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【プロが解説】iPhoneのバッテリー交換は意味がないってホント?  交換時の費用やタイミングの目安も紹介

【プロが解説】iPhoneのバッテリー交換は意味がないってホント? 交換時の費用やタイミングの目安も紹介

湯浅顕人
ライター: 湯浅顕人
PC・ガジェット・AV機器などの解説や評価を行なうフリーライター。趣味は旅行・キャンプ・登山・海の沖のほうで泳ぐこと。

フリーライターの湯浅です。

先日、友達に「iPhoneのバッテリーがすぐ切れて困っている」という相談を受けました。そこで「バッテリーを交換したら?」と言いかけたのですが、本体を見るとかなり古い機種でした。これにお金をかけてもなあと思いつつも、機種変更となると10万円くらいはかかってしまいます。それに見合う効果はあるのか…。

そのとき思ったんです。
「機種変更がよい場合と、バッテリー交換のほうがよい場合の違いって何なのだろうか?」

そこで、YouTubeチャンネル「ためになるAppleの話」を運営されているTakaさんにお話を伺いつつ、iPhoneのバッテリー交換について調べてみました!

※本記事の内容は2025年5月時点の情報です

Apple認定資格を保有するYouTuber
Taka
登録者数18.3万人超えのYouTubeチャンネル「ためになるAppleの話」を運営。Apple認定のサポートプロフェッショナル資格(ACSP)を活かして、Apple製品のレビューや活用のノウハウ動画などを発信している。

1. iPhoneのバッテリー交換は意味がない?

結論からいうと、iPhoneのバッテリー交換は「意味がある場合」と「意味がない場合」の両方があります。重要なのは、「自分がどちらに該当するのか」を見極めることです。

1.1. バッテリー交換の意味がある場合

ズバリ、バッテリーの満充電の容量(最大容量)が減っている場合、バッテリー交換をする意味があります!

そもそも、iPhoneのバッテリーがすぐ切れるようになるのはバッテリーは充電を繰り返すうちに「満充電時の容量」(最大容量)が減るからなんです。

本来、満充電時に「100」となる容量が、何度も充電するうちに劣化して、満充電しても「60」までしか充電されなかったりする。そのため、満充電してもすぐにバッテリーが切れてしまうのです。

このような場合にバッテリーを新品に交換すれば、再び「100」まで充電できるようになります。

1.2. バッテリー交換の意味がない場合

一方で、バッテリーを交換しても意味がない(バッテリー駆動時間が改善しない)場合もあるんです。

バッテリーが劣化していない

先に書いたように、バッテリーが劣化して満充電の容量が減っているような場合は、バッテリー交換で「元の容量」に戻せますが、新品の状態より増やせるわけではないのです。

バッテリーの劣化具合は、「設定」アプリの「バッテリー」画面で確認できます。たとえば「65%」と表示されている場合、満充電で10時間使えていたものが、同じ使い方でも6時間半程度しか使えなくなっているということです。

Takaさん
『バッテリーの持ちが悪い』、と感じ、満充電の容量が新品同様だったり、せいぜい95%だったりするにもかかわらず交換してしまう方がいます。しかしその原因は、使用状況に対してバッテリー容量が足りていないだけであるため、交換しても使用時間は増やせません。

性能が高すぎるアプリを使用している

新しく負荷の高いゲームを使用していたり、写真や動画を頻繁に撮ったりするような、スマホへの負担が大きい使い方をしていると、バッテリーの減りが早くなります。

これは単純に消費量が増えているだけなので、バッテリー交換をしても使用時間は増えません。

Takaさん
「買ったときは長く使えたのに、最近すぐバッテリーが切れるようになった」と思われがちなんですが、実はそうとも限りません。「使い方が変わった」という場合があるからです。

特に4月などライフスタイルが変わる時期は、写真を撮ったり、新しいアプリをいれたりすることも多く、「バッテリーの減りが早い!」と感じる人が増えがち。実際は、バッテリーの消費量が増えただけということもあるので、スマホの使い方が変わっていないか見直してみるとよいでしょう。

iPhone本体に不具合がある

iPhone本体や設定、アプリなどの不具合でバッテリー消費量が異常に増えてしまっているような場合は、バッテリーを新品にしても消費量は変わらないため、切れやすい状態が続きます。

2.バッテリー交換のメリット

バッテリーが劣化したiPhoneを、機種変更ではなくバッテリー交換する場合のメリットは、主に以下の4点です。

  • バッテリー駆動時間の回復
  • コストが安く抑えられる
  • データの移行の手間がない
  • 気に入っている機種を使い続けられる

バッテリーの駆動時間が伸びるのは大前提として、機種変更に比べて安くすむというのは大きなメリット。新しいiPhoneを買うとなると、安い機種でも10万円前後かかってしまいます。しかしバッテリー交換なら、1~2万円程度ですみます。

また、機種変更のようにデータの移行が必要ないのも嬉しいポイント。現在では比較的容易になりましたが、それでも面倒なものです。

そのほか、気に入っている機種を使い続けられるのも利点。たとえ古くても、デザインや使い勝手を気に入っている場合、手放したくないという方もいるでしょう。

Takaさん
「バッテリー交換では、基本的にデータが消えることはありません。しかし万一にそなえて、データのバックアップをしておくことをお勧めします。」

3. iPhoneのバッテリーを交換する方法

さて、いろいろ考えた結果「バッテリーを交換しよう」と判断した場合、どのような方法があるのでしょうか。

3.1. 「Apple Store」で交換する

Appleの公式ストアである「Apple Store」では、もちろんバッテリー交換を受け付けています。
料金は、以下の通りです。

対応機種交換料金(税込)
iPhone SE(第2世代、第3世代)/7シリーズ/8シリーズ11,200円
iPhone XR/11シリーズ/12シリーズ/13シリーズ14,500円
iPhone 14シリーズ/15シリーズ/16e/16/16 Plus15,800円
iPhone 16 Pro/16 Pro Max19,400円

Takaさん
バッテリーを交換するにはApple Storeに持ち込む必要があると思われがちですが、実は配送による受付も行っています。だいたい数日で戻ってきますよ。

お店に持ち込むメリットは、他に故障が見つかるなどしないかぎり、当日のうちに受け取れることです。作業自体はだいたい1時間半程度で完了します。混雑していることもあるので、予約しておくといいでしょう。

3.2. 「Apple正規サービスプロバイダ」で交換する

Apple公認の修理店が「Apple正規サービスプロバイダ」です。近くにApple Storeがない場合でも、ここに行けばバッテリー交換をしてもらえます。
料金は店舗によって変わるため、直接お店に問い合わせましょう。

Takaさん
Apple 正規サービスプロバイダは、使用するバッテリーが正規品なのはもちろん、工具やマニュアルも正規品を使用しています。Apple Storeとまったく同等のクオリティでバッテリー交換をしてもらえるお店です。

3.3.キャリアで交換する

キャリア(電話会社)によっては、そこで購入したiPhoneのバッテリー交換を受け付けている場合があります。交換可能なショップがApple Storeより近くにあるような場合に便利です。
交換費用はApple Storeに依頼する場合とほとんど変わりませんが、キャリアが独自に設定している補償サービスなどによって変わることもあります。

■ドコモ
持ち込みによるバッテリー交換を引き受けており約1週間~10日で完了します。また、丸の内(東京都)と名古屋栄(愛知県)の「iPhone/iPadリペアコーナー」では、持ち込みによる店頭即時交換を受け付けています。

■au
auではバッテリー交換を受け付けていないため、Apple StoreまたはApple正規サービスプロバイダに依頼する必要があります。

■ソフトバンク
持ち込みによるバッテリー交換を引き受けています。預かり交換の場合には1週間~10日かかりますが、全国5店舗のショップでは店頭での即時交換も可能です。


3.4. 一般の修理店で交換する

Apple公認でない修理店でも、バッテリー交換を受け付けているところがあります。Apple 正規サービスプロバイダに比べて店舗数が多いため比較的近場で見つけやすく、交換費用も安価な傾向があります。

4.どこでバッテリー交換するのがいいのか?

バッテリー交換ができる場所はいくつかあるものの、結局どれがいいのか…。そんな悩める人のために、Takaさんに結局どこでバッテリー交換するのがよいのか聞いてみました!

ライター
近くの店でできて安いのであれば、バッテリー交換くらいはApple公認ではない修理店でも良いのではと思ってしまいそうです。実際のところどうなのでしょうか
Takaさん
バッテリー交換を、乾電池の交換のように考えてしまうと、『電池くらいノーブランドでも良いか』と判断してしまうかもしれませんね。

しかし、iPhoneのバッテリー交換とは、バッテリーだけでなく周囲の制御部品やコンピューターなども含めた部品を交換しています。そのため、Appleの正規品を使わないと正常に動作しないだけでなく、トラブルの原因になってしまう可能性すらあるんです。
ライター
バッテリー交換って複雑なのですね。ということは正規品じゃないバッテリーに交換した場合、iPhoneを壊してしまう可能性もあるということですか?
Takaさん
その通りです。Apple公認でない修理店で、たとえばバッテリー交換の技術しかないと、交換作業中に他のトラブルがあっても発見できなかったり、発見しても対処できなかったりする可能性があります。Apple StoreやApple正規サービスプロバイダであれば修理全般の技術を持っているため、そういった場合にも対処できるのです。

たしかにApple StoreやApple正規サービスプロバイダより安く交換できるお店もありますが、その差額は数千円程度です。もしバッテリー交換の失敗が原因でiPhone本体に問題が発生した場合、修理費用は高額になる可能性があります。そのリスクと差額を比べると、個人的にはApple StoreやApple正規サービスプロバイダが良いのかなと思います。

5. 【プロが本音で解説】バッテリー交換・機種変更どっちがいい?

バッテリー交換の意味がある場合とそうでない場合、どちらもあることがわかりました。
そこで、最初の疑問に戻りましょう。

具体的にどんな人がバッテリー交換を選択すべきで、どのような人が機種変更を検討すべきなのでしょうか?Takaさんの本音を聞いてみましょう。

ライター
コスト面から考えると、バッテリー交換が約1万5000円程度、機種変更は10万円以上かかります。「できればバッテリー交換ですませたい」という人も多そうですね。
Takaさん
現在使用している機種を使い続けたい理由がある人や、新しい機能にまったく興味がないという人は、バッテリー交換でいいのかもしれません。
ライター
一方で、あまりに古い機種だと、バッテリー交換の費用をかけるのももったいないようにも感じます。「この機種であれば機種変更のほうがいい」という判断基準はありますか?
Takaさん
iPhone XSが目安になるかと思います。iPhone XS以前の機種であれば、機種変更したほうが良いんじゃないですかね。個人的には、iPhone 11であれば、もう一度バッテリー交換をしてから、そのあと機種変更するのが良いと思います。
Takaさん
「ひとつは、iOSのサポートがまもなく終わる機種は、バッテリー交換はせず機種変更を検討するのが良いでしょう。

そのほかの目安として個人的には、『バッテリー交換を1回やって、そのバッテリーが劣化したら次は機種変更』という考え方を推奨します。バッテリーの最大容量が80%くらいまで劣化するには、通常2年程度かかります。

そこでバッテリー交換をして、さらに2年使用する。合計4年間使用したら、機種変更していいのではないでしょうか。」
ライター
iPhoneはほぼ毎年新機種が発売されるため、ご自身の利用状況や予算に合わせて機種変更のタイミングを検討するイメージですね。
Takaさん
その通りです。iPhoneは新機種が出る度に、『大きな変化がない』と言われることもありますが、それは前モデルと比較した場合の話です。数世代あとの機種に機種変更すれば、それは大きな変化を感じられますよ。
ライター
バッテリー交換で使い続けるか、機種変更するか悩ましいですが、機種変更には新しい機能というメリットもあるんですね。
Takaさん
はい。『バッテリー交換か機種変更か』検討するうえで重要なのは、コストだけじゃないと思うんです。機種変更をすれば新しい機能が追加され、それが自分に楽しみをもたらしたり、生活の質を上げてくれたりする可能性があります。

そこにもコストをかける価値があると思うんです。ですから、もし機種変更をしたら、そういう新しい機能を積極的に探して使ってみてほしいです。
ライター
先ほど「新しい機能に興味がない人」のお話が出ましたが、そんな人にも感じられる新機種の魅力はありますか?
Takaさん
カメラですね。一見変化のないような新機種でも、カメラ機能は必ず進化しています。それがAppleの方針であるように感じます。そしてカメラは思い出を記録する機能ですから、生活に大きく関わるものでもあります。まずはカメラを試してもらうといいかもしれません。

6. まとめ

結論!

  • バッテリー交換をすると「バッテリーの最大容量」が新品同様になる
  • 劣化していないバッテリーを交換しても意味はない
  • バッテリー交換の費用は1~2万円で、機種変更よりも大幅に安い
  • iPhone XS以前の機種の場合、機種変更を推奨
  • それ以降の機種でも、バッテリー交換を1回行ったら、次は機種変更の検討を推奨
  • 機種変更のコストは高いが、新機能が使えるというメリットがある

機種変更については、「HomeボタンやLightning端子を使いたい」とかいう理由で旧機種を使い続けたい人もいるでしょう。

私はスマートフォンのさまざまな機能に魅力を感じているため、Takaさんの「機種変更して新機能を体験してほしい」というお話は本当にその通りだと思いました。スマートフォンに限らずITの世界は、毎年驚くような新機能が増えていきます。それを体験しないなんてもったいないと思ってしまうんですよね。
もちろん新機能を色々試したいかどうかは人それぞれでいいと思いますが、ぜひその点も考慮していただきたいと思います!


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67 件のコメント
1 - 17 / 67
参考になる記事ありがとうございます🖋
ガラケー以外はバッテリーの交換をした事が無いです。
タブレットは怪しいながらも交換せずに使用出来ています。
スマホとタブレットではやはり違いがありそうですね。
タブレットミニの検証も次回よろしくお願いします☺️
バッテリー交換と機種変更、いつも悩むことなので、非常に参考となりました。ためになる記事を執筆頂き、ありがとうございました。
バッテリーはやっぱり交換しないとダメですね正規iPhoneでは時間がかかるのでノーブランドの交換店で格安に行っております。交換しないとあっという間にバッテリーがなくなってしまいます
なるほど。Androiderの私に、またぞろiPhoneの情報とは小癪な。私の手持ちのスマホで、バッテリーが劣化するような物は、Rakuten Hand 5Gだけだ。所詮iPhoneもその程度の、安物部品の寄せ集めのモノ。永く使う事はAppleの想定外。それよりiPhoneは、モニターを割れたまま使っている人が多くないか?格好悪いと思わないのか?
情報ありがとうございます😊でもやっぱり交換しないと使いたい時にゼロになります
わたしは、今までバッテリー🔋交換したことがありません!
「iPhone X ・ iPad Pro 11inch 1TB(2018)およびMacBook Air(2017)(使用中止中)」
なので、使用頻度だけではバッテリー劣化しないのでは?
バッテリーの充電などの管理で長期使用可能では‼️
20%を切ったら充電開始、100%になる前に充電終了、
充電完了後「再起動」・・・

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「すぎもっちゃん」かと思た🍎
私は、iPhone 12 miniを中古購入する際に、
中古販売店から、80%以下で80%に近い個体を買って、電池交換(カメラのキタムラ)して使ってました。

交換費用はかかりますが、
14500円払えばバッテリーは新品で安心して使えますし、
購入時に買う時割引入ったりするので、
考え次第ではいいんじゃないかと思ってます。
iPhoneって、めんどくさいですね。
Androidなら、即、新機種へのを交換します。
電池くらいで悩まなくて助かります。
2019年中古購入iPhone6sは
2回バッテリー交換してます。
おかげでメイン2021年購入のiPhoneSE2は
まだ88%で元気です。
Takaさん登場には驚いた!
理路整然と纏めてられているので分かり易い記事でした。

他のコメントにあるようにバッテリーがへたっている中古スマホを安く購入して、バッテリー交換して使うというのはアリですね。
iPhoneはそうなんですね。
電池交換は悩みますね。
Androidは、電池が劣化してきたら機種交換でしょうね。
本当に使い方次第だと思います。
例えばiPhoneの普段の使い方がガラケーに近い人、ゲームをほとんどしない、SNSで自分から情報発信しない、写真はそこそこの画質で良い、動画サイトもあまり使用しない、機種交換した時に新しい使い方を覚えるのがストレスの人は、バッテリーを交換しながら長く使い続けた方がランニングコストの面でも精神的な面でも楽でいいと思います。
参考にします。
前のガラ携はバッテリー交換が比較的簡単なので1回交換しましたが、その後は保守面の制約で交換せざるをえなかったと思います。
おつかれさまです
大変勉強になりました。
いつもありがとうございます!
10万円クラスのスマホは持ってません。
その昔iPhone3GSはほぼ無料で契約できた気がしますが、Androidに移行して放置してたら茹であがった貝のようにぱっくり開いてバッテリーがコンニチワしてました~!😅
参考になりました。
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