つとっても Unicodeに対応できなければ現状の Androidやら iOSの開発環境にすら出来なかったでしょうし、当時の設計で進んでいたら「きっと参入障壁だ!」とさらに燃え上がっていたかもしれないです。
追伸:
もっというと DOS/Vとかも IBMから生まれることは
なかったでしょうし、西川和久氏が DDD(Diskplay Dispatch Driver)とか
書かなかったでしょうね。
歴史を振り返ってみると面白いものだと思います。
(ついでに IMBの OS/2開発戦略なども色々変わっていたでしょう)
>> ばななめろん さん
なるほど!より深い部分まで掘り下げていただき、視野が広がりました。
ありがとうございます。
>> ばななめろん さん
概ねそのとおりでしょう。当初、BTRON仕様のOSは16bit版だけでしたが、その後32bit版のBTRON仕様のOSが開発され超漢字Vという製品が発売されています。http://www.chokanji.com/が、ファイル数の制限がそのままだったり。
「実身・仮身」というネットーワーク状のファイル構造やTRONコードという文字コードやTADというデータフォーマットとかは今でも考え方自体とてもおもしろいと思うのですが、仕様ありきで、売れるものを作るという考え方が欠けていたのが最大の失敗でしょうねえ。
BTRON仕様のOSが出た当時は「アプリケーションの互換は捨てる」と言っていたので、その当時のMS-DOSやWindows3.1などの有名所のアプリを開発していたベンダーが乗り気でなかったことも大きいでしょう。
。
お陰で、私が知らなかったパーソナルコンピューターとして主流にはなり得なかったであろう由縁~既成のOSとの互換性や16bitの縛り、他OSの進化と大きく溝が空けられた状態~に気づく事ができ、大変勉強になりました。感謝いたします。
(礼)
願わくば、Windows Updateがもう少し安定したものになり、更新毎に古いファイルを残したまま、ストレージを肥大させるのを少しでも減らして欲しいものですね。
>> Y. Daemon@ポリアモラス さん
ファーウェイに何の新規性が?共通点がまるで見出せません