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実は携帯電話シェア3位、ガラケーシェア推計1位! 独自色全開・京セラ機種の深淵なる世界に迫った
ローカルネタ・ガジェット・卓球が好きなライター。過去に番組リサーチャーとして秘密のケンミンSHOWなどを担当。
勝ち組がはっきりしてきたスマホ市場。残っているのはApple、サムスン、Xiaomiなど少数です。とくに国内メーカーは多くが消えてしまいました。
しかし、そんな中でも独自色を発揮して生き残るメーカーがあります。「京セラ」です。
高速化、カメラ機能アップなどに注力する大手とは一線を画し、シニア向けスマホや抗菌・抗ウイルスボディのスマホ、さらには過酷な環境でも壊れないタフスマホなどに注力。
それに加えて、従来型の「ガラケー(フィーチャーフォン)市場」では無類の強さを発揮する堂々のトップシェアメーカーに。
かつて世界初のテレビ電話機能付き、国内初のフルブラウザ搭載の携帯電話など、市場をアッと言わせるチャレンジで注目を集めた業界の風雲児・京セラ。
その強さとおもしろさの秘密が知りたくて。
京セラ通信事業戦略部商品戦略部責任者の、原田正夫さんに話を伺いました。
——ニッチ路線を開拓する印象の、京セラさんのスマホとケータイです。なぜこのような戦術を取るんですか?
原田:ニッチというより、スタンダードなスマホだけでは満たされないお客さまが多いので、その需要を大切にしているんです。実は携帯電話端末シェアのランキングで、京セラは日本3位なんですよ。
——ええっ!?
原田:ニュースサイトなどで取り上げられるのはスマホに限ったランキングが多いので、意外に思われるのかもしれません。
——そうか、ガラケーを加えると一変するんですね。京セラさんはガラケーでどれくらいのシェアを占めているんですか。
原田:正確な数字はお伝えできませんが、トップシェアではないかと思います。
——ガラケーのリーディングカンパニーですね。ちなみに……ガラケーって儲かるんですか?
原田:一定の利益は確保しております。
——すごい。強豪にやられて赤字から抜け出せないケータイ事業者は多いのに。
原田:そもそも、スマホにしたくない方は多いんです。
——なぜですか。
原田:電話とメールだけで十分な方もいますし、ガラケーと比べてスマホは大きくて重く、電池も持たないですからね。
——ガラケーで何の問題もないと。
原田:携帯電話はもはやライフラインですので。我々がガラケーを作らなくなったら携帯端末を使えなくなる人が出ます。
——「ガラケー難民」が出てしまうと。
原田:さらに、今は「スマホを買っただけ難民」って言葉もあるんです。
——どんな“難民”なんですか?
原田:世の中がスマホ一辺倒になる中で、まだまだ4G回線のフィーチャーフォンは活躍できるんですけど、3Gの終了アナウンスが出た際にあわててスマホを買い、使いこなせずに後悔している人もいます。そういった方も、安心して機種を選べる環境が作りたいです。
——ちなみにガラケーを好むのは、どのような客層ですか?
原田:純粋に電話として持ちたい法人さまや、高齢のお客さまです。
——たしかに通話は、スマホよりガラケーのほうがしやすかったですね。
原田:私も仕事用ではあえてガラケーを使っていました。PCを使いながら、肩に挟んで通話もできましたし。
——スマホだと本体が薄くてやりにくいですよね。
原田:あと電池も持ちますし。高齢者はタッチパネルの操作が苦手な方が多いので、物理ボタンで操作できるガラケーが安心なんです。
すごいぞ、新しいガラケー
——最新のガラケーは、どんなところが進化していますか。
原田:まずは弊社の「かんたんケータイ」をさわってみてください。シニア向けで大切な「変わらない使い勝手」を残しつつ、利便性を高めました。
——電源も「ボタン」じゃなくて「スイッチ」で、しかも前面にあってわかりやすい。こんなのはじめて見ました。
——起動中の画面に「端子の形に注意」って画像付きで出る!
——ガラケーをちゃんと操作するのは10年ぶりくらいですが、違和感なくいろいろ使えますね。ちなみにこの「漢字チェック」っていう機能は何ですか?
原田:漢字を画面に大きく表示して細かくチェックできる機能です。ついつい漢字を思い出せないなんてこともありますよね。
——手書きで漢字を多く書くシニアならではの機能ですね。
——通話も音が大きくていいですね。お年寄りに限らず、小さな音しか出ないスマホは、場所によって通話しにくいですから。
原田:「聞こえ調整」では甲高い音を軽減しつつ、加齢とともに聞こえにくくなる高音域を強調して聞こえやすくしますよ。
——そりゃ安心だ。
原田:通話終了後に、直前で話した内容を60分間自動で録音できる、「あとから録音」があります。
——おお! 自動の通話録音ができる機種は今や希少ですもんね。
原田:この機能は法人のお客さまからも喜ばれています。
——ちなみにこの卓上ホルダは何ですか?
原田:通話中に乗せれば、より大きな音を出せるスピーカーフォンに切り替わるんです。おじいちゃん、おばあちゃんとお孫さんが一緒に会話したいときに便利ですよ。
——ホントお年寄りにとっては「音量」って大事ですもんね。
原田:卓上ホルダに載せておけば、着信もスピーカーから大きな音で教えてくれます。
——固定電話みたいだ。
原田:帰宅時にマナーモードを解除し忘れるのもシニアのあるあるなんですが、そのまま着信に気づかなくて、お子さまが結局、固定電話にかけて確認するらしいんです。
——「何かあったのか?」と思ってしまいますからね。
原田:なのでマナーモードのまま卓上ホルダに乗せても、自動で着信音が鳴ります。
——全体的に「これ以上機能を覚えなくても自然に使える」感じなのか。
多機能すぎるタフスマホ「TORQUE」
——続いては頑丈なタフスマホ、TORQUEです。これ、個人的にも気になっていたんですよね。スマホって持ち歩くものなので、壊れがちですし。
原田:TORQUEは2013年に北米から発売し、翌年、日本に逆輸入されました。
——おお、アメリカ発なんですね!
原田:TORQUEを含む高耐久シリーズはアメリカでは何百万台も売れましたし、日本でも100万台以上は売れています。
——日本のスマホって海外で売れないと聞きますが、トップクラスの人気ですね。なぜ重宝されているんですか?
原田:アメリカは温度変化も激しくて、灼熱の砂漠からすごい寒冷地までありますから。
——普通のスマホじゃ気候の変化に耐えられないと……重厚な見た目でズシッと重いのかと思ったら、意外に軽く感じます。
原田:これで約248gですね。
——保護のためにケースやガラスフィルムを付けなくてもいいと考えれば、許容範囲ですね。
原田:米国国防総省の調達基準に加え、2mの高さから落としても大丈夫だったり、泡ソープで洗ってもOKだったりします。
——さわってみても何やら多機能です。
原田:こちらは現在地の標高と気圧を表示するモードです。
——釣った魚の長さを計測するモードまであるんですね……!
原田:自動的に判別した魚の名前とともに記録できますよ。約200種類の魚をカバーしています。
——すごっ!
原田:さらに、月の満ち欠けと潮位により予測した、魚が活発に活動する時間帯も表示できます。釣果を期待できる時間帯がわかりますよ。
——アウトドア派には至れり尽くせりですね。
原田:こちらは月の満ち欠けにより、動物が活発に活動する日と時刻を表示できます。
——何でもあるなぁ!
——とんでもなく多機能なTORQUEですが、海外で高耐久スマホはどんな現場で重宝されていますか?
原田:北米であれば警察官や公共安全にかかわる方たち、日本では建設現場や物流に携わる方が多いですね。
——アメリカンポリスも使っているのか……! どう役に立っていますか?
原田:堅牢性を評価する声が多いですね。「車に踏まれたけども、壊れなかった」とか、「海にスマホをなくしてしまって、3日後に海中から出てきたけど、データは大丈夫だった」とコメントをいただきました。
——昔の「ゾウが踏んでも壊れない筆箱」みたいな世界ですね。
原田:冒険家の方が氷に落ちた際も「命からがらTORQUEも大丈夫でした」みたいにおっしゃっていました。
——伝説レベルの逸話が。Twitterで見ても「重機に踏み潰されても、凍っても操作できた」との報告が挙がっていますね。
原田:推奨しませんが、ドラム型洗濯機に入れても大丈夫だったとも聞きますね。
——ちなみに海外向けに「ガラケー版」もあるそうですが……
原田:安定した売れ行きですよ。
——そもそも海外でガラケーが使われていることは驚きです……! どう使われていますか?
原田:高耐久のフィーチャーフォンなので、業務用途が多いです。あとは電話機能を重視される方とか。トランシーバー機能も使われていますよ。
独自色を発揮する京セラ、iPhoneに立ち向かうカギは?
——あとは、京都サンガF.C.のオリジナルスマホ。一つのサッカーチームのためにスマホが出るって極めて珍しいですけど、売れていますか?
原田:はい、限定モデルで、売れ行き好調です。長らくスポンサーとして応援する京都サンガF.Cに12年ぶりのJ1復活にあたって何ができないかなと。ちょっとスペシャルな端末にしています。
——さらに、かんたんスマホ2+も世界初の抗菌・抗ウイルスボディって。またなかなかのところを突いてきましたね。どんな方に売れていますか?
原田:かんたんスマホ2+はシニア向けスマホで、高齢者に人気です。同時期に発売された抗菌・抗ウイルスに対応したAndroid One S9は、小さい子どもがいるご家庭にも好評ですね。
——そうやって、独自色を発揮して国内の業界3位を占める京セラさんですけど、それでもやはりiPhoneが強いですよね……製品を作る上で、どう意識していますか。
原田:iPhoneはすごい商品ですし、業界のスタンダードです。ただ、高齢者のスマホ事情が最近変わってきて。
——どのあたりが?
原田:以前はiPhoneの使い方を子どもや仲間が教えてくれたんですけど、コロナ禍でそれも難しくなって。京セラでもスマホ教室をやっていて、そこに「わからないから教えてほしい」と駆け込んでくる方が増えました。
——iPhone、紙の説明書もありませんし。
原田:iPhoneだけで世の中はすべて満たされないのかなと思っています。それを我々がどう満たせるか、ですね。
——そう考えるとターゲットが明快ですね。
ガラケーは「生まれ変わる」?
——今の京セラさんの主力であるガラケーですが……ポケベルみたいに、いつかなくなることはありませんか?
原田:今のガラケーの形は仮になくなっても、「カードケータイ」みたいなものとか、もう少しガラケーの機能性を特化させたような、よりシンプルなものとして残る可能性は、十分あると思います。
——伝説のカードケータイ……! 厚さ約5.3mmでたった47g、電子ペーパーを採用して静止画面の消費電力ゼロを実現させたあの機種ですね。
原田:たぶん、単に小さくするとかだけじゃダメで。社会的な課題の解決に合ったもの、たとえば身体障害者の方が難なく使える携帯電話とか。
——正直、何かをガマンしてふつうのスマホを使っている人はいるはずで、潜在的なニーズは眠っているかもしれません。京セラさんにぜひ、その答えを出していただきたいです。
原田:答えを出せるよう、がんばります。
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タフスマホはGショックを連想しました💪
データ通信はスマホ
料金バランスが取れれば使いやすそうですね
今のスマホは、買って直ぐに亡くなった親のを譲り受けていて、その前はガラホ(ガラケーのスマホ寄り)でした。ガラケーに最初からアプリでLINEが入っていて、ドコモで富士通でしたね。mineoさんのSIMが問題なく使えたのですよ。
それで問題なかったのに、スマホがあるから使っているだけです。
未だに目覚ましのみで使用しています。
この記事を読んで、京セラさんに興味が沸きました。流石にガラケーには変えませんが、電話をする時は、ガラケーの方が良いのは、すごく解ります!
写真も撮らないので高機能は要らないから、マジで安いスマホが欲しいよー。
それと今私はまだガラケーを使っているのですが、3G終了後はどうしようかと悩んでいます。練習として簡単なスマホでデータ通信のみをマイネオでやり始めましたが色々あって、電話機能はガラホで行こうかと… ガラホならば今度は京セラにしようかなぁ…
対応なら使ってみたいなあ。
父の折りたたみ携帯、京セラに変えてみようかと思いました。
京セラの通信端末と言われると、、、DataScope DS-110が真っ先に思い浮かびます(^^♪
京セラの製品は、万人受けはせずとも、常に一定数のニーズがある市場において、どこにも負けない強さがあるといいますか、
突き抜けていて、技術に裏打ちされた機能美といいますか、そんな無類の輝きを放っている感じがしますね。
耐衝撃性確保のためゴツいフレームがスマホの外装になっており、丈夫さは凄かった。
いまや腱鞘炎予備軍...😅
今のスマホは本当に色々なことができるからスマホ1台持ってれば全て完結できるって感じで使いこなしている方も多いでしょうが、それほどあらゆる機能を求めていない人ももちろんいるわけで、こういう商品があることで選択肢が広がるのはいいことですよね☺️
今の高齢者の方と違ってスマホを使いこなしている世代が高齢者になった時には、こういう商品は必要なくなるとおっしゃる方もたまに見かけますが、年を重ねれば身体能力や認知機能等、若い頃のようにいかなくなることも増えるのでやはりこのような商品のニーズはどの時代でもある程度あるのではないかと思います。
選択肢が多いというのはありがたいことだと思うので、京セラさんにはこれからも頑張っていただきたいです。
携帯電話がここまで普及していたかどうか
AUもっと京セラの商品開発に協力、シェアを伸ばしてもいいのでは
他社がやらないことにチャレンジする
とても大事なことだと学びました
ちょっとまたガラケーに戻りたくなってしまう記事でした♪
ありがとうございます。
携帯電話(含スマホ)が一人1台以上というこの時代に、ガラケーを無くすなんて絶対出来ないはずです。
今のこのスマホ一辺倒な時代は、ガラケーを作らなくなってしまったメーカーとキャリアのせいだと思います。ニーズは絶対にあります。
そんな中で、京セラさんには本当にこれからも頑張って欲しいです。
そういえば、うちって家族全員京セラ機使ってる!
義母のかんたんケータイ、私のINFOBAR xv、夫のTORQUE、離れて住んでる父のガラホ、母の遺品のQua phone QZ(私が使ってる)。
弟はiPhoneのようですが、今は結婚して別世帯なので狭い意味では「家族」じゃないですね。
「3G使えなくなります」て通知が来て、乗り換えました。
実は私も2年前まで、中央部に映ってるアズキ色の使ってました。
ガラケー+スマホで、「ガラホ」て言われてたような、、。
「スマホは自分の意図してない所で何かが起きてるから、怖くて嫌や」て拒否してたんです。
「通話とメールさえ出来れば十分や」て頑なに。
実際にスマホを使ってみると、その「何か」は、アプリがバックグラウンドで通信していたり、ニュースが入って来ていたり、通信品質向上の為に通信していたり、、、
その正体が分かって安心して使ってますが😀
京セラさんに感謝ですm(_ _)m
私が使ってた京セラのガラホ、LINEを入れられましたよ(^o^)
だから、通話とメールとLINEとネット検索してました(^o^)
TORQUEの旧型です。
ポイントはバッテリーが交換式な事なんですけど、厚みがあり過ぎて色々使いにくいことがあります。
シャッターボタンが独立してあったり中々便利。
携帯電話と違いPHSなので通信費が安くてネット見るのに重宝しました(^^)
あと、mineoで最初に買ったスマホがLuceでした。非力でカメラも良くなかったけど防水仕様で自分でバッテリー交換ができるのが良かった!
有難う御座居ます。
「読者が、執筆者を育てる」の言葉を使えば、過去、マイネオ端末の京セラKYL22は、おサイフケータイや5GHzWifiがあり、当時のスペックとしては、素晴らしいが、直ぐ「熱くなる、電源が切れない、勝手に電話が送信・・・・・・・」
トラブル続出でしたね。
京セラを取材するなら、事前にマイネオユーザーの端末評価を下調べして、品質等尋ねるべきです。
俳句の夏木先生流に、申せば、
「このブログの評価のポイントは、ユーザーに配慮しているか?です。
この点、このブログは、単なる製品レポートなので、【才能無し】です。」
どうも、辛口コメントでゴメンね!
でも、次回の、執筆に期待し、楽しみにしてますよ。
🙋👋☺️🤗😃
SONYはヒンジがガタガタ、京セラは確りしていた。
楽天モバイルの一年無料に釣られてAndroidスマホに。
キャリアショップの一括1円に釣られてiPhoneに。
これらがなかったら、今もスマホなんか使用していないかも。
嫌いじゃない!
なんでMIL規格やねん!て思てましたが、まさかホンマにアメポリさんも使てはるとは😅
走りながら胸ポケットから落っことして蹴っ飛ばしてもうたけど壊れへんかったもんなぁ
読み応えのある記事、ありがとうございました。