スタッフブログ
売れる写真には人の気配がある? スマホで撮影した写真を販売できるアプリ「スナップマート」担当者に聞いた

売れる写真には人の気配がある? スマホで撮影した写真を販売できるアプリ「スナップマート」担当者に聞いた

村中貴士
ライター: 村中貴士
大阪府出身。日々エッジの効いたネタを探し続けるフリーライター。得意ジャンルはサブカル、テレビ、音楽、現代アートなど。デイリーポータルZ 新人賞2017で佳作。自称・無料イベントマニア。

近年、スマホで副収入を稼ぐ「スマホ副業」が注目を集めているようです。ポイントを貯める「ポイ活」やアンケートモニターなどさまざまなスマホ副業があるなか、筆者が注目したのは「写真販売アプリ」。スマホで撮った写真がお金になったら、うれしいですよね?

そこで、写真販売アプリ「スナップマート」の村上あゆ美さんに、売れやすい写真の傾向や撮影のコツを聞きました。後半では、筆者が実際に販売にチャレンジしてみたレポートもお届けします。果たして、売上金額は?

▲スナップマート株式会社 広報担当 村上あゆ美さん

売上金額と売れるまでの期間の目安

——「スナップマート」は、どういうアプリなのでしょうか?

スナップマートは、スマホで撮影した写真を企業に買ってもらえるアプリです。写真の販売と聞くと「経験を積み、高価なカメラを持っているプロカメラマン」を思い浮かべますよね。でも今は、素人でもスマホでクオリティーの高い写真を撮影できる時代になりました。

従来のストックフォトサービス【※】だと、かっちりした写真が多いですが、スナップマートはSNSになじみやすい、生活感のある写真が多いのが特徴です。
※ 写真素材の販売を仲介するサービス

——誰がどのような目的で利用しているのでしょうか? 出品者と購入者、それぞれについて教えてください。

スナップマートの出品者は、約7割が20~30代の女性です。インスタグラムに写真をのせる延長で出品していて、単純に「自分が撮った写真って、売れるのかな?」という興味から始める人が多いですね。あとは、写真撮影を仕事にしていきたい人が1つのステップとして利用しているケースもあります。

▲販売中の写真がズラリと並ぶ

購入者は、Webメディアで記事のアイキャッチを探している人、SNSの広告制作をしている人、企画書に使う写真を探している人など。SNSだと、いかにも広告っぽい写真はスルーされてしまうので、日常に近い写真を求めて購入しているようです。業種としては、美容や通信機器、スマホ関連が多いですね。

——どれぐらいの売上金額になるのでしょうか?

正直、そんなに稼げるアプリではありません。かなり売れている人で月3万円ぐらいでしょうか。私も社員になる前は出品者だったんですが、月に千円売れればいいかな、くらいでした。

最初の1枚が売れるまでの期間は、勘のいい人かどうかで分かれます。ある程度、量を出品して傾向をつかむ必要があるので、早くて1週間、長くて3カ月かかる人もいます。

売れる写真には「人の気配」がある

——どんな写真が売れやすいのでしょうか? 傾向を教えてください。

グラフ左側が出品されている写真、右側が売れている写真のカテゴリです。風景や自分のペット、花の写真を出品する人が多いのですが、実際に求められているのは人物、ライフスタイルなど。生活の1シーンがわかるような写真ですね。

カテゴリの内訳を見ると、女性45%、男性10%となっています。手や横顔も売れていますね。とにかく人の気配がある写真が人気です。

▲売れ筋のカテゴリは「自撮り」「肌」「ダイエット」「旅行」など

——私のスマホに入っている写真を、事前に何枚か村上さんにお送りしました。「これは売れそう/売れない」など講評していただけますか?(※村上さんには写真の詳細までは伝えていません)

わかりました。まず、売れる可能性があるかな、と思ったのはこちらですね。

▲オンラインツアー参加時の筆者

コロナ禍でZoom飲み会やライブ配信、ウェビナー(ウェブセミナー)などのシチュエーションが増えているので、記事や広告でも使われやすそうです。ただ、余計なものが入り込むと何を見せたいのか分かりにくくなるので、トリミングしてください。

▲同じく、オンラインツアー参加時のワンシーン

こちらは何かを視聴している写真ですか? それとも会話中? もう少しシーンがわかりやすいといいですね。セミナーを受けているのであれば、メモをしながら聞いている、とか。「Zoomの採用面接が増えています」みたいな記事を想定すると、スーツやワイシャツがいいでしょう。同じシチュエーションで、私服、スーツなど何パターンか撮ってみてください。

▲海と、筆者の妻(※掲載許可をもらっています)

こちらは、シチュエーションは良いものの天気が悪いので、加工で明るくしたほうがいいですね。この写真のポイントは左側の余白です。ここに広告や記事のアイキャッチとして「海のある暮らし」「移住セミナー」などの文字を入れられそうです。

▲妻が足湯に入っているところ(※掲載許可をもらっています)

足湯の写真として悪くはないのですが、ピースをしているので普通の記念写真になっています。もう少し自然なポーズがいいでしょう。

▲お好み焼き

お好み焼きの写真は、単体より手が入っているほうがいいですね。作っている画が思い浮かぶ写真だと、SNSやWebで使われやすいでしょう。

▲スマホを見ながら公園内を歩く筆者

これも余白がいっぱいあるので良いなと思ったのですが、何をしているのか分かりにくい。公園じゃなくて道路であれば「歩きスマホはこんなに危険!」みたいな記事に使えるかもしれません。

——マスクのあり、なしはどうですか?

あり、なし、両方のバージョンで撮っておくのがいいと思います。コロナ禍の今だと「マスクあり」の写真が売れやすいですね。

——売れる写真の撮り方はありますか? 構図や光の当て方など、何かアドバイスがあればお願いします。

基本は明るめで、後から文字を入れることを想定して少し余白をあけておくと良いでしょう。あと、余計な物を写さないようにしてください。ちなみに、SNSだと肌を修正しがちですが、逆に肌が荒れている状態の写真が広告で使われることもあります。

——肌が荒れていても「手荒れ対策」みたいな広告や記事に使える、と。

▲妻がハンドクリームを塗っているところ

その通りです。美容関係では、逆にネガティブな写真を探している人もいるので。モデルさんを使って完璧に撮影した写真より、日常感のある写真のほうが売れやすいと思います。

他人、建物、ロゴ……出品NGの写真

——出品できない写真はありますか?

一番気をつけてほしいのは、他人が入り込んだ写真です。人には肖像権があるので、他人が写っている写真を勝手に出品するのはNGです。人物写真は必ず「モデルリリース」を取得してください。モデルリリースとは、写っている人から「販売してもいいですよ」と許可をもらうための仕組みで、アプリ内に機能があります。

——横顔や後ろ姿でもダメなのでしょうか?

個人が判別できない状態であれば、基本的には権利侵害には当たりません。ただ、写真が広告に使われて「これ、もしかして私では?」と思う人が出てくると、気分は良くないですよね。後でトラブルになる可能性があるので、許可が得られない人物写真は控えた方がいいと思います。

▲筆者が野外フェスに参加したときの写真。出品するには許可が必要

あと、有料の施設やイベント、たとえば動物園や水族館、フェス系などは、撮影はOKであっても出品するのは許可がいるケースが多いです。商用として使うことになるので。

——東京タワーやスカイツリーはどうですか?

難しいところですね。風景の中の一部であれば、風景写真として捉えられます。例えば「六本木の街並みを撮影したら、少し東京タワーが入っていた」くらいならOKですが、東京タワー単体だと許可が必要です。お店も、外観や内装などでどこの店舗かわかる写真は許可を取ってください。

▲横浜赤レンガ倉庫も、出品には許可が必要とのこと

あと、よくあるのがペット写真のトラブルです。

——ペットもNGなのですか?

自分が飼っているなら問題ありませんが、他人のペットは注意してください。友だちの家の猫がかわいくて、写真を撮って出品すると、広告に使われているのを飼い主さんが発見して「うちの猫が勝手に使われている!」となるわけです。

▲妻の実家で飼っている猫

飼い主としては、必ずしも嬉しいとは限らないですからね。動物に肖像権はありませんが、飼い主の許可を取らないとトラブルになる可能性もあります。自分が管理者ではない場所や物を出品するときは気をつけてください。

——ほかに注意点はありますか?

ロゴが写っている写真はNGです。たとえば化粧品の場合、加工してロゴを消すか、見えないように撮影してください。お店の料理も、特定できるものは控えるか、許可を取る必要があります。

▲JALのロゴが写っているのでNG

——もしNGの写真を出品してしまった場合は、どうなるのでしょうか?

「権利を侵害しています」「モデルリリースを取得していません」と通知が来るので、取り下げるなど対処をしてください。施設から「うちの写真が勝手に出品されている」と通告が入ることもあります。

アンバサダーへの応募で商品&賞金ゲットのチャンスも

——通常の出品のほかに「コンテスト」を開催したり、「アンバサダー」を募集したりしているようですね。

コンテストは、「空」「植物」「チョコレートスイーツ」「冬景色」などテーマごとに開催しており、受賞作品は500~1,000円程度の賞金がもらえます。売れやすい写真の傾向がわかるので、初心者の方はぜひチャレンジしてみてください。新規登録ユーザー限定のコンテストも毎月開催しています。

アンバサダーは、「撮影+プロモーション」という形で商品の魅力を伝えてくれる人を募集する企画です。募集する企業は化粧品、お酒、食品関係が多いですね。応募は誰でもできますが、参加できるのはブランド側が選んだ人のみ。選ばれたアンバサダーは「こういうテーマで商品を撮影してください」と設定が与えられ、撮影+SNSで投稿します。

アンバサダーに選ばれると商品がもらえます。さらに「アンバサダーコンテスト」も行われるので、良い写真を撮れば賞金がゲットできるかもしれません。

——最後に、これから使う人へアドバイスがあればお願いします。

普通に撮って出品するだけだと、なかなか売れにくいと思います。普段から「こういう記事ってよく見るな」「こういうアイキャッチ、よく使われているな」と意識しておけば、需要のある写真が見えてくるはずです。最近だと「リモートワーク」「おうち時間」とか。

また、スナップマート主催のコンテストは売れ筋の写真をテーマに設定しているので、ぜひ参加してみてください。アンバサダーに挑戦し、企業から依頼される商品撮影につながっているクリエイターも多くいます。アンバサダーにもチャレンジしてもらえるとうれしいです。

▲「イベント×おうち時間」の写真は売れやすいかも(村上さん)


写真販売にチャレンジしてみた

ということで、スナップマート・村上さんのアドバイスを受け、筆者も写真を出品してみました。

まずは本人確認書類を提出します。これは必須ではありませんが、購入者である企業は「身元がはっきりしている出品者のほうが安心」と考えるため、購入される確率がアップするそうです。提出といっても、アプリ内で写真を撮るだけでOK。

次に重要となるのが報酬率です。出品者がもらえる金額は、

売上金額 = 販売価格 × 報酬率

となります。写真の販売価格は運営側で決められており、出品者側では設定できません。

報酬率は「メダル」を獲得することでアップできます。メダルの獲得方法は「本人確認書類を提出する」「タグとコメント両方ついた写真を10枚以上出品する」「コンテストに3回以上応募する」など。筆者は7つメダルを獲得したので、報酬率は40%となりました。

出品するにあたり、「タイトル」と「タグ」をつける必要があります。タグはスナップマート内で検索されるワードです。屋外、スマホ、男性など写真に関連するキーワードを入れましょう。一方タイトルは、Google検索で引っかかるためのワードです。「マスクをして歩きながらスマホを見ている男性」など、分かりやすい&検索で引っかかりやすいタイトルを入力します。

▲モデルリリースの画面

出品で重要なのが、モデルリリースです。特定できる人物が写っている場合は、その人に許可を取らなければなりません。モデルリリースの通知はメールで送ることも可能ですが、知り合いならスナップマートアプリをダウンロードしてもらいましょう。相手にユーザー登録してもらえば、スムーズに出品できます。

▲出品管理画面

そんなこんなで、妻にも協力してもらいながら、20日間で合計114枚の写真を出品しました。果たして結果は……

3枚売れました!

購入された写真は下記のとおりです。

▲ハンドジェルを塗っている妻の手(左)、自分で血圧を測っている筆者(中)、ポッコリお腹を手で抑えている妻(右)

こんな写真が売れるんですね。かなり意外な結果でした。血圧を測っている写真は、タグを多めに入れたことが功を奏したのかもしれません。さて、気になる売上金額は、

1枚あたり88円×報酬率40%=35円
35円×3枚=
合計105円(税込み)

このような結果となりました。ただし、出金するには振込先口座の登録と手数料220円が必要です。つまり、実質の儲けはまだマイナスの状態となっています。

▲売上の振込申請画面

数千〜数万円の売上を目指すには根気が必要

正直「1枚も売れなかったらどうしよう」「記事として成り立つのか?」と不安だったのですが、なんとか3枚売れてホッとしました。

とはいえ「なんだ、結局そんなもんか」と思った人も多いのではないでしょうか。やはりそれなりの売上金額を目指すには、たくさん出品したり売れやすい写真の傾向をつかんだりして、根気よく続けることが必要だなと感じました。

実際どんな写真が売れているのかは、アプリ内で確認できます。写真を撮るのが好きな人、ちょっとでもお金を稼ぎたいと思った人はチャレンジしてみてください。

<取材協力>
スナップマート株式会社

スナップマート
iOS版ダウンロードページ
Android版ダウンロードページ

(編集:ノオト


おすすめ記事


250 件のコメント
51 - 100 / 250
こんなビジネスがあるなんてまったく知りませんでした😅
いい写真が撮れてそれが売れたらハッピーでしょうね💕
こんなサービスがあったんですね
知らなかった…勉強になります。
センスのある方が羨ましい
子供の書いたデジタルの絵も売れる時代ですもんね。でも写真はもっと難しいですね😄
写真撮影が好きな人にはいいお小遣い稼ぎになりそうですね。
何気ない日常生活のひとコマを続けていくと固定客が付いてきそうな感じが記事から読み取れました。
タグを工夫すれば売上も上がりそう( ̄▽ ̄;)

ただ心配なのは別人格(裏垢女子みたいな)日記やSNSの連絡時の写真として使われていそうで怖いなと思った事ですね。

なんでもお金になる為になる話ありがとうございましたm(_ _)m
Androidのアプリ評価が星2つぐらいのアプリで色々と問題もあるみたい。

自分はEyeemで写真をインスタみたいに上げているがではたまぁに売れてるよ。

なぜこの写真が売れる!?って、ビックリするときもあるけどね。

まぁ、ガチの人にはかなわない…
いい写真撮ってみんなに見てもらえるなら売ってもいいかな。
面白いですね。利益を上げるには努力が必要ですが、まずは様々な素材にニーズがあることわかり良かったです。氣が向いたら我が家の猫写真でやってみようかと思いました。
初めて知りました
やってみたいです😊
やってみたい反面、権利関係…かなり気を遣わないとですねー。
難しすぎてチャレンジしづらいです。
加工修正&完璧な迄の綺麗な画像が当たり前の様な時代に、敢えて触れずに素材を活かすのは大切だなと思いました。撮影画像のお題を敢えて需要ありきでない視点から考えるのも楽しそうですね♪
こういう副業あるんですね。
私には難しそうかな(^_^;)
いろんな商売があるもんだ〜
退会済みメンバー
退会済みメンバーさん
ビギナー
おもしろい記事でした。
世の中色んな事を商売に展開し、軌道に乗せる人が出来る人は尊敬します。
食べ物の写真はよく撮るので販売してみようかな。
写真が売れるってなかなか面白そうだなと思いましたが、稼ごうと思ってすると色々注意制限事項があったりとなかなか難しそうな感じですね。趣味の傍ら売れたらいいかなって程度でするのがいいですかね。
一般人で写真が売れてる人は
応用がきく物を撮っているけれど

何年経っても狙って撮るのは難しい。汗






、そ販売した物って聞いた時はビックリしたし、
勉強になりました
はぁ、最近はなんでも売れるんですね。
ビックリやぁ。
時代について行けない、行く気もない。
買った人は何に使うのか。プロのカメラマンがやったらいくらになるのか?
こんなのがあるんですね。
こういうものがあるのは知っていましたが、一番需要が多いのは「人」の写真だとは。
思いっきり個人情報ですし、少なくとも私には、被写体が自分でも他人でもムリです。
その他、気をつけなきゃいけないことがたくさんありますね。
退会済みメンバー
退会済みメンバーさん
ビギナー
初めて知りました。自分は利用しないと思いますが…
NGって結構あるんですね!
今は誰もが録音、録画、写真撮影できると思ったほうがいいですよね。知らない人のそういうものに映り込んで勝手に出回ってたら嫌ですよね。
こんなのあるだ!!知らなかった、、小遣い稼ぎにやってみようかな
退会済みメンバー
退会済みメンバーさん
ビギナー
広告屋さんは使えそうな手に入りにくい画像を常に探し回ってそうな気がした。
実際どれが売れたかをきちんと教えてくれるので本当参考になります。画像撮るときも売れる売れないを意識しようかなっと^^
勉強になりました!
参考になりました。
知りませんでした!ありがとうございます
やってみると意外に楽しいかも。
始めるなら趣味程度からの方が良いかな。
(ノζ _ ^ ξ)
面白そう。後で読ませて頂きます😄
退会済みメンバー
退会済みメンバーさん
ビギナー
いい事聞けました
こんなのがあるとは知りませんでした。勉強になりました。
コメントするには、ログインまたはメンバー登録(無料)が必要です。