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デジタルデトックスとは? スマホから離れるための考え方、得られる効果について専門家に聞いた
大阪府出身。日々エッジの効いたネタを探し続けるフリーライター。得意ジャンルはサブカル、テレビ、音楽、現代アートなど。デイリーポータルZ 新人賞2017で佳作。自称・無料イベントマニア。
マイネ王読者の中には、「無意識にスマホを触ってしまう」「スマホが近くにないと不安になる」といった、スマホ依存ぎみの人もいるのではないでしょうか。その対策として出てきたのが、デジタル機器やインターネットから少し距離を置く「デジタルデトックス」という概念です。
とはいえ、「デジタルデトックスという言葉はなんとなく聞いたことがあるけど、具体的にどうすればいいの?」と思う人が多いかもしれません。そこで今回は、デジタルデトックスが必要な理由や具体的な手法、メリットについて、日本デジタルデトックス協会・理事の森下彰大(もりした・しょうだい)さんにお話を伺います。
| 森下彰大さん 「デジタルデトックスを日本に普及すること」を目的として活動しているDIGITAL DETOX JAPAN(日本デジタルデトックス協会)の理事、リコネクター。「デジタルデトックス・アドバイザー養成講座」主宰。企業・個人向けイベントや講演活動、デジタルデトックス・プログラムの共同開発も行う。 |
デジタルデトックスの定義は?
——デジタルデトックスって、そもそもどういう意味なのでしょうか?
スマホやパソコンなどデジタル機器から一定期間、距離を置くことにより、ストレスを軽減しようという試みです。
デジタルは今後も発達していくし、生活が便利になる部分もあるでしょう。一方で、スマホ依存やSNS依存、ゲーム依存などの弊害も出てきました。デジタルと共存していくために、一定期間手放すのがポイントです。
「通知をオフにする」「SNSのアプリを一時的にアンインストールする」など、できる限りストレスが溜まらない使い方をすることも、広義のデジタルデトックスといえます。
——デジタルデトックスが注目され始めた時期やきっかけについて教えてください。
2013年に、オックスフォード英語辞典に「デジタルデトックス」が加わっています。初代iPhoneの発売が2007年なので、その6年後には市民権を得ていた言葉なんです。
日本でデジタルデトックスが広まるきっかけとなったのは、コロナ禍ですね。リモートワークなどによって一気にデジタル化が進んだ半面、デジタル機器を使いすぎていてマズいんじゃないかという声が出始めました。「社員がリモートワークで燃え尽きないための休息方法」という文脈で注目され始めたんです。
デジタルデトックスの具体的なやり方は?
——デジタルデトックスの具体的な例を教えてください。
例えば誰かと話しているときに、スマホを机の上に置くのではなく、カバンの中に入れて会話に集中する。スマホを見ながら食事をするのをやめて、ちゃんと味わう。図書館に行ったりスポーツをしたりするのもデジタルデトックスになります。
最初は10~20分でもいいので、スマホを触らなくても苦にならないような時間を作る。いかに「スマホ見ながら○○」を減らすか、がポイントです。
あとは、スマホを持ち込まない「デジタルフリーゾーン」を作ることも大事です。「三上(さんじょう)」という言葉をご存じでしょうか。11世紀に、宋の政治家・文学者である欧陽脩(おうようしゅう)が残した言葉で、良い考えが生まれやすい状況を馬上(ばじょう)、枕上(ちんじょう)、厠上(しじょう)と表しました。現代でいうと、乗り物に乗っている時、布団に入っている時、トイレの中です。よくミュージシャンが「トイレやお風呂で歌詞が浮かんできた」という話をしますよね。
——トイレやお風呂など、ぼんやりしているときに良いアイデアが浮かびやすいということですね。
ぼんやりしているときにこそ、脳の中で発動するものがあるはずです。ところが現代人は、そんな三上にスマホをよく持ち込んでしまうので、もったいないですよね。
人間は新しい情報が大好きなので、スマホを見ていると脳は興奮します。しかし、知らない間に脳が疲れて「情報疲労」が溜まっていくんです。
「寝室とトイレ=スマホを持ち込まない場所」と決めるなどして、頭の中の情報を整理する「脳の休み時間」を確保することをおすすめします。
デジタルデトックスのメリットや注意点は?
——デジタルデトックスには、どのようなメリットがありますか? もしデメリットもあれば教えてください。
例えば、当協会が主催した1泊2日のデトックス体験の参加者からは、「朝起きたときの目の痛みが取れた」「頭の重さや肩こりなど、体の不快感が解消された」という声をよく聞きます。「気持ちがスッキリしてくる」など、メンタル面のメリットもありますね。
デメリットをあえて挙げるとすると、「つながりにくい人」になってしまう可能性があります。周りは夜中でも連絡を取り合っているのに、1人だけデジタルデトックスをしていたら浮いてしまうかもしれません。「デジタルを手放す時間も大事だよね」という共通認識が必要であり、当協会としてはそういう意識を広めたいという思いで活動しています。
——デジタルデトックスを行う際に注意すべき点はありますか?
キャンプなどのデジタルデトックス体験イベントの時は、参加者からスマホを預かってアタッシュケースの中に入れます。そうすると、最初は禁断症状のような状態になり、自分を責めてしまうんですよね。「せっかくスマホから離れたのに、SNSのことを気にしていた」とか。
そこで重要なのは、減点ではなく加点方式で捉えるということ。「今こういうことが気になっているんだな」と自分を観察して気づくことが目的である、という話をしています。
——スマホだけではなく、AIやVRなどデジタルを使う機会がさらに増えていくような気もします。どう付き合っていくべきだと思いますか?
もはやスマホは体の一部ですよね。しかし、使い過ぎると当然デメリットや弊害も生じます。AIやVR機器によって仕事が効率化できるメリットはあっても、そのぶんこれまで以上にデジタルに触れる時間が増え、体に何らかの異常が生じるかもしれません。
そう言っている僕も、子どもとマインクラフトで遊んだりオンラインでつながったりしています。デジタルで楽しむところは楽しむ、でも弊害もあるのでアナログの時間を作る。デジタルとアナログ、どちらかに傾きすぎないよう、常にバランスを取り続けることが大事なのではないでしょうか。
——デジタルだけでなくアナログの時間を意識的に作って、自分に合うバランスを見つけていくことがより大切になっていくのかもしれませんね。ありがとうございました!
1週間「脱スマホ依存」チャレンジをやってみた
ということで、筆者も日本デジタルデトックス協会が主催している参加無料のプログラム「7-DAYデジタル・デトックス」をやってみました。
このプログラムは月末の最終週に開催されており、LINEのオープンチャットで誰でも参加できます。1日1つお題が出されるので、それを意識して過ごしてみる、というイベントです。
ルールは「できなくてもOK! まずはデジタルと自分の関係を意識することから始める」「感想や疑問に思ったことは、グループチャットでシェア」の2つだけ。
【月曜日】今日、何に「いいね!」した? その理由は?
月曜日は、「いいね!」を押した内容と理由を問うお題でした。一見、デジタルデトックスと関係ないのでは?と思ったので、どういう意図なのか質問してみました。
たしかに、「普段SNSとどう向き合っているか」を振り返ることが、デジタルデトックスの第1歩なのかもしれません。僕の場合は、全然知らない人の投稿を見て「そういう考え方もあるのか〜」という発見があったときに、「いいね!」を押していることが多いようです。スマホ依存の中身をみると、やはりSNSが多くを占めています。自分は投稿することが多いのか、推しのインフルエンサーに「いいね!」をしたいのか。SNS上で何を求めているのかを考え直すきっかけにしてもらいたい、という意図です。(森下さん)
【火曜日】直感で習慣とは違うことをしてみる
火曜日は、いつもの習慣から離れて違うことをしてみようというお題。こちらも意図を聞いてみました。
スマホを見ているといろんな情報があって刺激的ですが、結局はルーティンになってしまっているな、と改めて気づきました。ということで、この日は途中までしか読んでいなかった本を読んでみました。多くの人は、いつも決まったネットニュースを見るなどデジタル上のルーティンがあり、好みに合った情報を入手しています。でもそれだと、情報の栄養バランスが偏ってしまうんですよね。なので、ルーティンから離れてランダムな情報や体験を取りに行く。脳に対して本当に良い刺激を与えて、心がどう動いたのかを観察してみましょう。(森下さん)
【水曜日】自然を10分間感じる
スマホばかりいじっていると、自然に触れることが少なくなりますよね。ただ、この日はほぼ家の中で仕事をしていたので、自然に触れられる時間がありませんでした。
【木曜日】サブスクの見直し
サブスクは、知らない間に増えていたり、解約しそびれていたりすることも多いのではないでしょうか。僕は動画や音楽配信のサブスクを契約していませんが、仕事で使っているサービスはいくつかあるので、これを機に見直すのもアリかなと思いました。
ほかの参加者からは「電話でしか解約できないので、先延ばしにしているものがあります」「見たいドラマがある時だけ契約して、終わったらすぐに解約しました」といった声が挙がっていました。
【金曜日】できるだけSNSから離れて過ごそう
SNSを見ていると、楽しい情報がある半面、知らない人同士の言い争いや文句などネガティブな投稿も頻繁に流れてきますよね。ということで、この日はなるべくSNSを見ないよう意識して過ごしました。
【土曜日】スマホ以外の相棒を考えてみる
相棒というと変かもしれませんが、いま家には2歳の息子がおり、必ず1日10~20分は一緒に遊ぶようにしています。あまり意識はしていなかったものの、子どもと過ごす時間はスマホから離れているので、自然とデジタルデトックスになっていたのかもしれません。
【日曜日】デジタルから離れる時間を少しでも作ろう
日曜日は家族と一緒に外出したのですが、写真の撮影以外はスマホをいじらないよう意識して過ごしてみました。
最後に改めて、7-DAYデジタル・デトックスの意図や効果を森下さんに聞いてみました。
デジタルデトックスで余計な情報を減らしていくと、「そもそも自分は○○がしたかった」という意識が明確になっていきます。
広告ビジネスもSNSも、人の注意をいかに引き付けて集中力を奪うか、というゲームをやっているわけですよね。なので、自然と意識が外に出ていってしまうんです。そこを一旦止めて、自分自身に意識を向ける。優先順位を見直して「本当は何に集中したいのか?」を考えるきっかけになってくれると嬉しいですね。(森下さん)
デジタルから一時的に離れることが、共存につながる
実際にデジタルデトックスをやってみた感想としては、「SNSを1日見なくても、大きな支障はないな」ということでした。なんとなく「スマホで常に情報を摂取していないと、時代に取り残されてしまうのではないか?」という感覚があったのですが、そんなことはありません。むしろ余計なことを考えなくて済むし、心が少し軽くなったような気もします。
1日の中で短くてもいいから、触らない時間をつくる。デジタル機器と共存していくためにも、「一時的に離れる」意識がより重要になっていくのかもしれません。
取材協力・画像提供:一般社団法人日本デジタルデトックス協会
編集:ノオト
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🍊👀⚠️
ゆずるね。間近についつい隙間時間あるとココを
今‼️見ていることに反省しました。
譲った後ゆっくり拝読させて頂きます。
○○デトックス多いですね〜色々なクセモノにも注意ですね。
承知しました。タイムリーな記事ありがとうございます😅💗
休日に仕事の連絡とかホント休まらないので通知はほぼオフです
FXのチャートで売り買いしている、なさそう。
歩きながらのスマートフォンで何を見て、読んでいるのか、謎です。
スマホ見てるより女子高生を見たり話したりしてる方がずっと楽しいのだが。
最低限の時間しか使っていません‼︎
デジタルデトックスを日頃から気にしています ♪
mineo中毒なので今からじっくり読ませていただきたいと思います(≧∇≦)
ありがとうございます!
ある程度動けるようになるとスマホの有り難みが分かるとんだな
デジタルデトックスは、ゆずるねタイムにするようにしてます。