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元世界シェア3位。日本最後の砦「Xperia」の魅力をファン歴13年のイオシス名物広報に聞いた

元世界シェア3位。日本最後の砦「Xperia」の魅力をファン歴13年のイオシス名物広報に聞いた

辰井裕紀
ライター: 辰井裕紀
ガジェット・ローカルネタ・卓球が好きなライター。過去に番組リサーチャーとして秘密のケンミンSHOWなどを担当。

いわゆる「ガラケー」時代は、先進的な端末を作っていた日本メーカーも、スマホ時代には出遅れたまま経営が行き詰まるケースが多く、各国内メーカーがスマホ事業からの撤退を余儀なくされました。

AQUOSシリーズで知られるシャープは台湾の鴻海精密工業に子会社化されているため、工事現場用などで扱われるタフスマホ・TORQUEなどを除けば、純日本の会社で個人用端末への目立った展開を続けているのは、実質的に「ソニーのXperiaシリーズ」だけと言われています。

かつては世界的に人気を博し、実はシェア3位だったこともあるXperia。最近は海外製の端末に若干押され気味ですが、今でも一部の人々には熱狂的に支持されています。

・「連続ズーム」などの画期的技術や、デジタル一眼カメラシリーズ「α(アルファ)譲りのオートフォーカスのカメラ
・ウォークマンの技術が使われた、高音質・迫力のサウンドシステム
・探す機能の有効化や自動バックアップ設定を行う
・その他ソニー各部門の技術の数々をもち、潜在能力最強(?)と言われることも


などなど、純日本メーカー「最後の砦」ゆえの魅力ある端末とも語られ、ガジェットYouTuber・ブロガーでは激賞する人も見られます。

そして、以前取材でお世話になった、中古スマホチェーン店・イオシスの広報担当およびSNS担当の方が、Xperiaを長らくメインスマホとして使っているファンだったのを思い出しました。

ならば、その魅力を聞いてみたい。

そこでイオシス アキバ中央通店へ。たくさんのXperiaが店頭に並びます。

長年イオシスに勤め、Xでもユニークかつマニアックに安売り情報を発信している名物広報さん(@iosys_official)。その彼に、匿名かつ顔出しNGながらも取材に応じていただきました。

イオシス広報
元々「型破りな発想」をするソニーのファンで、Xperiaは2013年当時の最上位モデル、Xperia Zから使っています!

※取材は「Xperia 1 VII」発売前の2025年5月に行いました。2025年7月に当該機種に不具合が見つかり公開を保留していましたが、原因の究明と再発防止策が実施され、2025年8月より販売再開されています


軽くて独自性のあるスマホ

辰井
まず中古市場では、Xperiaは売れていますか?
イオシス広報
当店での販売シェアは高いですよ。ずっと注目されているのを感じます。Xperiaのハイエンド機はやや高額ですが、型落ちの中古・未使用品を「高いと思っていたスマホが安くなっている」と、お客さまがお求めになります。
辰井
たしかに、Xperiaには「かつて憧れていた機種」もあるので、安くなると目立ちますね。

(2025年5月現在の価格)

イオシス広報
ファンからは長く愛される存在でして、大量入荷で安く出した時の売れる爆発力は、Xperiaが一番です。
辰井
イオシスで売れているXperiaの機種はどれですか?
イオシス広報
今だと2022年発売の「Xperia 1 IV」のドコモ版の未使用品がかなり売れています。2023年発売のXperia 1 Vは5月中旬の時点で未使用品が13万ぐらいするので、OSのアップデートが終わっていても、割安な前作を買われる方が多いんです。

(2025年5月現在の価格)

辰井
軽いのもいいですね。性能のいいハイエンド機種で187gは、今や珍しい。
イオシス広報
現行機種も軒並み200gを切っていますからね。
辰井
それにしても、やたら縦長でキレイなディスプレイですね。

イオシス広報
はい、「Xperia 1」から導入された、世界初の4Kの21:9ディスプレイです。映画館とほぼ同じ画面比率で映像を流せますし、上下で別の画面として使うのも容易ですよ。

Xperia 1」は他にもミラーレスカメラ「α」譲りの瞳オートフォーカスが導入されるなど、革命的な一台だった

イオシス広報
Xperia 1シリーズでは、Ⅵから一旦廃止されましたが、その代わりバッテリー持ちが飛躍的に向上していて、「iPhone超え」との評価も見られます。

「ウォークマン」代わりにサブ機で使う人も

辰井
Xperiaを欲しがるのは、どんな方が多いですか?
イオシス広報
メイン機種としての需要のほか、サブ機としてのニーズも高いです。サブとしての性能は十分ですし、音楽プレイヤーとして持つ方も多いようです。

(2025年5月現在の価格)

辰井
音楽のためにXperiaを?
イオシス広報
はい、楽プレーヤーとしてはiPhoneより上だと思います。今では希少なイヤホンジャック搭載機で、BluetoothコーデックもLDACなどの高音質規格に対応しているので、好きなイヤホンを選べますからね。音音楽に対するこだわりがソニーはひと味違う。
辰井
そんなに違うのならXperia、欲しくなってきたかも……?
イオシス広報
iPhone 16 Proも持ってますがXperia 1 Vの方が断然好きな音を鳴らしてくれますね! まあ、バイアスが掛かってるかもですが(笑)

Xperia XZ SO-01J(Photo by Mytho88

イオシス広報
ちなみにイオシスのXperia史上で最も売れた「Xperia XZ」は、多くの法人さんで使われていたモデルです。それが安く中古市場に入ってきた際、ウォークマンとしての需要などで、iPhoneユーザーがサブスマホにすることも多かったです

microSDカードスロット・イヤホンジャックを今も搭載

辰井
Xperia 10 VI」はmineoでも5月現在、販売機種にラインアップしています。人気はいかがですか?

(2025年5月現在の価格)

イオシス広報
売れています。ディスプレイのリフレッシュレートは60Hzなど、同じ中価格帯のスマホに比べてスペックで先を行かれる部分もありますが、
多機能でバッテリーの持ちが良く使い勝手はいいです。
辰井
長く使えそうですね。
イオシス広報
これも21:9の画面なんですが、横幅がスリムなので僕みたいに手が小さくても持てるんです。
辰井
確かに、すごく持ちやすいですね。

「X(旧Twitter)をするときも見やすい」と語る広報さん

辰井
ミドル・エントリー機(中・低価格帯)のXperiaには、どんな特徴がありますか?
イオシス広報
海外スマホと比べて少し値が張る分、「優等生」ですね。使いやすさを最も重視している印象です。Androidそのままの操作感に近いため、素直で使いやすいと思う人も多いはずです。
辰井
イヤホンジャックや、microSDカードスロットもありますね……! 国産スマホに多い、「おサイフケータイ」機能もありますし。

Xperiaは価格帯を問わず、イヤホンジャックなどの端子を搭載し続ける

イオシス広報
防水防塵機能も付いていますし、日本人好みの機能をそろえて、中高年の方々にも使ってもらおうとしているのでは、と思います。
辰井
海外メーカーのスマホが強い分、京セラのタフスマホ「TORQUE」と同様に、ニッチな戦略を迫られているわけか……ただし、日本は高齢化社会ですし、ボリュームゾーンではありますね。
イオシス広報
「ソニーは国産メーカーだから安心できる」という方も少なからずいるんですが、まさに海外メーカーのスマホと棲み分けができているんです。

かつては世界シェア3位の人気スマホだった

2012年ごろは、ソニーのシェアがGalaxyのサムスン、iPhoneのアップルに次いで3位だったこともあると知りました。そもそもなぜ人気だったんですか?

1位:Samsung (32.0%)
2位:Apple (15.5%)
3位:Sony (5.1%)
4位:HTC (4.8%)
5位:RIM (4.2%)
(Canalys社による2012年7~9月期のスマートフォン出荷台数の調査結果)


イオシス広報
スマホの黎明期で、メイドインジャパンのソニーブランドが世界的に強かったんです。当時クラブワールドカップ観戦で訪日した日系ブラジル人の方が当店でXperiaを買っていくこともありました。
辰井
現在の世界シェアは1%未満とも言われていますが、なぜシェアが低下したんですか?
イオシス広報
まず、コスパのいい海外メーカーの端末に押されたことです。
辰井
他の日本メーカーと同じで、安さにやられたんですね……!
イオシス広報
世界シェアに直結するエントリー機(廉価機)にあまり力を入れていなかったようで……。質のいい廉価スマホを途上国に向けて積極的にアピールしていれば、シェア上位を維持していた可能性もあったと思います。
辰井
なぜエントリー機を売らなかったのですか?
イオシス広報
推測になりますが、目線が国内に向きすぎていたからかなと。日本でスマホの割引規制がなかった時代は、ハイエンド機を売りさばきやすかったので、そちらに注力し過ぎた。で、後にそれもできなくなり、エントリー機のXperia Aceシリーズを出したんだと思うのですが、時すでに遅し...…という感じじゃないでしょうか。

2022年発売のXperia Ace III

辰井
日本のスマホ販売の事情が関係していたんですね。
イオシス広報
あと、Xperiaは小さなスマホを充実させていたんですが、世界的には大きいスマホの方が需要があったんです。
辰井
今やiPhoneも6インチ以上のスマホしか出さなくなりましたしね。
イオシス広報
6.4インチと、2014年当時としては規格外の画面の大きさだった「Xperia Z Ultra」のような路線を伸ばしていければよかったんですが。

イオシス広報
また、実はこれらのXperiaの方針の多くは、日本という特殊な市場に従ったあまりの苦肉の策で、それによりグローバルへの対応が遅れてしまいました。他の国内メーカーもそうだったんですが、ソニーは母体が強いので生き残っているのだと思います。

現実的な機能が充実し、デザインがいい

辰井
そんな中で広報さんが、Xperiaを使い続けているのはなぜですか?
イオシス広報
最近の他のスマホが出す、「派手な機能」にそれほど魅力を感じないんです。例えば、カメラの望遠性能が飛躍的にアップしていますが、日常的にそれほど使いませんし。
辰井
たしかに100倍ズームもなかなか使いませんね。

イオシス広報
100倍ズームはコマーシャル用の機能ですよね。多くの人にとってカメラはそこそこキレイに撮れれば十分ですし、各機能は一定のレベルで使えればいいので。
辰井
現実的な機能が一通り充実していればいいと。
イオシス広報
はい、そうなると優先するのはデザインやメーカーの好みですから。私も13年間Xperiaを使っているので、とにかく身体に使い勝手が染み込んでいますし、個人的に一番好きなデザインです。
辰井
たしかにデザインはソニーらしく、工業製品としての美しさがありますね。
イオシス広報
海外のエントリー機は派手なデザインのスマホが多く、若年層には受けが良いですが、年配の方だと敬遠されることも。その点、Xperiaのデザインは落ち着いていますからね。

辰井
私は中国スマホの代表格、Xiaomi 14 Ultra(シャオミ)を持っていたんですが、正反対のパワフルなデザインですね。

筆者も所有していたXiaomi 14 Ultra。飛び抜けたカメラ性能を誇るとともに、上部にあるカメラの存在感の大きさは賛否両論ある

イオシス広報
海外のスマホはだんだんカメラが大きくなっていますよね。さらに中国の方は派手なデザインを好む傾向がありますので。

真の実力が発揮されればiPhone超えも!?

辰井
最新モデル「Xperia 1 VII」も、なかなかオンリーワンのスマホですよね?

●他社が手薄の「超広角カメラ」の大幅強化
●動画の構図をAIに任せられる「AIカメラワーク/オートフレーミング」
●ウォークマンの技術を使った「有線イヤホン接続時の高音質化」を実現

など、他社ではあまりない新機能が目白押しです。

イオシス アキバ中央通店のXアカウントのポストより

イオシス広報
はい、今回ソニーファンを惹きつけるために……

●ブラビア(テレビ)
●ウォークマン
●α

と、今まで以上に各ブランドの技術が備わっていることも強調されていますね。

イオシス広報
ソニーは「各ブランドで別会社のよう」「なかなかそれぞれの技術を結集できない」などと言われていました。ですが、Xperia 1が出たときはαの部門のトップがXperiaを作るエース的存在になり、「Cinema Pro」というアプリが入って映画のような映像が撮れるようになるなど、協業が進んでいました。今回の最新モデルでは各ブランドを強く押していたので、だいぶ社内の協力を得られてきたのではないでしょうか。
辰井
もし、ソニーがもつ各ブランドの協力関係が完璧になったら、まだまだ世界でも通用しますか?
イオシス広報
もしも完璧な協力態勢になって個々の技術が結集すれば、100%勝負できますし、iPhoneを超えられるとも思います! まあ、ひいき目に見てもめちゃくちゃハードルは高いと思いますけれども……。
辰井
Xperiaの復活劇はありますか……?
イオシス広報
巻き返しがあると信じていつまでも夢見続けますよ! Xperia 1登場時もそうでしたが、何が出てくるかわからない、「何か以上」を期待させてくれる唯一のブランドだと思っているので!

編集:ノオト


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12 件のコメント
1 - 12 / 12
使いやすい人気機種であっても、採算性によってメーカーさんが、撤退されて手に入らなくなるのは残念ですね。中古で購入しても、OSのバージョンが古くて、対応できないことがあったりで、なにか良い進化の方法が見つかればと願います。ためになる記事、ありがとうございます。
Xperiaレポートありがとうございます。
android端末がそろそろ替え時なので、Xperiaも良さそう。音が良いならサブ機で使いたいです。
電子立国日本が、衰退して、寂しいですね。
ソニー
シャープ
頑張ってね。🙋
昔は3機種使った事があるがデザイン優先の造りで発熱が酷く、夏場は数分で強制的にクーリングモードとなって画面が暗くなり速度ダウン。逆に冬場は手が暖まり便利だったのでXperiaカイロと言われてましたね(笑)

今は夏場でも使えるのなら回帰したいかも。
画面を消すのに、毎回、電源ボタンを押し込むスマホは、電源ボタンの劣化が早いです。
有名なシャープとソニーのボタンで消す仕組みを変更するまで、オレが使う事は無いでしょう。
気の利いたスマホは画面を2回タップで消してくれます。
多くのXperiaはインカメラが画面から独立しているため、多くのスマートフォンで見られるようなカメラによる画面欠けがありません。
私もソニーファンです。新製品の不具合が出て、今はまだ様子見ですが、またソニーのスマホ📱に戻って使いたいですね!パソコンもソニーを使っています。国内メ-カを応援したいです。
「日本メーカー最後の砦」と呼ばれるXperiaの立ち位置と、その独自の魅力がよくわかる記事でした。
トレンドのスペック競争に走らず、イヤホンジャックやSDカードといった実用的な機能を守り続ける姿勢は、音楽ファンや玄人層に刺さる大きな武器です。ソニーが持つ「α」や「ウォークマン」の技術が完璧に融合すれば、iPhoneを凌駕する可能性さえ感じます。今後も型破りな発想で、我々をワクワクさせてほしいです。
いやいや、SONY自体がとうの昔に外国企業とみなすしか無くなってしまっているわけで。
かつては、理系文系ともに入りたい企業のトップを独占し続け、いわゆる優秀な人材で固めた結果、滑稽にも傾いてしまったというお粗末😆
SONYのXperiaはガラケーの時から愛用していました。
とにかく、カメラ性能がダントツに良かった事を記憶しています。
他のメーカーの画像はボンヤリしてるのに、とてもシャープで鮮明なので感動しました。
テレビもSONYのBRAVIAをず〜〜っと愛用しています。
因みに、新しいテレビを買いたいのに、ぜんぜん壊れないので、25年前の32型をまだ現在も使っています〜〜〜。
デザインは最近の機種にはない、画面の下部分がスピーカーになっています。
低音もしっかり出るし、画像もとても綺麗なので、不満はありませんが、次は大きな画面のBRAVIAに更新しようと思ってます。
純粋な日本メーカー唯一の星なので、これからもSONY一筋で行こうと思っぃてます。
他はコスパを気にして他社に移ってしまいましたが、カメラだけはずっとSONY使ってますし今後もSONY買います
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