その昔のオーディオアンプの特異なクレーム

随分昔のオーディオコンポ華やかなりし頃の話。

オーディオアンプの電源が入らないとカスタマーセンターに入電。

プラグは差し込まれていますかと確認したところ、電源コードがないとの返事。

まさかそんな事があるはすがない、と何度も遣り取りしたが、やっぱりコードそのものがないと言う。

窓口をテクニカルセンターへ移して、音の検査もしているので、とても考えられませんと又も遣り取り。

顧客もさすがに怒り始めたので、やむなく現地で現物を確認する事に。

行ってみて、唖然となる。

本当に電源コードが根元からない。
引きちぎったのでなく確かに最初から付いていない。

平身低頭謝って、原因調査の為に持ち帰り。

調べた結果、出荷前検査で軽微な不良が見つかって、一旦ラインから降ろし、手直し作業台で、人海戦術で手直し〜手梱包した際に、近くに置いていた不良品を誤って混入させてしまったという事が判明。

現在では保留品・不良品の識別管理、置き場の管理が徹底されて、このような不良品の流出の仕方は考えられないが、その昔実際にあった話である。

当時、この有名な音響機器メーカーに出入させて貰っていて、そんな事がある筈がないクレームを起こして謝罪に行き、逆にこの話で慰められた時の懐かしくも苦い思い出の話である。